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悪役令嬢の終結
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学園長室に呼び出されたベルリント公爵は、目の前で縛られている息子を殴り飛ばした。
「ち、父上・・・」
「父などと呼ばないでもらおう。ロンバート、お前はこの国を滅ぼすつもりか!!」
「は?な、何を・・」
意味がわからないと、目を白黒されているベルリント・・・いやロンバート様から目を逸らし、公爵様は私に深く頭を下げられる。
「アイリス・クラウディア嬢、愚息が誠に申し訳ないことをした。この通りだ」
「ベルリント公爵様、頭を上げてください。私は、その、ロンバート様のことは何も気にしていませんから」
「父上!なんでそんな女に頭を下げられるんですかっ!」
・・・だから、愚息って言われるのよ。自分の立場もわからないのかな。
高位貴族は、与えられる権利とともに、義務だってある。それなりの立ち振る舞いや、対応も求められるのだ。
仮にも公爵家の嫡男が、他国といえどクラウディア家の名を知らないなんてあるのかしら?
「お前は・・・そこまで阿呆だったのか。お前を嫡男にした私が愚かだったということか」
「何をおっしゃるのですか!父上!!」
「・・・そんなくだらない話は後でやってくれないか」
シキがロンバート様と公爵様を睨み付ける。
あの日、私が見せられた光景は、カレン様の暗示によって見せられた幻惑であることが分かった。
ロンバート様とカレン様は、私を助けたシキの後に屋敷に訪れた学園関係者に拘束された。
そして、今日ー
ロンバート様とカレン様の処罰が決まるということで、私とシキは学園長室に訪れていた。
「ああ、すまない。学園長、ロンバートは退学させる」
「父上!」
「そして我が家は、皇帝陛下に公爵家の地位をお返しする。それで、許しては貰えんだろうか」
ベルリント公爵様は、そう言って私とシキに頭を下げられた。
私はシキの腕を掴むと、首を振った。
シキは、私の言いたいことが分かったのか、深く嘆息する。
「ベルリント公爵、俺はそれが当然だと思う。だけど、肝心のアイリスがそれを望まない」
「もっと重い罪をということかね」
「逆だ。アイリスは公爵家の降格を望まない。今回の件、クラウディア家には知らせていない。知らせてたら、この程度では済ますことはできなかったが」
「だが、それでは」
「今回の被害者のアイリスの希望だ。そちらにどうこう言う権利はない。まぁ、その愚息には事の重大さをよく説明してくれ」
「申し訳ないっ!」
頭を下げられるベルリント公爵様に、私は小さくかぶりを振った。
この件が家に知れたら、留学取りやめになって、連れ戻されることは確実だろう。私は、もう少しこの国にいたい。
自分の為に、ベルリント公爵家の降格を望まないだけだ。礼を言われるようなことはない。
一方、カレン様はずっと俯いたままだ。
学園長によると、カレン様は男爵の妾の子供で、男爵家の中でも肩身の狭い暮らしをされていたそうだ。
その父親である男爵は、今回の件を聞いて、カレン様を男爵家から追い出したそうだ。
もう、籍も抜いたから、我が家の娘ではないので、好きに処罰してくれと言われたそうだ。
私は、カレン様のことを好きではない。あの時、シキが彼女を抱いていると思った時、苦しくて苦しくて仕方なかった。
あんな思いをさせた相手に同情するつもりはない。ないけど、家族から愛を与えられなければ、もしかしたらわたしもああなっていたかもしれない。
2人とも、2度と私たちに関わらないでいてくれるなら、それでいいと思う。
最終的に、カレン様はベルリント公爵預かりとなり、ロンバート様と共に奉仕活動をされるそうだ。
ロンバート様は嫡男からは下されたけど、公爵家に留まることは許された。まぁ、留まるというか、監視下に置かれてるだけだけど。
2人からは謝罪はなかったけど、奉仕活動しながら悔い改めて、幸せになってくれたらと思う。
それが、ベルリント公爵様への礼になるし、男爵家への仕返しにもなる。
私は今回の件で、シキへの想いを再認識した。そして、シキの想いも。
シキだけは、他の誰にも譲れない。他の誰を失ったとしても、シキだけいればそれでいい。
シキがいなければ、生きていけないのだからー
「ち、父上・・・」
「父などと呼ばないでもらおう。ロンバート、お前はこの国を滅ぼすつもりか!!」
「は?な、何を・・」
意味がわからないと、目を白黒されているベルリント・・・いやロンバート様から目を逸らし、公爵様は私に深く頭を下げられる。
「アイリス・クラウディア嬢、愚息が誠に申し訳ないことをした。この通りだ」
「ベルリント公爵様、頭を上げてください。私は、その、ロンバート様のことは何も気にしていませんから」
「父上!なんでそんな女に頭を下げられるんですかっ!」
・・・だから、愚息って言われるのよ。自分の立場もわからないのかな。
高位貴族は、与えられる権利とともに、義務だってある。それなりの立ち振る舞いや、対応も求められるのだ。
仮にも公爵家の嫡男が、他国といえどクラウディア家の名を知らないなんてあるのかしら?
