誰が彼女を殺したか

みおな

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あの日の真相③

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 ラティエラの計らいで、リリーは何とかヴィクターを避けることが出来ていた。

 ただ・・・
クラスメイトや友人と昼食を一緒にとることもできない。

 学園帰りに共に出かけることもできない。

 そんなストレスは溜まり続ける。

 リリーは決して、ヴィクターを嫌いだと思ったことはない。

 そんな感情を抱く相手ではないのだ。

 ヴィクターは、この国の王太子殿下。
 いずれラティエラと婚姻し、この国を担う人間だ。

 貴族とは名ばかりの、貧乏男爵家のリリーとは立場が違い過ぎる。

 素敵・・・なのだとは思うが、あの常軌を逸した行動に、好意なんて持ちようがない。

 関わらないで欲しいのに、追いかけ回される。

 ラティエラが助けてくれたことと、あの異常さに周囲がリリーに同情的だったことが救いだった。

「今日、王太子殿下から呼び出しがあった」

 家に戻ると、両親が真っ青な顔をしていた。

「え?お父様、何があったの?」

「リリーを・・・婚約者にしたいと。王太子妃にしたいとおっしゃった。そんなこと殿下はどうされてしまったんだ!」

「・・・ッ!」

 リリーに全く会えないことに痺れを切らしたヴィクターは、マゼンダ男爵を王宮へと呼び出した。

 婚約を結ぶには、国王陛下の許可が必要とはいえ、相手は王太子殿下。

 リリーの父親は、何も言えずに帰宅するしかなかったのだ。

 ウィスタリア公爵令嬢との婚約があるのに、リリーと婚約などできるわけがない。

 そもそも、貧乏男爵令嬢であるリリーが、王太子の婚約者になれるわけがないというのに。

 そんな、貴族なら誰でも知っていることを、王太子であるヴィクターは理解らなくなってしまったのか。

 だが、こちらから断ることなど出来ない。

 かといって、婚約者になることも出来ない。

 正式な婚約者、ラティエラと婚姻後三年待ってヴィクターの愛妾になる。

 それがリリーに残された道だった。

「だ、旦那様。ウィスタリア公爵令嬢様がいらっしゃいました!」

「ッ!もうお耳に入ったのか。入っていただきなさい」

 お互いにかける言葉もなく、家族三人項垂れていると、ラティエラの来訪が告げられた。

「先触れも出さずに、申し訳ありません」

「いっ、いえ」

「殿下から、無茶を言われたとお聞きしました。わたくしの力及ばす、申し訳ございません」

「そんなっ!ウィスタリア様は何も、何も悪くありません!私、私はもう・・・諦めました。ウィスタリア様には申し訳ありませんが、愛妾としてお迎えいただければとと思います」

 真っ青な顔で、それでも健気に笑顔を浮かべるリリーに、ラティエラは胸が痛んだ。

「わたくしから提案がございます」
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