27 / 51
26
しおりを挟む
お互いにサインを終えた後、お見合い定番の「あとは若い二人で」というセリフで、私とシスルは王宮の庭へと放り出された。
正確にいうならば、お父様はサインしたならさっさと帰れオーラを出していて、フロックス公爵は戸惑っていたけど、お母様の鶴の一声で、庭に行くことになったのだ。
お父様・・・
可愛がってくれるのは嬉しいけど、お母様が怖いからやめて欲しいわ。
「陛下は不満そうだったね」
中庭のガゼボに着くと、ずっと黙って歩いていたシスルがボソリとそう言った。
「すみません。父は、相手がフロックス様だからではなく、誰が相手でも・・・」
「シスル」
誰が相手でも不満なんですと続けようとしたら、シスルがくるりとこちらを向いた。
「はい?」
「だから、フロックス様じゃなくて、シスル」
「え、あの・・・」
「ほら、言って」
どうしよう。シスルの圧がお母様並みに強い。
でも、良いよね?本人がいいって言ってるんだから。
「シスル様」
「それで、不満なのは陛下だけ?でも、この婚約って王家からの申し入れのはずだけど?」
はい。ごもっともです。
これは、何故そうなったのか経緯を説明しなきゃ駄目?
「父と兄が・・・その、私がハンカチに刺繍をしているのを見て、少々ヤキモチというか、騒ぎ立てたもので、母が・・・」
「ああ。王妃殿下が決められたのか」
「はい。あ、でも、シスル様に他に想う方がいらっしゃるのなら、そうおっしゃって下さい。母にも、許可は取って・・・」
「なに?誰か他に想う相手がいるの?」
「ふぇ?」
急に肩を掴まれ、間抜けな声が出た。
いや、だからシスルに他に好きな人がいるならって。
あの転生ヒロインはともかくとして、誰かいるかもしれないでしょう?
「だから、誰か好きな相手がいるの?」
「よくわからないのですが、私ではなく、シスル様に他にお好きな方がいらっしゃるのではとお聞きしているのですが?」
現在の私は、お父様やお母様、エルム兄様に家族愛は抱いているけど、恋愛の好きな相手はいないわ。
シスルだって前世では推しだったけど、推しと恋愛は別。
前世の私だとシスルが、現世の私だとアイリスが年下過ぎるもの。
「・・・リズ」
「え?」
「リズって呼んでいい?王妃様たちもアイリスって呼ぶでしょ。僕だけに愛称呼びさせてよ」
思わず見上げたシスルの顔が、笑顔なのにどこか黒い気がするのは、気のせい?
え?え?
シスルってこんなキャラだったっけ?
ツンデレさんで、ヒロインにだけ甘くなっていくんだけど・・・
「駄目?」
「あ、いいえ。シスル様のお好きなように呼んで下さい」
「じゃあ、リズ。婚約しよう」
「・・・・・・は?」
正確にいうならば、お父様はサインしたならさっさと帰れオーラを出していて、フロックス公爵は戸惑っていたけど、お母様の鶴の一声で、庭に行くことになったのだ。
お父様・・・
可愛がってくれるのは嬉しいけど、お母様が怖いからやめて欲しいわ。
「陛下は不満そうだったね」
中庭のガゼボに着くと、ずっと黙って歩いていたシスルがボソリとそう言った。
「すみません。父は、相手がフロックス様だからではなく、誰が相手でも・・・」
「シスル」
誰が相手でも不満なんですと続けようとしたら、シスルがくるりとこちらを向いた。
「はい?」
「だから、フロックス様じゃなくて、シスル」
「え、あの・・・」
「ほら、言って」
どうしよう。シスルの圧がお母様並みに強い。
でも、良いよね?本人がいいって言ってるんだから。
「シスル様」
「それで、不満なのは陛下だけ?でも、この婚約って王家からの申し入れのはずだけど?」
はい。ごもっともです。
これは、何故そうなったのか経緯を説明しなきゃ駄目?
「父と兄が・・・その、私がハンカチに刺繍をしているのを見て、少々ヤキモチというか、騒ぎ立てたもので、母が・・・」
「ああ。王妃殿下が決められたのか」
「はい。あ、でも、シスル様に他に想う方がいらっしゃるのなら、そうおっしゃって下さい。母にも、許可は取って・・・」
「なに?誰か他に想う相手がいるの?」
「ふぇ?」
急に肩を掴まれ、間抜けな声が出た。
いや、だからシスルに他に好きな人がいるならって。
あの転生ヒロインはともかくとして、誰かいるかもしれないでしょう?
「だから、誰か好きな相手がいるの?」
「よくわからないのですが、私ではなく、シスル様に他にお好きな方がいらっしゃるのではとお聞きしているのですが?」
現在の私は、お父様やお母様、エルム兄様に家族愛は抱いているけど、恋愛の好きな相手はいないわ。
シスルだって前世では推しだったけど、推しと恋愛は別。
前世の私だとシスルが、現世の私だとアイリスが年下過ぎるもの。
「・・・リズ」
「え?」
「リズって呼んでいい?王妃様たちもアイリスって呼ぶでしょ。僕だけに愛称呼びさせてよ」
思わず見上げたシスルの顔が、笑顔なのにどこか黒い気がするのは、気のせい?
え?え?
シスルってこんなキャラだったっけ?
ツンデレさんで、ヒロインにだけ甘くなっていくんだけど・・・
「駄目?」
「あ、いいえ。シスル様のお好きなように呼んで下さい」
「じゃあ、リズ。婚約しよう」
「・・・・・・は?」
198
あなたにおすすめの小説
どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~
クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。
同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。
ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した…
誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる