誰が彼女を殺したか

みおな

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そして終わりを迎える?

 その日の朝、朝食の場でヴィクターは父親である国王陛下から、今夜パーティーがあると伝えられた。

 そして、絶対に参加しなければならないから、出かけないように、と。

 リリーを失った今、出かけるところなどなかった。

 なんのパーティーかと尋ねたが、父親からは「大切なパーティーだ。全貴族当主が参加する」としか教えてもらえなかった。

 本来、まだ学園生で成人していないヴィクターは夜会への参加は出来ない。

 ただ王太子という立場上、挨拶する必要のあるものもあったため、そのひとつかと納得した。

 朝食を終えたヴィクターは、妙に喉の渇きを覚えた。

 いつも通りの朝食のメニューだったし、味付けもいつも通りだったと思うのだが、喉が渇いて仕方ない。

「悪いが、水を持ってきてくれ」

「かしこまりました」

 侍女に水を持ってきてもらい、喉を潤す。

 昼食を終えると、その傾向はさらにひどくなった。

「くそっ。なんでこんなに喉が渇くんだ」

 ピッチャーに入れて果実水を持ってきてもらうが、すぐに飲み干してしまう。

 喉は渇くが、体調が悪いというわけでもなく、飲めば当然トイレに行きたくなる。

 夜会で挨拶をするのに、何度も中座するわけにはいかない。

 イライラしながら我慢をするのだが、喉が渇いて口内が張り付くような感覚に再び水を頼む。

 夜会の衣装に着替える頃には、侍女が持ってきた水をもせずに口にするようになっていた。

 食べ物の場合は、毒見役が口にしてから一定時間をおいて王族に食事は運ばれる。

 だが飲み物の場合は、毒見をしてもカップに塗られている場合もあるので、毒見の後必ず飲み物を銀のスプーンで混ぜるという習わしがあった。

 毒が入っていれば、スプーンが変色するためである。

 だが、朝から何度も水を所望していたヴィクターは、夕方近くになるとスプーンでひと回しすることすら億劫になっていた。

 何度目かのスプーンを入れていない水を飲んだヴィクターは、体から力が抜け、そのまま床に倒れ込んだ。

 持っていたグラスが床に転がり、視線の先に侍女の足が見える。

 何が起きたのか理解できないまま、ヴィクターはそのまま意識を手放した。

 その後、静かに部屋の扉が開き、誰かが部屋に入って来たことも、そのまま移動式の椅子に座らされたことも、ヴィクターには分からなかった。

 ただ夢の中で、母親が泣いているような声で謝っているのが聞こえた気がした。

 ザワザワ。

 人の気配に、ヴィクターの意識はゆっくりと浮上する。

 どうやら眠っていたみたいだと瞼を上げたヴィクターの目に入ったのは、青色のドレスに身を包んだラティエラだった。
 
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