悪役令嬢は執事様と恋愛したい

みおな

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悪役令嬢は失望します《???視点》

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 怒りと憎しみに呑まれていたはずのアイリスの感情が、静かに凪いでいく。

 諦めの、見慣れたその表情に、自分がまた失敗したことに気づいた。

 アイリスを初めて見たのは、彼女が10歳の時だ。
 漆黒の髪はサラサラと風に揺れ、菫色の瞳は光を纏って輝いている。淡い桜色の唇も、愛らしい微笑みも、全てが我を捉えて離さなかった。

 彼女を手に入れたい。

 初めて感じた自分の欲に従うべく、駒となる子供に『魅了』の術を与えた。

 自分の恋した相手を奪われて、絶望し、その恋敵を憎めばいい。ただの駒だ。アイリスが堕ちるために死ななければならない、駒に過ぎない。

 そう思うのに、アイリスは悲しみこそすれ、駒を殺すことも、自分を捨てた男を憎むこともせずに、自らの命を絶ってしまった。

 失敗した。だから、やり直すことにした。だけど何度やり直しても、アイリスが堕ちてくることはなかった。

 でも、今回初めて、アイリスが毎回自分を捨てる男と距離を置いた。
 今までと違う展開だが、もしかしたらこれでアイリスを堕とせるかもしれない。

 そして、アイリスを毎回捨てる、この国の王子らしいが、ヤツが嫉妬に狂いアイリスの新しい婚約者を痛めつけるよう誘導した。

 それは見事に成功し、アイリスは初めてその男に憎しみを抱いた。
 ああ。やっと我が手に堕ちてくる。
そう思ったのに、アイリスは踏み止まってしまった。

 ならば、再び駒を使ってやろう。
アイリスはあの婚約者を失えば、必ず堕ちてくる。
 そう思ったのに、アイリスはまた諦めてしまった。

 仕方がない。アイリスがその生を手放したら、またやり直そう。

 愛しいアイリスが命を落とすのを見るのは苦しいが、アイリスがその生を手放さない限り、やり直すことは出来ない。それが無性にもどかしい。
 我に出来るのは、せいぜい駒を唆すことくらいだ。

 次こそは、アイリスに生きて、そして堕ちて来て貰えるよう、うまく駒を使おう。
 そう思って、アイリスと駒の様子を伺っていた我は、魅了されているはずの男が、駒に魔封じの首輪をつけるのを、唖然として見つめるしかなかったー

 

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