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57.お助けしますわ
「は?ユークレース王国王太子と・・・結婚??」
オブシディアン王国第一王子の私室で、ユリシスの叫び声が上がった。
その新聞には、ユークレース王国王太子であるルウと、オブシディアン王国アメトリン公爵家長女ティファの結婚の知らせが大きく載っていた。
私室での反省という名の軟禁を食らっていたユリシス。
それに大人しく従っていたのは、父である国王からの、幽閉毒杯宣告のためだ。
大人しくしておいて、信用を取り戻してからティファに会いにいけばいい。
ユリシスはそう考えていた。
第一王子の婚約者だったティファ。
彼女はとても可愛いし身分もあるから、普通ならすぐに釣書が届くだろう。
だが、オブシディアン王国の主だった貴族令息令嬢は、ほとんどが婚約している。
他国という可能性は残るが、ユリシスは最近近付いて来ていた子爵令嬢や男爵令嬢を通じて、アメトリン公爵家に婚約の打診が来ていないか調べてもらっていた。
キティ・コンクパール男爵令嬢もだが、彼女たちは決してお花畑の住人ではなく、ユリシスを入婿にしようと考えている。
キティの中にはユリシスへの好意があるが、その他の令嬢たちはユリシスのことを『金のなる木』と見ている。
彼女たちは、ユリシスよりもよほど貴族らしい考え方を持っていた。
ユリシスにその新聞を持って来たのも、最近の取り巻き?の子爵令嬢である。
カトリーヌ・ズルタナイト。
ズルタナイト子爵家の長女である。
グレーの髪と瞳をした彼女はキティと違い、ユリシスに対して恋愛感情など持っていない。
「きっと、アメトリン公爵様がユリシス様と引き離すために遠く離れたユークレース王国に嫁がせようとしているのですわ。ティファ様は、きっとユリシス様が迎えに来てくださるのを待っています!」
その、普通の者が聞けば有り得ない言葉は、自己肯定力の高いユリシスには甘く響いた。
「ああ!ティファ。君はやっぱり僕のことを愛してくれているんだね」
あの、ユリシスのことを心から好いているキティでさえも、ティファの気持ちがユリシスから離れていることを理解している。
なのに、当の本人であるユリシスだけが、それを理解していない。
いや、理解しようとしない。
ユリシスにとって周囲の人間が自分を求めるのは当たり前のことであり、十一年も婚約者だったティファが自分のことを愛しているのは当然のことであった。
「しかし、困ったな。父上たちは融通が効かない。今の僕は王宮から出ることは難しい」
「ユリシス様。ご安心ください。私がお助けしますわ」
オブシディアン王国第一王子の私室で、ユリシスの叫び声が上がった。
その新聞には、ユークレース王国王太子であるルウと、オブシディアン王国アメトリン公爵家長女ティファの結婚の知らせが大きく載っていた。
私室での反省という名の軟禁を食らっていたユリシス。
それに大人しく従っていたのは、父である国王からの、幽閉毒杯宣告のためだ。
大人しくしておいて、信用を取り戻してからティファに会いにいけばいい。
ユリシスはそう考えていた。
第一王子の婚約者だったティファ。
彼女はとても可愛いし身分もあるから、普通ならすぐに釣書が届くだろう。
だが、オブシディアン王国の主だった貴族令息令嬢は、ほとんどが婚約している。
他国という可能性は残るが、ユリシスは最近近付いて来ていた子爵令嬢や男爵令嬢を通じて、アメトリン公爵家に婚約の打診が来ていないか調べてもらっていた。
キティ・コンクパール男爵令嬢もだが、彼女たちは決してお花畑の住人ではなく、ユリシスを入婿にしようと考えている。
キティの中にはユリシスへの好意があるが、その他の令嬢たちはユリシスのことを『金のなる木』と見ている。
彼女たちは、ユリシスよりもよほど貴族らしい考え方を持っていた。
ユリシスにその新聞を持って来たのも、最近の取り巻き?の子爵令嬢である。
カトリーヌ・ズルタナイト。
ズルタナイト子爵家の長女である。
グレーの髪と瞳をした彼女はキティと違い、ユリシスに対して恋愛感情など持っていない。
「きっと、アメトリン公爵様がユリシス様と引き離すために遠く離れたユークレース王国に嫁がせようとしているのですわ。ティファ様は、きっとユリシス様が迎えに来てくださるのを待っています!」
その、普通の者が聞けば有り得ない言葉は、自己肯定力の高いユリシスには甘く響いた。
「ああ!ティファ。君はやっぱり僕のことを愛してくれているんだね」
あの、ユリシスのことを心から好いているキティでさえも、ティファの気持ちがユリシスから離れていることを理解している。
なのに、当の本人であるユリシスだけが、それを理解していない。
いや、理解しようとしない。
ユリシスにとって周囲の人間が自分を求めるのは当たり前のことであり、十一年も婚約者だったティファが自分のことを愛しているのは当然のことであった。
「しかし、困ったな。父上たちは融通が効かない。今の僕は王宮から出ることは難しい」
「ユリシス様。ご安心ください。私がお助けしますわ」
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