誰が彼女を殺したか

みおな

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王太子付きの側近たちとは?

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 ジョンブリアン王国王太子ヴィクター。
 その側近は三人。

 一人はマリウス・ビリジアン。
ビリジアン公爵家の嫡男で、緑色の髪と瞳をした未来の宰相候補である。

 次に未来の騎士団長候補の、リッジ・カーマイン。
 カーマイン侯爵家の嫡男で、赤い髪と瞳をしている。

 未来の魔術師団長候補は、エミリオ・アンバー。
 アンバー侯爵家の嫡男で、琥珀色の髪と瞳の、小柄な令息である。

 三人ともに、ヴィクターを支える側近としての役割を果たすべく日々精進していた。

 そして学園の入学式。

 彼らはヴィクターと共にいた。
つまり、ヴィクターが恋に落ちる瞬間を目撃したのである。

 彼らも・・・
リリー・マゼンダ男爵令嬢のことを好ましく思った。

 元々、貴族令嬢、特に高位貴族のご令嬢は感情をあからさまに見せたりしない。

 それは、感情を容易く読まれることで、自分や家に不利な事態を招くことを理解しているからだ。

 その上、ジョンブリアン王国では政略結婚が多い。

 三人にも婚約者はいるが、恋愛対象ではなくそれぞれの家のための婚約者だ。

 そんな中で、屈託なく笑い感情豊かなリリーは『特別』に見えた。

 三人ともがヴィクターと同じようにリリーに心惹かれたが、その想いにストップをかけたのもヴィクターその人だった。

 ヴィクターの、婚約者に対しての愚かとしか言えない対応に、三人は熱が一気に冷めるのを感じた。

 どれだけ可愛くて好感が持てても、リリーは王太子妃にはなれない。

 それと同時に、公爵夫人や侯爵夫人にもなれないのだ。

 たとえどれほどリリーが優秀だったとしても、これまでに積み重ねて来た人脈がラティエラや自分たちの婚約者とは違う。

 リリーが恐ろしいまでに優秀で、もしラティエラが快く婚約者の座を譲り、尚且つ公爵家か侯爵家の養女になり、その上で周囲の高位貴族のご令嬢や夫人がこれまた快く手を差し伸べてくれるのなら、王太子妃や公爵夫人侯爵夫人になってもやっていけるだろう。

 その確率がどれほど低いか。

 愛妾にしてもいいから、婚姻して三年待てとまで譲歩してくれた婚約者に、嫉妬は見苦しいと暴言を吐いたヴィクター。

 その時点で、ラティエラはもちろん周囲のご令嬢は、ヴィクターを見限った。

 父親から聞いた話では、ウィスタリア公爵家から王太子か婚約者の再選考をするようにと、王家に通達があったそうだ。

 つまりは、ヴィクターを王太子から下ろすか、もしくは戯言を言っているヴィクターを支えてくれる新たな婚約者を見つけろと言われたのだ。

 側近三人は、側近の座を下りるか決断を迫られることになった。
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