乙女ゲームの正しい進め方

みおな

文字の大きさ
40 / 51

39

 トリヤとアゼリア様の婚約について、私が口を挟むことは出来ない。

 これはダフォディル家とリンデン家の問題であって、身内でもない私には何も出来ることがないのだ。

 これがよくある乙女ゲームのように、一緒に通う学園内で起きていることなら、何か手出しもできたかもしれないけれど、私もアゼリア様もまだ学園に通えていない。

 アゼリア様が伯爵夫妻に何も話していないということもあるし、一度アゼリア様と話してみるべきかもしれない。

 リンデン伯爵家に訪問しても良いんだけど・・・

「シスル様は、ダフォディル様と、子爵令嬢のこと、どう思われます?」

 エルム兄様に連れて行かれたサフィニア様と入れ替わるように、私の隣でお茶を飲んでいるシスルに尋ねた。

 エルム兄様は、トリヤはヒロインを選ぶことはないって言ってたけど。

 それはそれで、ヒロインとしてどうなのかなとは思うけど。

「何でそんなこと聞くの?」

「アゼリア様のことが心配で。私としては、ダフォディル様がどなたと恋仲になろうと、婚約しようと、どうでもいいのですが。ああ、でも、エルム兄様の側近になられるのでしたら、その婚約者があの方というのは少々・・・」

 シスルは、少し不機嫌そうに眉を顰めていたが、私の答えを聞いて表情を緩めた。

 基本シスルは無表情(私相手以外)とされてるけど、婚約者になってから、少しずつ解るようになってきた。

「トリヤは・・・甘いんだよ。幼馴染だというあの女を切り捨てられない。恋愛感情じゃないくせに、拒否することができない」

「そう・・・ですか」

 シスルは無表情で、キツい物言いをするけど、冷たい人間ではない。

 共にエルム兄様を支える予定の、トリヤのことを友人として大切に思っているのだと思う。

 確かに幼馴染が頼って縋ってきたら、切り捨てるのは苦しいだろう。

 だけど、トリヤは伯爵令息でダフォディル伯爵家の嫡男だ。

 王太子殿下の護衛騎士で伯爵家を継ぐ者が、親しい間柄だからといって、厳しい判断ができないようでは駄目だ。

 もちろん、アゼリア様とは婚約者候補にしかすぎないのだから、デイジーを選ぶことは可能だ。

 とりあえずは子爵令嬢であることだし、身分的には問題ない。

 デイジーが乙女ゲームのヒロインのように、真摯に伯爵夫人となるべく努力するのなら、トリヤも護衛騎士の任に就けるだろう。

 だけど、態度や考えを改めないのなら。
そして、改めないデイジーを選ぶのなら、トリヤはエルム兄様の護衛騎士にはなれない。

 不貞を働きかねない人間を、王族に近づけるわけにはいかないのだ。
 





 
感想 8

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

転生ガチャで悪役令嬢になりました

みおな
恋愛
 前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。 なんていうのが、一般的だと思うのだけど。  気がついたら、神様の前に立っていました。 神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。  初めて聞きました、そんなこと。 で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?

「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした

みおな
恋愛
「オフェーリア!貴様との婚約を破棄する!!」  学年の年度末のパーティーで突然告げられた婚約破棄。 「ちょっと待ってください!」  婚約者に諸々言おうとしていたら、それに待ったコールをしたのは、ヒロインでした。  あらあら。婚約者様。周囲をご覧になってくださいませ。  あなたの味方は1人もいませんわよ?  ですが、その婚約破棄。喜んでお受けしますわ。

悪役令嬢と転生ヒロイン

みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」  鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。 そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。  ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。  その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。  この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。  改めて、鏡の中の姿を見る。 どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。  問題は、そこではない。 着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。  これはもしかして、小説版に転生?  

❲完結❳乙女ゲームの世界に憑依しました! ~死ぬ運命の悪女はゲーム開始前から逆ハールートに突入しました~

四つ葉菫
恋愛
橘花蓮は、乙女ゲーム『煌めきのレイマリート学園物語』の悪役令嬢カレン・ドロノアに憑依してしまった。カレン・ドロノアは他のライバル令嬢を操って、ヒロインを貶める悪役中の悪役!    「婚約者のイリアスから殺されないように頑張ってるだけなのに、なんでみんな、次々と告白してくるのよ!?」   これはそんな頭を抱えるカレンの学園物語。   おまけに他のライバル令嬢から命を狙われる始末ときた。 ヒロインはどこいった!?  私、無事、学園を卒業できるの?!    恋愛と命の危険にハラハラドキドキするカレンをお楽しみください。   乙女ゲームの世界がもとなので、恋愛が軸になってます。ストーリー性より恋愛重視です! バトル一部あります。ついでに魔法も最後にちょっと出てきます。 裏の副題は「当て馬(♂)にも愛を!!」です。 2023年2月11日バレンタイン特別企画番外編アップしました。   2024年3月21日番外編アップしました。              *************** この小説はハーレム系です。 ゲームの世界に入り込んだように楽しく読んでもらえたら幸いです。 お好きな攻略対象者を見つけてください(^^)        *****************

侯爵様、その溺愛は違います!

みおな
恋愛
 私、レティシア・ダイアンサス伯爵令嬢は現在岐路に立たされている。  何故か、王太子殿下から執着され、婚約の打診を受けそうになる。  ちなみに家族は、私よりも妹が相応しいと言ってはいるし、私的には喜んで譲ってあげたい。  が!どうにも婚約は避けられなさそうだし、婚約者のチェンジも無理の様子。  そこで私は、苦肉の策に出ることになる。

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。