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誰が彼女を殺したか?
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「それでは、お元気でね」
ギルバートが、伯父夫婦とヴィクターを西の離宮へと送り出した頃、ウィスタリア公爵家でも同じような挨拶が交わされていた。
短く、顎のラインで切り揃えられたピンクブロンドの髪。
シンプルなライムグリーンのワンピース。
両親と共に深々と頭を下げた少女は、顔を上げてにっこりとラティエラに微笑んだ。
「ウィスタリア様もお元気で」
「やっぱり貴女には笑顔が似合うわ。ごめんなさいね?こんな形でしか助けることができなくて」
「いいえっ!ウィスタリア様のおかげで、私も両親も死なずにすみました。本当にありがとうございました」
少女にそう言われ、ラティエラは曖昧に微笑んだ。
男爵令嬢だった彼女に理解ることが、何故王太子だったヴィクターに理解らなかったのか。
ため息しか出ないが、それでもギリギリ彼女たちを救えたことは、重畳だったと思う。
できることなら・・・
ヴィクターに踏みとどまって欲しかった。
ヴィクターの両親、元国王夫妻にはずっと可愛がってもらっていた。
彼らがヴィクターの責任を取るために、退位を決意することは想像できた。
それだけで済まさないだろうことも。
だから、ギルバートに頼んで、私財からヴィクターの世話をする人間の給与や薬代などを出すことを伝えてもらった。
元からの侍従が、最後の時まで世話をしたいと言ってくれたのも幸いした。
ヴィクターが心から詫びて、死にたいと願ったら・・・
その時は安らかに逝かせてあげて欲しいと、侍従には頼んである。
ヴィクターは、多くの人間の人生を狂わせてしまった。
まずは両親。そして、叔父夫婦と従兄であるギルバート。
婚約者であったラティエラ。
側近のマリウスにリッジ、エミリオ。
そしてマゼンダ男爵夫妻に、リリー。
その罪は負わなければならない。
「本当にごめんなさいね。見知らぬ国に行かせることになってしまって。ビリジアン様たちの目に止まらないためにも、この国にはいない方が良いの」
「平気です。男爵家って言っても、猫の額ほどの領地でしたし、平民と変わらない生活でしたから。それに、住む家やお父様の仕事のお世話までしてくださって、申し訳ないくらいです」
「そんなことは当然ですわ。何かありましたら、手紙を下さいませね。できる限りのことはさせていただきますわ」
「はい。ウィスタリア様・・・ラティエラ様も幸せになってくださいね!」
彼女がにこやかに手を振る横で、両親は深々と頭を下げた。
彼女たちはこれから東にある海を超えて、遠く離れた他国に引っ越すのだ。
ラティエラはその馬車が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。
ギルバートが、伯父夫婦とヴィクターを西の離宮へと送り出した頃、ウィスタリア公爵家でも同じような挨拶が交わされていた。
短く、顎のラインで切り揃えられたピンクブロンドの髪。
シンプルなライムグリーンのワンピース。
両親と共に深々と頭を下げた少女は、顔を上げてにっこりとラティエラに微笑んだ。
「ウィスタリア様もお元気で」
「やっぱり貴女には笑顔が似合うわ。ごめんなさいね?こんな形でしか助けることができなくて」
「いいえっ!ウィスタリア様のおかげで、私も両親も死なずにすみました。本当にありがとうございました」
少女にそう言われ、ラティエラは曖昧に微笑んだ。
男爵令嬢だった彼女に理解ることが、何故王太子だったヴィクターに理解らなかったのか。
ため息しか出ないが、それでもギリギリ彼女たちを救えたことは、重畳だったと思う。
できることなら・・・
ヴィクターに踏みとどまって欲しかった。
ヴィクターの両親、元国王夫妻にはずっと可愛がってもらっていた。
彼らがヴィクターの責任を取るために、退位を決意することは想像できた。
それだけで済まさないだろうことも。
だから、ギルバートに頼んで、私財からヴィクターの世話をする人間の給与や薬代などを出すことを伝えてもらった。
元からの侍従が、最後の時まで世話をしたいと言ってくれたのも幸いした。
ヴィクターが心から詫びて、死にたいと願ったら・・・
その時は安らかに逝かせてあげて欲しいと、侍従には頼んである。
ヴィクターは、多くの人間の人生を狂わせてしまった。
まずは両親。そして、叔父夫婦と従兄であるギルバート。
婚約者であったラティエラ。
側近のマリウスにリッジ、エミリオ。
そしてマゼンダ男爵夫妻に、リリー。
その罪は負わなければならない。
「本当にごめんなさいね。見知らぬ国に行かせることになってしまって。ビリジアン様たちの目に止まらないためにも、この国にはいない方が良いの」
「平気です。男爵家って言っても、猫の額ほどの領地でしたし、平民と変わらない生活でしたから。それに、住む家やお父様の仕事のお世話までしてくださって、申し訳ないくらいです」
「そんなことは当然ですわ。何かありましたら、手紙を下さいませね。できる限りのことはさせていただきますわ」
「はい。ウィスタリア様・・・ラティエラ様も幸せになってくださいね!」
彼女がにこやかに手を振る横で、両親は深々と頭を下げた。
彼女たちはこれから東にある海を超えて、遠く離れた他国に引っ越すのだ。
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