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悪役令嬢、勧める
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「人を貶めようとする人間を、僕が選ぶことはない」
ダミアンの声に振り返ると、そこにはメロディの手を引いたダミアンがいた。
夏の青空のような、澄んだ青いドレスを身に纏ったメロディ。
そっか。
ダミアンは、そのドレスを選んだんだね。
自分の色とメロディの色のドレスが準備されてあって、その両方を見た上で青のドレスを選んだんだ。
私になる前のアナスタシアは、ダミアンのことを好きだったかもしれない。
ラノベの中では、ダミアンのことを好きだったから。
でも、私は全くダミアンに恋情は抱いていないので、メロディを選んだダミアンを「よくやった」と思う程度の気持ちだ。
どっちかというと、メロディはダミアンで良いの?と思うくらい。
だって、ねぇ。
現実のメロディって本当に良い子なんだもん。
「だ、ダミアン殿下・・・ッ!そのドレスは」
ダミアンの冷たい声に、顔を青ざめさせたマチルダだけど、メロディのドレスを見て怒りからか顔を赤くした。
「ペイジ嬢に着てもらうべく、準備したものだ。何か文句でもあるのか?」
誰が準備したのかは言わずに、ダミアンがマチルダに鋭い視線を向ける。
よくあるラノベの、頭の中に花の咲いた、お花畑攻略対象とは違うみたいね。
このダミアンなら、メロディに相応しいかも。
さすがに王太子殿下にそう言われて、マチルダはメロディを睨みつけることしかできないようだった。
やれやれ。
謝罪でもすれば、水に流してあげても良いかと思ったのに。
だって、メロディはそういう優しい女の子だから。
でもね、マチルダ。
私はヒロインとは違うの。
貴女が敵に回したのは、男爵令嬢のメロディではなく、王太子殿下であるダミアンであり、公爵令嬢である私であり、公爵令息であるカイルなのよ。
「メロディ様、よくお似合いですわ」
「アナスタシア様・・・ありがとうございます」
「ダミアン。ここは僕が片付けるから、あっちで話してれば?」
あら?カイル、気を利かせて・・・じゃないわよね。
ダミアンが邪魔だと思ってる?
マチルダのことは、自分が断罪したいと思った?
ありがたいことに、カイルは私のことをとても大事に思ってくれている。
その私が主催のお茶会で騒動を起こしたマチルダに対して、まぁ腹を立てているわよね。
「殿下。ここは私たちにお任せください。せっかくのお茶会です。メロディ様に楽しんでいただきたいのです。ご案内お願いできますか?」
「・・・分かった。行こう、ペイジ嬢」
ダミアンの声に振り返ると、そこにはメロディの手を引いたダミアンがいた。
夏の青空のような、澄んだ青いドレスを身に纏ったメロディ。
そっか。
ダミアンは、そのドレスを選んだんだね。
自分の色とメロディの色のドレスが準備されてあって、その両方を見た上で青のドレスを選んだんだ。
私になる前のアナスタシアは、ダミアンのことを好きだったかもしれない。
ラノベの中では、ダミアンのことを好きだったから。
でも、私は全くダミアンに恋情は抱いていないので、メロディを選んだダミアンを「よくやった」と思う程度の気持ちだ。
どっちかというと、メロディはダミアンで良いの?と思うくらい。
だって、ねぇ。
現実のメロディって本当に良い子なんだもん。
「だ、ダミアン殿下・・・ッ!そのドレスは」
ダミアンの冷たい声に、顔を青ざめさせたマチルダだけど、メロディのドレスを見て怒りからか顔を赤くした。
「ペイジ嬢に着てもらうべく、準備したものだ。何か文句でもあるのか?」
誰が準備したのかは言わずに、ダミアンがマチルダに鋭い視線を向ける。
よくあるラノベの、頭の中に花の咲いた、お花畑攻略対象とは違うみたいね。
このダミアンなら、メロディに相応しいかも。
さすがに王太子殿下にそう言われて、マチルダはメロディを睨みつけることしかできないようだった。
やれやれ。
謝罪でもすれば、水に流してあげても良いかと思ったのに。
だって、メロディはそういう優しい女の子だから。
でもね、マチルダ。
私はヒロインとは違うの。
貴女が敵に回したのは、男爵令嬢のメロディではなく、王太子殿下であるダミアンであり、公爵令嬢である私であり、公爵令息であるカイルなのよ。
「メロディ様、よくお似合いですわ」
「アナスタシア様・・・ありがとうございます」
「ダミアン。ここは僕が片付けるから、あっちで話してれば?」
あら?カイル、気を利かせて・・・じゃないわよね。
ダミアンが邪魔だと思ってる?
マチルダのことは、自分が断罪したいと思った?
ありがたいことに、カイルは私のことをとても大事に思ってくれている。
その私が主催のお茶会で騒動を起こしたマチルダに対して、まぁ腹を立てているわよね。
「殿下。ここは私たちにお任せください。せっかくのお茶会です。メロディ様に楽しんでいただきたいのです。ご案内お願いできますか?」
「・・・分かった。行こう、ペイジ嬢」
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小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
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