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45.何倍も貴族らしいわ
その日、ユリシスが感じた異変は小さなものだった。
だが、喉に小骨が引っかかったような、ずっとチクチクと意識を奪われるような、そんな異変だった。
「ティファが・・・いない?」
最近・・・というか、学園ではひとりの男として云々宣言以来、学園では昼食もティータイムも送迎もさせてもらえないユリシスだが、ティファが友人たちと行動を共にしていることは見ていた。
自分はそういうつもりではなかったと言いたいのだが、ティファは全く取りあってくれず、友人たちとの時間を楽しんでいるようだった。
王太子妃教育に大まかな目処が付いたティファが、友人との時間を楽しめることはユリシスから見ても良いことだと思えた。
社交界の中で力のあるカルセドニー侯爵家。
ドレスのデザイン業界でトップに君臨するヘリオドール伯爵令嬢。
商会を経営し、オブシディアン王国だけでなく多くの国に顔に効くサーペンティン伯爵家。
未来の王太子妃の友人として、問題のない相手ばかりだ。
その三人のうちの誰かと、常に一緒にいるティファだが、今日は学園で姿が見えない。
いや、今までもアメトリン公爵家の用などで休むことはあったが。
あったのに、何故か妙に気にかかった。
「カルセドニー嬢」
「第一王子殿下。何か私にご用ですか?」
「いや、その、ティファは今日は・・・」
ユリシスはどうしても気にかかり、級友と話しているレディーノに尋ねた。
「婚約者である殿下がご存知ないことを、何故私が知っていると?」
「す、すまない」
「ええ。もうよろしくて?」
「あ、ああ」
レディーノたちは、ユリシスがティファにした宣言を聞いているのか、どうにもユリシスを見る目が冷たい。
なので、ユリシスとしてもあまり話しかけたくはなかったのだが、案の定婚約者の予定も知らないのか、的な視線で見られてしまった。
「ユリシス様、どうされたのですか?」
「え、いや、何でもないよ」
キティが小首を傾げてユリシスに尋ねる。
最近のユリシスの周囲には、キティを始めとした数人の子爵家や男爵家の令嬢がいるようになった。
全員が家を継ぐ予定の令嬢ばかりだ。
ユリシスは、学園に通っているうちに王族である自分と縁を繋ごうと思っているのだなと思っているが、実はそうではない。
彼女たちは、子爵家や男爵家という下位の貴族ではあるがユリシスのように浅慮ではない。
彼女たちは、立太子出来ないであろうユリシスを、自分たちの家の入婿候補として見ているのである。
当主の座は自分たちが継げばいい。
入婿にユリシスを狙うのは、王族との縁ということもあるが、彼を迎える際に得る支度金狙いである。
その様子を、離れた場所からレディーノは見ていた。
(あの子たちの方が殿下の何倍も貴族らしいわ)
だが、喉に小骨が引っかかったような、ずっとチクチクと意識を奪われるような、そんな異変だった。
「ティファが・・・いない?」
最近・・・というか、学園ではひとりの男として云々宣言以来、学園では昼食もティータイムも送迎もさせてもらえないユリシスだが、ティファが友人たちと行動を共にしていることは見ていた。
自分はそういうつもりではなかったと言いたいのだが、ティファは全く取りあってくれず、友人たちとの時間を楽しんでいるようだった。
王太子妃教育に大まかな目処が付いたティファが、友人との時間を楽しめることはユリシスから見ても良いことだと思えた。
社交界の中で力のあるカルセドニー侯爵家。
ドレスのデザイン業界でトップに君臨するヘリオドール伯爵令嬢。
商会を経営し、オブシディアン王国だけでなく多くの国に顔に効くサーペンティン伯爵家。
未来の王太子妃の友人として、問題のない相手ばかりだ。
その三人のうちの誰かと、常に一緒にいるティファだが、今日は学園で姿が見えない。
いや、今までもアメトリン公爵家の用などで休むことはあったが。
あったのに、何故か妙に気にかかった。
「カルセドニー嬢」
「第一王子殿下。何か私にご用ですか?」
「いや、その、ティファは今日は・・・」
ユリシスはどうしても気にかかり、級友と話しているレディーノに尋ねた。
「婚約者である殿下がご存知ないことを、何故私が知っていると?」
「す、すまない」
「ええ。もうよろしくて?」
「あ、ああ」
レディーノたちは、ユリシスがティファにした宣言を聞いているのか、どうにもユリシスを見る目が冷たい。
なので、ユリシスとしてもあまり話しかけたくはなかったのだが、案の定婚約者の予定も知らないのか、的な視線で見られてしまった。
「ユリシス様、どうされたのですか?」
「え、いや、何でもないよ」
キティが小首を傾げてユリシスに尋ねる。
最近のユリシスの周囲には、キティを始めとした数人の子爵家や男爵家の令嬢がいるようになった。
全員が家を継ぐ予定の令嬢ばかりだ。
ユリシスは、学園に通っているうちに王族である自分と縁を繋ごうと思っているのだなと思っているが、実はそうではない。
彼女たちは、子爵家や男爵家という下位の貴族ではあるがユリシスのように浅慮ではない。
彼女たちは、立太子出来ないであろうユリシスを、自分たちの家の入婿候補として見ているのである。
当主の座は自分たちが継げばいい。
入婿にユリシスを狙うのは、王族との縁ということもあるが、彼を迎える際に得る支度金狙いである。
その様子を、離れた場所からレディーノは見ていた。
(あの子たちの方が殿下の何倍も貴族らしいわ)
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