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72.お分かりではなかったの?
「ごきげんよう、キティ・コンクパール様」
ティファは、ユリシスと会う前に先にキティが保護されている部屋を訪れた。
キティ・コンクパール男爵令嬢。
学園の入学式でユリシスに助けられて、それ以来ユリシスのそばによくいた令嬢。
ティファがユリシスを見限るキッカケになった令嬢。
「ティファ・アメトリン様・・・」
「ご無事で良かったですわ」
「どう、して・・・」
キティの問いかけに、そのどうしてが何を指しているのかとティファは首を傾げた。
無事を喜んだこと?
ティファは決して、キティのことを嫌いではないし恨んでもいない。
確かに、貴族令嬢として足りないところはあるし、婚約者のいる相手に対しての距離感は間違っていると思うが、それとユリシスの愚行は別問題である。
「何を指しての問いかしら?」
「どうして・・・どうしてユリシス様との婚約を解消されたのですか?アメトリン様がいらっしゃらなくなって、ユリシス様は・・・」
キティは、入学式で助けてもらってからユリシスのことを本気で好きになった。
優しくて優秀な第一王子殿下。
噂通りに優しくて。
でも、そのユリシスのそばには綺麗で凛とした婚約者がいて。
男爵令嬢である自分が王家に嫁げないことも理解している。
そして、ユリシスが自分に特別な好意を抱いていないことも。
その上で、迂闊な言動をするユリシスのそばにいた。
それは、好きという気持ちであり、男爵家の後継として第一王子という王族をコンクパール男爵家に迎えたいという計算でもあった。
キティは、ユリシスより現状をよく見ていた。
ティファが、アメトリン公爵家がユリシスを見切れば、ユリシスが王太子になれないであろうことを。
可哀想な男爵令嬢を演じれば、ユリシスが英雄気取りで手を差し伸べてくることを。
だがティファが学園に来なくなって、ユリシスの様子がおかしくなった。
婚約が解消され、子爵令嬢がユリシスに接近した。
キティは、自分が決して清廉潔白な人間でないことを分かっている。
むしろ計算高く、姑息な面があると言っていいだろう。
だが、それでも。
ユリシスへの気持ちだけは本物だった。
だからこそ、ユリシスに近付くズルタナイト子爵令嬢のカトリーヌのことが信用出来なかった。
あれは、好きな相手を見る目ではない。
そして、王族としての地位を利用しようとする目でもない。
あれは、ただの道具を見る目だ。
何かの目的のために、ユリシスという道具を使おうとする目だ。
「アメトリン様は、ユリシス様がどれだけアメトリン様のことをお好きだったか、お分かりではなかったのですか?」
ティファは、ユリシスと会う前に先にキティが保護されている部屋を訪れた。
キティ・コンクパール男爵令嬢。
学園の入学式でユリシスに助けられて、それ以来ユリシスのそばによくいた令嬢。
ティファがユリシスを見限るキッカケになった令嬢。
「ティファ・アメトリン様・・・」
「ご無事で良かったですわ」
「どう、して・・・」
キティの問いかけに、そのどうしてが何を指しているのかとティファは首を傾げた。
無事を喜んだこと?
ティファは決して、キティのことを嫌いではないし恨んでもいない。
確かに、貴族令嬢として足りないところはあるし、婚約者のいる相手に対しての距離感は間違っていると思うが、それとユリシスの愚行は別問題である。
「何を指しての問いかしら?」
「どうして・・・どうしてユリシス様との婚約を解消されたのですか?アメトリン様がいらっしゃらなくなって、ユリシス様は・・・」
キティは、入学式で助けてもらってからユリシスのことを本気で好きになった。
優しくて優秀な第一王子殿下。
噂通りに優しくて。
でも、そのユリシスのそばには綺麗で凛とした婚約者がいて。
男爵令嬢である自分が王家に嫁げないことも理解している。
そして、ユリシスが自分に特別な好意を抱いていないことも。
その上で、迂闊な言動をするユリシスのそばにいた。
それは、好きという気持ちであり、男爵家の後継として第一王子という王族をコンクパール男爵家に迎えたいという計算でもあった。
キティは、ユリシスより現状をよく見ていた。
ティファが、アメトリン公爵家がユリシスを見切れば、ユリシスが王太子になれないであろうことを。
可哀想な男爵令嬢を演じれば、ユリシスが英雄気取りで手を差し伸べてくることを。
だがティファが学園に来なくなって、ユリシスの様子がおかしくなった。
婚約が解消され、子爵令嬢がユリシスに接近した。
キティは、自分が決して清廉潔白な人間でないことを分かっている。
むしろ計算高く、姑息な面があると言っていいだろう。
だが、それでも。
ユリシスへの気持ちだけは本物だった。
だからこそ、ユリシスに近付くズルタナイト子爵令嬢のカトリーヌのことが信用出来なかった。
あれは、好きな相手を見る目ではない。
そして、王族としての地位を利用しようとする目でもない。
あれは、ただの道具を見る目だ。
何かの目的のために、ユリシスという道具を使おうとする目だ。
「アメトリン様は、ユリシス様がどれだけアメトリン様のことをお好きだったか、お分かりではなかったのですか?」
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