「お前は・・・そこまで阿呆だったのか。お前を嫡男にした私が愚かだったということか」
「何をおっしゃるのですか!父上!!」
「・・・そんなくだらない話は後でやってくれないか」
シキがロンバート様と公爵様を睨み付ける。
あの日、私が見せられた光景は、カレン様の暗示によって見せられた幻惑であることが分かった。
ロンバート様とカレン様は、私を助けたシキの後に屋敷に訪れた学園関係者に拘束された。
そして、今日ー
ロンバート様とカレン様の処罰が決まるということで、私とシキは学園長室に訪れていた。
「ああ、すまない。学園長、ロンバートは退学させる」
「父上!」
「そして我が家は、皇帝陛下に公爵家の地位をお返しする。それで、許しては貰えんだろうか」
ベルリント公爵様は、そう言って私とシキに頭を下げられた。
私はシキの腕を掴むと、首を振った。
シキは、私の言いたいことが分かったのか、深く嘆息する。
「ベルリント公爵、俺はそれが当然だと思う。だけど、肝心のアイリスがそれを望まない」
「もっと重い罪をということかね」
「逆だ。アイリスは公爵家の降格を望まない。今回の件、クラウディア家には知らせていない。知らせてたら、この程度では済ますことはできなかったが」
「だが、それでは」
「今回の被害者のアイリスの希望だ。そちらにどうこう言う権利はない。まぁ、その愚息には事の重大さをよく説明してくれ」
「申し訳ないっ!」
頭を下げられるベルリント公爵様に、私は小さくかぶりを振った。
この件が家に知れたら、留学取りやめになって、連れ戻されることは確実だろう。私は、もう少しこの国にいたい。
自分の為に、ベルリント公爵家の降格を望まないだけだ。礼を言われるようなことはない。
一方、カレン様はずっと俯いたままだ。
学園長によると、カレン様は男爵の妾の子供で、男爵家の中でも肩身の狭い暮らしをされていたそうだ。
その父親である男爵は、今回の件を聞いて、カレン様を男爵家から追い出したそうだ。
もう、籍も抜いたから、我が家の娘ではないので、好きに処罰してくれと言われたそうだ。
私は、カレン様のことを好きではない。あの時、シキが彼女を抱いていると思った時、苦しくて苦しくて仕方なかった。
あんな思いをさせた相手に同情するつもりはない。ないけど、家族から愛を与えられなければ、もしかしたらわたしもああなっていたかもしれない。
2人とも、2度と私たちに関わらないでいてくれるなら、それでいいと思う。
最終的に、カレン様はベルリント公爵預かりとなり、ロンバート様と共に奉仕活動をされるそうだ。
ロンバート様は嫡男からは下されたけど、公爵家に留まることは許された。まぁ、留まるというか、監視下に置かれてるだけだけど。
2人からは謝罪はなかったけど、奉仕活動しながら悔い改めて、幸せになってくれたらと思う。
それが、ベルリント公爵様への礼になるし、男爵家への仕返しにもなる。
私は今回の件で、シキへの想いを再認識した。そして、シキの想いも。
シキだけは、他の誰にも譲れない。他の誰を失ったとしても、シキだけいればそれでいい。
シキがいなければ、生きていけないのだからー
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第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
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