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相手はやっぱり

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「何を企んでるんだろうね、アザレア王国の人たちは」

 転移で一気にアザレア王国まで飛ぶ。
 アマリアは転移魔法は使えないから、私と手を繋いで転移した。

 そして現在、アザレア王国の王宮内にいる。

 透明マントを羽織って。

 この透明マント、ザギの発明品である。       
 羽織っていると、周囲から見えないというシロモノ。

 ただし、これを着ていても足跡はつく。まぁ、王宮内は絨毯が敷かれているから足跡の心配はいらないけど。

「どう見てもお見合いするような様子に見えないわね」

「やっぱアレかな。人質にする気かな」

「となると、狙いはパパ?」

 透明マントを羽織っていても、姿が見えないだけで、声は聞こえる。

 ただの人間なら「お化け?」って騒ぐところだけど、相手は私たちが魔族なのを知ってるわけだから、声が聞こえたら警戒される。

 というわけで、現在は天井スレスレの位置に浮かんでいる。

 眼下では、アザレア王国の騎士たちがバタバタと慌ただしく行き来していた。

「おそらくは姫様を人質にして、陛下を脅すんじゃないかな」

「・・・それだけママのことで恨んでるってことなのかな」

 ママが王太子との婚約者でありながらパパと駆け落ちしたことで、王家の面目は丸潰れになった。

 だから、その子孫である王族がパパを恨んでいるのは仕方ないことだと思う。

 ただ、だからって私を人質にするとかは別問題。

「何で俺が魔族なんかと!」

 ふと、聞き覚えのある声に視線を離れた場所に向ける。

 金髪頭にちょっとツリ目の少年が、隣を歩く少し年上の少年にブツブツ文句を言っていた。

「だから、僕が相手になるって言ったじゃないか」

「父上が絶対許さんって言ってただろ!兄さんはアザレア王国の王太子。この国の王妃に魔族がなるなんて絶対駄目だろ」

「そもそも父上はどうして突然、ジェンティアナ王国の王女殿下との見合いの話を?今まで国交もしていなかったのに」

「父上の考えは俺には分かんないけど、これは決定事項ってことだけは分かるよ」

 うんざりしたような少年は、兄と呼んだ少年と眼下を通り過ぎていく。

 私はザギの腕に触れた。

「アレって、私の見合い相手?」

「みたいだね。しかも、あの日のクソガキみたいだ」

「クソガキ・・・本人が望んでの見合いじゃなさそうだね。あんなのと見合いするの、嫌だなぁ」

 多少は大人になったのか、それとも兄弟仲はいいだけなのか、あの頃みたいな理不尽な物言いはしなさそうだけど・・・

 兄弟の話の様子では、国王が決めた見合いみたい。

 国交改善のためか。それとも・・・

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