どうぞお好きになさってください

みおな

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53.手に入れたかっただけなのに

「ユリシス。アメトリン公爵令嬢は、誰のものでもないわ。もし彼女が誰かのものだとするならば、それは彼女愛する相手よ。そして、それは貴方ではないわ」

 システィーナの言葉は、鋭い棘のようにユリシスに刺さるが、それでもユリシスは母親の言葉を認めようとしない。

 ユリシスはティファのことを、唯一の相手だと思っていた。

 それが真実の愛なのか、それとも子供が自分のオモチャを取られることに対する執着なのか、それは父親である国王にも母親であるシスティーナにも分からない。

 だが国王は、妻であるシスティーナが息子のことを「気持ち悪い」と言った気持ちが理解できる気がした。

「ユリシス。もう一度言う。チャンスは一度だけだ。お前が愚かな選択をした途端に、我々はお前を罪を犯した王族を幽閉する塔に入れる。当然、お前には監視を付ける。ユリシス、理解しているか?チャンスを与えてくれたのはアメトリン公爵令嬢であって。我々は、お前を裁くことに躊躇いを持ったりしない」

「ち、ち上・・・」

「貴方を愛していないわけではないわ。私にとって唯一の子供だもの。だけど、貴方の言動は王族としての。自分が一度口にした言葉に責任を取りなさい。どんな意図があろうと、貴方は王族に相応しくない言動をした。そのせいで婚約者を失った。そのことを理解しなさい」

「母上・・・」

 ユリシスは納得出来なかった。

 言葉で、十一年もそばにいたのに、婚約の解消?

 確かに学園では一緒に過ごしてくれなくなったし、送迎もさせてくれなかった。

 ユリシスは、すぐにでもアメトリン公爵家へ向かいたい気持ちだった。

 だがその気持ちは、国王が次に告げた言葉で粉々に砕かれた。

「アメトリン公爵家に行こうなどと考えるなよ?お前は今後、新たな婚約者を迎えて、ちゃんと王族として振る舞えるようになるまでは王宮から出ることを禁じる。王宮から出た時点で幽閉だ」

「父上っ!そんなのはあまりにも横暴ですっ!」

「ほう?横暴だと?侍従がいくら止めても毒味を介さずに物を口にし、婚約者以外の令嬢を親しげにそばに置き、婚約者の心を傷付けた人間がよくもそんなことが言えたな!」

「!」

 ユリシスは父の叱責に、声を出すことが出来なかった。

 いくら、そんなつもりはなかったのだと言っても、父も母もユリシスを許してはくれない。

 ユリシスはそのまま私室へと軟禁状態になった。

(どうしてこんなことに。僕はただ、ティファの気持ちを手に入れたかっただけなのに)
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