乙女ゲームの正しい進め方

みおな

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 お互いにサインを終えた後、お見合い定番の「あとは若い二人で」というセリフで、私とシスルは王宮の庭へと放り出された。

 正確にいうならば、お父様はサインしたならさっさと帰れオーラを出していて、フロックス公爵は戸惑っていたけど、お母様の鶴の一声で、庭に行くことになったのだ。

 お父様・・・
可愛がってくれるのは嬉しいけど、お母様が怖いからやめて欲しいわ。

「陛下は不満そうだったね」

 中庭のガゼボに着くと、ずっと黙って歩いていたシスルがボソリとそう言った。

「すみません。父は、相手がフロックス様だからではなく、誰が相手でも・・・」

「シスル」

 誰が相手でも不満なんですと続けようとしたら、シスルがくるりとこちらを向いた。

「はい?」

「だから、フロックス様じゃなくて、シスル」

「え、あの・・・」

「ほら、言って」

 どうしよう。シスルの圧がお母様並みに強い。
 でも、良いよね?本人がいいって言ってるんだから。

「シスル様」

「それで、不満なのは陛下だけ?でも、この婚約って王家からの申し入れのはずだけど?」

 はい。ごもっともです。
これは、何故そうなったのか経緯を説明しなきゃ駄目?

「父と兄が・・・その、私がハンカチに刺繍をしているのを見て、少々ヤキモチというか、騒ぎ立てたもので、母が・・・」

「ああ。王妃殿下が決められたのか」

「はい。あ、でも、シスル様に他に想う方がいらっしゃるのなら、そうおっしゃって下さい。母にも、許可は取って・・・」

「なに?誰か他に想う相手がいるの?」

「ふぇ?」

 急に肩を掴まれ、間抜けな声が出た。
いや、だからシスルに他に好きな人がいるならって。

 あの転生ヒロインはともかくとして、誰かいるかもしれないでしょう?

「だから、誰か好きな相手がいるの?」

「よくわからないのですが、私ではなく、シスル様に他にお好きな方がいらっしゃるのではとお聞きしているのですが?」

 現在の私は、お父様やお母様、エルム兄様に家族愛は抱いているけど、恋愛の好きな相手はいないわ。

 シスルだって前世では推しだったけど、推しと恋愛は別。
 前世の私だとシスルが、現世の私だとアイリスが年下過ぎるもの。

「・・・リズ」

「え?」

「リズって呼んでいい?王妃様たちもアイリスって呼ぶでしょ。僕だけに愛称呼びさせてよ」

 思わず見上げたシスルの顔が、笑顔なのにどこか黒い気がするのは、気のせい?

 え?え?
シスルってこんなキャラだったっけ?

 ツンデレさんで、ヒロインにだけ甘くなっていくんだけど・・・

「駄目?」

「あ、いいえ。シスル様のお好きなように呼んで下さい」

「じゃあ、リズ。婚約しよう」

「・・・・・・は?」
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