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魔法の練習

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「・・・筋がいいですね」

 メフィストの言葉に、ふぅと息を吐く。

 魔術師だったアゼリアの記憶があるとはいえ、シアンとして魔法を使うのは初めてだ。

 しかも、昨日まで魔力と魔法が封じられていた状態だ。

 だから、ちゃんと魔法を発動できるか不安だった。

 見合いの日まで、ちょうど一ヶ月。
それまでにある程度の魔法が使える状態になりたい。

 そう言った私に、パパもメフィストも「護衛はつけるから、最低限身を守れる魔法だけでいい」と言った。

 だけど、そんなのんびりと覚えるつもりはない。

 今回、私の見合いとパパが出なければならない会議。

 同じ日になったのは、絶対に何かを企んでいるから、だと思う。

 私を人質に取って、パパに言うことを聞かせるか、もしくは危害を加えようとするか。

 どっちにしろ、そんなの思い通りになんてさせない。

 だから、すぐに魔法の特訓を始めた。

 パパは・・・
会議になんか出ないで、私に同行するって言ってたけど、メフィストと二人で何とか説き伏せた。

 私たちは確かに魔族で、人間とは寿命も違うけど、魔国だけで生きていくことは出来ない。

 ずっとずっと昔は、そういう時代もあったみたいだけど、もう今は人間の国と関わらないで生きていくのは難しい時代になったんだと思う。

 魔族は、世界全部から見たら一握りしかいない。
 それでも、寿命の長い魔族は少しずつ国民が増えて行く。

 魔国ジェンティアナは、人が住むには厳しい土地だ。

 作物も育ちにくいし、家畜も育ちにくい。

 魔国製のものだけでは、食べていくことは厳しい。

 だからいくつかの人間の国と国交を結び、交易しているのだ。

 ジェンティアナ魔国国王として、やるべきことはやって欲しい。

 それがシアンの望みだ。

 だけど、パパが心配する気持ちは理解できる。

 それゆえの魔法の特訓だった。

 自分の身は、最低限守れるだけの魔法は会得する。

 ザギには、人間が魔法の発動を妨害する何か、をして来たとしてもそれを除外出来る魔道具を作ってもらう。

 あと、例の離れた場所でも話が聞ける魔道具を持っていく。

 その条件で、パパは会議に、私は見合いに行くことが決定した。

 パパ的にはものすごく渋々だったけど。

 魔王としての責務を果たしてくれないなら、また家出しようかな~と言ったら、泣く泣く受け入れられた。

 アゼリアは人間だったけど、一応筆頭魔術師だった。

 あんなふうに騙し討ちで殺されてしまったけど、一人で容易くドラゴンを倒せる程度には、魔法には精通していたつもりだ。

 魔族の魔法と人間の魔法、色々違いがあるかもと不安だったけど、基本的なものは同じっぽかった。
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