誰が彼女を殺したか

みおな

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何を間違ったのか③〜ヴィクターのその後ラスト〜

 元王妃は、根気強く何度もヴィクターに語りかけた。

 結局、最後の時まで自分がどれだけ愚かで傲慢だったか、ヴィクターは気付かないのだろう。

 それでも、言って聞かせるのが自分たちの贖罪だと、両親は息子に繰り返し繰り返し伝える。

 恋をすれば、誰もが愚かになるわけではない。

 現に、ラティエラにギルバートは、ラティエラの気持ちを尊重して身を引いていた。

 何故、ヴィクターがあそこまで恋に狂ってしまったのか、その答えはヴィクター自身にもわからないだろう。

 しかも完全な片想いである。

「ヴァイオレット、いいかと思う」

 夫の言葉に、元王妃は頷いた。

 ギルバートとラティエラの婚姻から三ヶ月。

 そろそろだと、元王妃も思っていたのだ。

 ヴィクターの体の自由を奪う薬を飲ませてから・・・

 元国王夫妻は、この日が来るのをずっと待っていた。

 ヴィクターが元の状態に戻ることはない。

 しかもヴィクターが生きるために、ラティエラの私財を使っている。

 なるべく早めに終わらせたかったが、ヴィクターは廃籍されているとはいえ、罪は明らかにされていない。

 つまりは死ねば、ギルバートたちは喪に服さねばならないのだ。

 ギルバートとラティエラの婚姻を、遅らせるわけにはいかない。

 そして、喜びに水を差さないために三ヶ月待ったのだ。

 これ以上先延ばしにすると、今度は子供を授かった喜びに水を差すことになるかもしれない。

 だから、最初から婚姻後三ヶ月を目処にしていた。

「ヴァイオレット、君には苦労をかけた」

「いいえ、旦那様。私が至らないばかりにこのようなことになり申し訳ございません。ですが、旦那様と結婚して、ヴィクターを授かって・・・私は幸せでしたわ」

「ああ。私もだ。ありがとう」

 侍従の青年は、そんな元国王夫妻の様子に、来るべき時が来たのだと半分落胆し、半分はホッとした。

 幼い頃からずっと仕えてきたヴィクター。

 優しく真面目だった王太子が、何故あんな愚行を起こしたのか、それは平民の自分には想像すらつかない。

 薬で動くこともできなくなったヴィクターに、そんな状態でも生きていて欲しいとも思い、そんな状態から解き放ってあげて欲しいとも思った。

「旦那様、奥様。後のことはお任せください」

 自分にできることは、決断をした主人たちが安らかに眠りにつけるよう、憂いをなくすこと。

 王太子殿下たちに連絡をし、できることなら自分が死ぬまで墓守をさせて欲しいと願おう。

 侍従は元国王夫妻が、息子とそして自分たちが飲むための毒を準備しているのを見ながら、そっと扉を閉めた。

 

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