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三度目の人生
お母様が悪女のようだわ
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「え、あ、え?」
戸惑った声を上げる婚約者様に、たたみ込むように言葉を続ける。
「一週間後の夜会がちょうどいいですわ!そこで、キャス様を婚約者だと宣言するのです。そうすれば、誰も文句は言えませんわ」
「え、いや、しかし・・・」
「あらあら?殿下はうちの娘より、その方をお好きなのでしょう?娘の案は最適だと思いましてよ」
私の勢いに殿下が戸惑っていると、後ろから声がした。
「お母様。お話は終わりましたの?」
「ええ、なんとかね」
お母様は埒の明かない王妃様との話を切り上げ、側妃殿下と話しに行かれていたのだ。
正妃殿下のお子である、目の前の婚約者様の前では言いにくいけど。
「その話はまた戻ってからしましょう。それよりも殿下。殿下がそちらのご令嬢と婚約出来る様に、我が公爵家も力を貸しましてよ?ですから、決断なさいませ」
「ロッテンマイヤー公爵家が・・・」
「ええ。殿下が公言して下さるとお約束くだされば、その夜会のためのご令嬢のドレスも装飾品もわたくしが準備しましょう。殿下のお色で」
「わぁ!アズリルさまぁ。キャス、綺麗なドレス着たいですぅ」
「あ、ああ・・・」
婚約者様は、お母様の押しと、キャス様の甘えた言葉に、深く考えずに頷いた。
「キャスが王太子妃になれるように、協力してくれるんだな」
「・・・ええ。王太子殿下であるあなたの妃になれるように」
「わかった。夜会でキャスを婚約者だと宣言しよう」
なんて愚かな方なのかしら。
こんな方だから、王妃様は私との婚約を解消させて下さらなかったのね。
お母様はお約束通りに、殿下の妃にキャス様を据えるだろう。
現在は王太子であるアズリル殿下の妃に。
でも、王太子妃にするとは約束していない。
彼女を婚約者にした時点・・・いえ、レティーナとの婚約を解消した時点でアズリル殿下は王太子の座から引きずり下ろされる。
そして側妃殿下のお子様である第二王子殿下が、立太子される。
きっと、お母様は側妃殿下とそうお話されて来たのだと思う。
お父様である、国王陛下の背中を見て育ったのね。
陛下は他にご兄弟がいらっしゃらなかった事と、ご成婚直前に正妃様を妃にするとおっしゃったから、王太子の座から下されなかっただけなのに。
それでも、あなたが優秀で誠実で努力家だったなら、王太子のままだったのよ?
あなたを支え、後ろ盾とするために、ロッテンマイヤー公爵家の一人娘であるレティーナとの婚約を結んだのだから。
王太子でなくなっても、キャス様と幸せになれるとは思うわ。
だって、レティーナよりも好きなのでしょう?
戸惑った声を上げる婚約者様に、たたみ込むように言葉を続ける。
「一週間後の夜会がちょうどいいですわ!そこで、キャス様を婚約者だと宣言するのです。そうすれば、誰も文句は言えませんわ」
「え、いや、しかし・・・」
「あらあら?殿下はうちの娘より、その方をお好きなのでしょう?娘の案は最適だと思いましてよ」
私の勢いに殿下が戸惑っていると、後ろから声がした。
「お母様。お話は終わりましたの?」
「ええ、なんとかね」
お母様は埒の明かない王妃様との話を切り上げ、側妃殿下と話しに行かれていたのだ。
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「その話はまた戻ってからしましょう。それよりも殿下。殿下がそちらのご令嬢と婚約出来る様に、我が公爵家も力を貸しましてよ?ですから、決断なさいませ」
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「ええ。殿下が公言して下さるとお約束くだされば、その夜会のためのご令嬢のドレスも装飾品もわたくしが準備しましょう。殿下のお色で」
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「あ、ああ・・・」
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「キャスが王太子妃になれるように、協力してくれるんだな」
「・・・ええ。王太子殿下であるあなたの妃になれるように」
「わかった。夜会でキャスを婚約者だと宣言しよう」
なんて愚かな方なのかしら。
こんな方だから、王妃様は私との婚約を解消させて下さらなかったのね。
お母様はお約束通りに、殿下の妃にキャス様を据えるだろう。
現在は王太子であるアズリル殿下の妃に。
でも、王太子妃にするとは約束していない。
彼女を婚約者にした時点・・・いえ、レティーナとの婚約を解消した時点でアズリル殿下は王太子の座から引きずり下ろされる。
そして側妃殿下のお子様である第二王子殿下が、立太子される。
きっと、お母様は側妃殿下とそうお話されて来たのだと思う。
お父様である、国王陛下の背中を見て育ったのね。
陛下は他にご兄弟がいらっしゃらなかった事と、ご成婚直前に正妃様を妃にするとおっしゃったから、王太子の座から下されなかっただけなのに。
それでも、あなたが優秀で誠実で努力家だったなら、王太子のままだったのよ?
あなたを支え、後ろ盾とするために、ロッテンマイヤー公爵家の一人娘であるレティーナとの婚約を結んだのだから。
王太子でなくなっても、キャス様と幸せになれるとは思うわ。
だって、レティーナよりも好きなのでしょう?
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