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あの花が咲いたら〜ラティエラのその後②〜
ラティエラはリリーからの手紙を閉じ、窓の外へと視線を向けた。
王族の結婚式は、王城内の聖堂で行われるため、ラティエラが今いるのは控え室となった王宮内の客室だ。
ここからは、王妃の庭と呼ばれる薔薇園がよく見える。
歴代の王妃が自分の好んだ薔薇を植えた薔薇園は、色とりどりの薔薇が咲き乱れていた。
幼い頃にヴィクターと婚約したラティエラは、特別に何度もこの薔薇園に入れてもらえた。
一般の貴族は立ち入れない庭園なのだ。
いずれはラティエラもここに薔薇を植えるのだからいいわ、と王妃ヴァイオレットは許可をくれたのだ。
いずれ、ラティエラはここに薔薇を植えるのだろう。
ただ、隣に立つ夫が違うだけで。
ラティエラは幼い頃、ここでヴィクターと過ごした日々を思い出す。
優しく素直で穏やかな王太子ヴィクター。
飛び抜けて優秀なわけではなかったが、努力家で王太子に相応しくあるべく日々頑張っている人だった。
ラティエラとヴィクターの婚約は、政略的なものではあった。
他に同じ年頃のご令嬢がいなかったこともあった。
普通なら。
王妃が身籠れば、我が子を王太子の婚約者にと願い、子を授かるものである。
しかし、王妃と同時期にウィスタリア公爵夫人が身籠った。
もちろん、王妃にしろ公爵夫人にしろ、生まれてくる子供の性別は分からない。
だが、もしも王太子とご令嬢、王女とご子息という組み合わせの場合、相応しいのはウィスタリア公爵家だと、他家は一年様子を見ることにしたのだ。
どの家も、王家とウィスタリア公爵家の縁を応援するスタンスだった。
もちろん幼い二人には、そんな大人たちの思惑など関係ない。
ヴィクターはお人形のように可愛いラティエラに好意を抱いたし、ラティエラは優しいヴィクターを好きになった。
そう。
好きだったのだ。
貴族令嬢、しかも高位のラティエラは、幼い頃ならいざ知らず、年頃になる前には淑女教育が始まる。
感情的な姿を周囲に見せてはいけない。
常に笑みを浮かべ、間違っても涙など見せてはいけない。
常に淑女の見本となるように。
淑女教育の上に王太子妃教育も始まり、ラティエラは幼い頃の無邪気な笑顔ではなく、常に聖女のような微笑みを浮かべるようになった。
その姿に、ヴィクターが微妙な表情なことが分かっていても、それが貴族令嬢の嗜みであり、高位貴族の令嬢は誰もがそうなのだ。
もしも、ラティエラが屈託ない笑顔のままだったなら、ヴィクターはリリーに恋をしなかったのだろうか。
王族の結婚式は、王城内の聖堂で行われるため、ラティエラが今いるのは控え室となった王宮内の客室だ。
ここからは、王妃の庭と呼ばれる薔薇園がよく見える。
歴代の王妃が自分の好んだ薔薇を植えた薔薇園は、色とりどりの薔薇が咲き乱れていた。
幼い頃にヴィクターと婚約したラティエラは、特別に何度もこの薔薇園に入れてもらえた。
一般の貴族は立ち入れない庭園なのだ。
いずれはラティエラもここに薔薇を植えるのだからいいわ、と王妃ヴァイオレットは許可をくれたのだ。
いずれ、ラティエラはここに薔薇を植えるのだろう。
ただ、隣に立つ夫が違うだけで。
ラティエラは幼い頃、ここでヴィクターと過ごした日々を思い出す。
優しく素直で穏やかな王太子ヴィクター。
飛び抜けて優秀なわけではなかったが、努力家で王太子に相応しくあるべく日々頑張っている人だった。
ラティエラとヴィクターの婚約は、政略的なものではあった。
他に同じ年頃のご令嬢がいなかったこともあった。
普通なら。
王妃が身籠れば、我が子を王太子の婚約者にと願い、子を授かるものである。
しかし、王妃と同時期にウィスタリア公爵夫人が身籠った。
もちろん、王妃にしろ公爵夫人にしろ、生まれてくる子供の性別は分からない。
だが、もしも王太子とご令嬢、王女とご子息という組み合わせの場合、相応しいのはウィスタリア公爵家だと、他家は一年様子を見ることにしたのだ。
どの家も、王家とウィスタリア公爵家の縁を応援するスタンスだった。
もちろん幼い二人には、そんな大人たちの思惑など関係ない。
ヴィクターはお人形のように可愛いラティエラに好意を抱いたし、ラティエラは優しいヴィクターを好きになった。
そう。
好きだったのだ。
貴族令嬢、しかも高位のラティエラは、幼い頃ならいざ知らず、年頃になる前には淑女教育が始まる。
感情的な姿を周囲に見せてはいけない。
常に笑みを浮かべ、間違っても涙など見せてはいけない。
常に淑女の見本となるように。
淑女教育の上に王太子妃教育も始まり、ラティエラは幼い頃の無邪気な笑顔ではなく、常に聖女のような微笑みを浮かべるようになった。
その姿に、ヴィクターが微妙な表情なことが分かっていても、それが貴族令嬢の嗜みであり、高位貴族の令嬢は誰もがそうなのだ。
もしも、ラティエラが屈託ない笑顔のままだったなら、ヴィクターはリリーに恋をしなかったのだろうか。
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