93 / 101
悪役令嬢の帰還
しおりを挟む
国に帰るにあたって、馬車を準備しようとしたら、ライナス先生に転移陣の紙をいただいてしまった。
ライナス先生いわく、転移陣を使わなくてもシキの魔法で転移できるらしいけど、魔法の普及していない我が国へいきなり転移して現れたりしたら、大騒ぎになってしまう。
それでも、転移陣の紙を持っていたら、ミチェランティスの魔法を使ったのだと納得してもらえるから、ということらしかった。
そんなことわざわざしなくても、馬車で帰るのに。
せっかく好意でくれたから、使うけどね。
別れの挨拶には、ライナス先生、グリード様、フローレンス様、アーネスト皇子にシャルロット様が来てくれた。
ジェラルド皇子もアーネスト皇子に「ありがとう。世話になった」と言付けをしてくれて、彼が今後立派な皇太子になることは間違いないだろう。
「ライナス先生、お世話になりました」
「こちらこそお世話になりました。アイリスさん、シキくん、ありがとう」
「俺からも礼を言わせてくれ。君たちのおかげでフローレンスを取り戻せることができた。精霊のこともだが、本当に世話になった。ありがとう」
グリード様がライナス先生の隣で頭を下げられた。その後ろでフローレンス様も深々と頭を下げられている。
グリード様ってば、精霊のことよりフローレンス様のことの方が嬉しかったのね。
アーネスト皇子とシャルロット様が大きな箱を差し出して来た。
「これは、シキ様の式典用の衣装です。前回のアイリス様のドレスと対に作ってあります」
「まぁ!わざわざ作って下さったのですか?」
「父上との謁見の際に着てもらおうと準備してあったんだ。着てもらえなかったがな」
アーネスト皇子が苦笑いしている。
準備してくれてたんだ。でも、シキが執事服から着替えなかったってことね。
「ありがとうございます。私のデビュタントのエスコートの時に着てもらいますわ」
「アイリス・・・」
「ね?シキ」
私の言葉に、シキが渋々うなづく。全くもう。デビュタントまで執事服でエスコートするつもりだったのかしら?
笑い合う私たちの元へ、バタバタとした足音が近づいてきた。
何事かと振り返った私は、そこにいた人物に目を丸くする。
「ナルシス様」
「く、クラウディア嬢!帰られると聞いて・・・」
「ええ。ナルシス様、今度は間違えないで下さいませね?プリシア様とお幸せになって下さい」
「!!や、約束する。クラウディア嬢もシキ殿とお幸せに」
本当に、本当に終わったんだ。
私はにっこりと微笑むと、みんなに別れを告げた。
「皆さま、ありがとうございました。お元気で」
シキと転移陣に乗りながら、手を振る。みんなの顔を目に焼き付けながら、私とシキは母国へと転移したー
ライナス先生いわく、転移陣を使わなくてもシキの魔法で転移できるらしいけど、魔法の普及していない我が国へいきなり転移して現れたりしたら、大騒ぎになってしまう。
それでも、転移陣の紙を持っていたら、ミチェランティスの魔法を使ったのだと納得してもらえるから、ということらしかった。
そんなことわざわざしなくても、馬車で帰るのに。
せっかく好意でくれたから、使うけどね。
別れの挨拶には、ライナス先生、グリード様、フローレンス様、アーネスト皇子にシャルロット様が来てくれた。
ジェラルド皇子もアーネスト皇子に「ありがとう。世話になった」と言付けをしてくれて、彼が今後立派な皇太子になることは間違いないだろう。
「ライナス先生、お世話になりました」
「こちらこそお世話になりました。アイリスさん、シキくん、ありがとう」
「俺からも礼を言わせてくれ。君たちのおかげでフローレンスを取り戻せることができた。精霊のこともだが、本当に世話になった。ありがとう」
グリード様がライナス先生の隣で頭を下げられた。その後ろでフローレンス様も深々と頭を下げられている。
グリード様ってば、精霊のことよりフローレンス様のことの方が嬉しかったのね。
アーネスト皇子とシャルロット様が大きな箱を差し出して来た。
「これは、シキ様の式典用の衣装です。前回のアイリス様のドレスと対に作ってあります」
「まぁ!わざわざ作って下さったのですか?」
「父上との謁見の際に着てもらおうと準備してあったんだ。着てもらえなかったがな」
アーネスト皇子が苦笑いしている。
準備してくれてたんだ。でも、シキが執事服から着替えなかったってことね。
「ありがとうございます。私のデビュタントのエスコートの時に着てもらいますわ」
「アイリス・・・」
「ね?シキ」
私の言葉に、シキが渋々うなづく。全くもう。デビュタントまで執事服でエスコートするつもりだったのかしら?
笑い合う私たちの元へ、バタバタとした足音が近づいてきた。
何事かと振り返った私は、そこにいた人物に目を丸くする。
「ナルシス様」
「く、クラウディア嬢!帰られると聞いて・・・」
「ええ。ナルシス様、今度は間違えないで下さいませね?プリシア様とお幸せになって下さい」
「!!や、約束する。クラウディア嬢もシキ殿とお幸せに」
本当に、本当に終わったんだ。
私はにっこりと微笑むと、みんなに別れを告げた。
「皆さま、ありがとうございました。お元気で」
シキと転移陣に乗りながら、手を振る。みんなの顔を目に焼き付けながら、私とシキは母国へと転移したー
51
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
待ち伏せされた悪役令嬢、幼馴染み騎士団長と初恋をやり直す。
待鳥園子
恋愛
悪役令嬢クラウディア・エズモンドとして転生し、前世の記憶が婚約破棄の夜会数日前に戻った。
もう婚約破棄されることは避けられない。覚悟を決めて夜会が開催される大広間に向かう途中、騎士団長であるオルランド・フィンリーに呼び止められ……。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
悪役令嬢は間違えない
スノウ
恋愛
王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。
その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。
処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。
処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。
しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。
そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。
ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。
ジゼットは決意する。
次は絶対に間違えない。
処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。
そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。
────────────
毎日20時頃に投稿します。
お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる