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え?やめてください

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「メフィストが・・・母親?」

 目を見開いたメフィストの横で、パパ魔王様が土下座の姿勢からあげた顔を引き攣らせている。

 え?そんな嫌な顔をしなくても。

「やめてください。こんな手間のかかる旦那など要りません」

「ちょっと待て、メフィスト。不敬だろうが」

「不敬かもしれませんが、嫌なものは嫌です。事実は曲げられません」

「いや、俺だってお前みたいな嫁は要らん」

 言い合う二人に、コテンと首を傾げる。

「魔族って、男の人でもお嫁さんになれるの?」

「は?いえ、魔族も人と同じで男性体女性体がありますから、基本的に結婚は男女でしますね」

「ふぅん。基本的ってことなら、メフィストはパパのお嫁さんになるの?」

「シアン様・・・勘弁してください。シアン様のことはとても好ましいと思いますが、陛下を恋愛対象には見れません」

 メフィストが申し訳なさそうにそう言うと、パパ魔王様はがばりと起き上がった。

「俺がフラれたみたいな感じはやめろ。俺だってお前を恋愛対象に見たことなんかないわ!」

「ねぇ」

「「なんだ(です)?」」

 揃った声に、なんだかんだ言いながら仲がいいのでは?と首を傾げる。

「私はメフィストを母親って言ったけど、パパのお嫁さんとは言ってないよ?」

「「・・・」」

 そもそも、そこが違うことに気付かないから、家出騒動になったのに。

 私には母親に対する感情が欠落している。

 多分、アゼリアが孤児だったせいもあるのだろう。

 まぁ、恋愛感情もある意味欠落しているけど。
 それはまぁ、まだ五歳だし?そのうちになんとかなると思う。

 幸いにもパパ魔王様が愛情を注いでくれるから、父親に対する感謝の気持ちはある。

 ちょっと口煩くて、いつもパパ魔王様を支えてて、私の世話も焼くから、なんとなくメフィストが母親っぽいなって思っただけなのだ。

「だから、パパが再婚するのは反対じゃないよ。私の母親になる必要もない。私には、パパもいるし、フラウもいるし、メフィストもザギもアマリアもナーガもラグムもいる。だから、ママはいらない」

「「そうか(ですか)」」

 頷いたパパ魔王様とメフィストを見て、最初からこう言えばよかったのだと理解した。

「それから・・・心配かけてごめんなさい。もうしない(多分)」

 心のなかだけで付け加える。

 アゼリアの時はそうじゃなかった、と思うんだけど、シアンは短絡的というか直情型というか、思い立ったら即行動なのよね。

 今回はザギとフラウが手を貸してくれたからいいけど、今度からはもう少し考えて行動しなきゃ。

 私は、半分は魔族で半分は人間だ。
どちらにも私を厭う者はいるはずなんだから。
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