44 / 78
第四章 忍び寄る魔手
章閑話—10 アズベルトの焦燥
しおりを挟む
久しぶりに古い友人に会う事になった。
レオドルド・サージェンス
男の私から見ても目鼻立ちの美しい男だ。
彼との出会いは王立の学院だった。
同じ歳で、入学当時から綺麗な顔の男の子がいると令嬢達の間で噂になっていた。
私は騎士養成科だったが、彼は経済学科で経営や商売について学んでいた。家が商家だったのだ。
初めて会ったのは、同じ専攻授業で席が隣同士になった時だ。
宝石のような美しい青眼とクセのある金髪が、この世の人間と思えなくて、今でもその衝撃は覚えている。
最初は女性だと思い、声を聞いて男性だと分かった。
その事を正直に言って謝罪すると、レオは「君は随分と律儀で正直者だな」と笑われてしまった。
それから顔を合わせる度によく話すようになった。
彼の家は名のある商家で、母親が異民族なのだそうだ。
目も髪も母親譲りと言っていた。そのおかげで色々苦労するのだと話してくれた。
良くも悪くも目立つ容姿だ。私には想像もつかないような苦労も、きっと多かったのだろう。
レオが初めてカナリアと会ったのは、彼女が五歳の時だ。
原因不明の熱で倒れ、三日間意識が戻らなかった。
目が覚めて一週間程ベッドから出る事を許されず、ぐずっていて困っていると聞いて、レオを連れて会いに行った。
『うわぁ……あなたのおめめ、宝石みたいね……』
そう言ってレオの瞳をずっと見つめていたリアは、紛れもなく天使だった。
それから、リアのところに行く時は、レオも同行するようになった。
私が言うのもなんだが、レオは過保護なヤツだった。
身体の弱いリアを心配して、移動の度に彼女を腕に抱いていた。
ある時、いつものようにレオが彼女を抱き上げると、リアが小さな頬をぷくぷくに膨らませて、『歩けるのに!』と怒った事があった。
リアは病人扱いされる事に怒ったようだったが、レオもレオでそうするのが楽しみだったのか譲らない。
二人に助けを求められた私がリアを説得したのだ。
『レオはリアと一緒にいられる時間が少ないだろう? だから、少しでもリアの側に居たいんだ。レオの我儘だと思ってリアが許してやってくれないか?』
『レオが抱っこしたいってコト?』
『そうだよ』
『……それなら仕方ないわね。許してあげるわ』
そう言って可憐な花のような笑顔を咲かせた姿もまた天使だった。
学院の卒業と同時にレオは、家の事業拡大の為、他国へと行ってしまったのだ。
それからは時折手紙のやり取りをしていたが、それもお互いに忙しくなるにつれ、やがて疎遠になってしまった。
直近で会ったのは、リアの十三歳の誕生日に我が家でパーティーを開いた時だ。
その時初めて大人の仲間入りしたリアが美しく着飾った姿を見た。
私はもちろんの事、レオも恐らく初めてリアを一人の女性として意識した瞬間だったと思う。
リアに余命宣告が下った時、レオにも手紙で知らせていたのだが、彼がリアに会いに来る事は無かった。
今思えば、拠点を移して活動していただろう彼に、その手紙が渡ったのかどうか定かではない。
およそ三年ぶりに会ったレオは、ますます美しさに磨きが掛かっている。
外国でどんな仕事をしているのか教えてはくれないが、きっと苦労が絶えないのだろう。闇も少々垣間見えた。
カナリアがうちで療養している事を伝えると、会いたいと即答してきた。
晩餐を共にと思ったが、仕事が立て込んでいるようで、別々の馬車で別荘へとやってきたのだ。
カナにこっそりと旧友だと伝えると、察しの良い彼女は緊張気味に頷いた。
嬉しそうにカナの手を取りキスをするレオに、挨拶だと分かっているのに心がざわつく。
数年ぶりの再会だ、少しくらい距離が近いのも、多少スキンシップが多いのも仕方のない事だ。
それは分かっているのに、レオがカナを見つめる度に、手を握る度に、心の奥がチリチリと焼ける思いがした。
レオの美しい瞳に、美麗な微笑みに、カナが心を奪われやしないかと気が気で無かったのだ。
挙句の果てには、カナまでレオの話をする。
しかもだ。レオがカナリアを好きだったのではないかと言い出した。
まさか……有り得ない。
レオが他国へ立つ時、カナリアはまだ六歳だった。
妹のように思っていたと言うならまだ頷ける。レオはとても過保護だった。
リアの誕生日パーティーで久しぶりに会った時も、そんな素振りは微塵も無かったし、腕に抱けないくらい大きくなってしまって寂しいと言っていたくらいだ。
やはり兄として妹の成長が嬉しくもあり、寂しくもあるのだろうと、そう感じたのだ。
それでもまだレオの事で思うところがあったのか、カナが思考を巡らせている。
それ以上他の男の事で気を散らされたくなくて、病み上がりだと分かっていたのに組み敷いてしまった。
いつもよりもずっと強引に口付けた。
自分がこんなにも欲の強い人間だったのかと驚くと同時に、器の小ささに愕然とした。
こんな筈では無かったのに。もっと大人の余裕でカナを見守り、支えてやる筈だった。
こんな事ではカナに早々に愛想を尽かされてしまうかもしれない。
案の定抗議の眼差しを貰ったが、それですら他の誰でもない自分に向けられている事に安堵すら覚えた。
あぁ、重症だな……
もっと自分を律しなければ……でなければ俺は……
そう思っていたのに、カナはこちらへ手を伸ばし頬へ触れてきた。
いつも俺がそうするように。
まるで何かをねだるように。
察して欲しいと顔に書いてあったが、それは出来ない相談だ。
言ってくれ。君のその口から聞きたいんだ。
「……キス、して……」
俺の持てる全ての理性を総動員してそれに応えた。
タガが外れてしまいそうだ。
早く欲しい。
全部欲しい。
彼女だけを見て、彼女だけに触れて、彼女だけ愛する世界になってしまえばいいのに。
身体も、心も、カナの全てが一日も早く、一秒でも早く、俺の物になればいい。
俺だけのモノになればいい。
ゲネシスに時間軸を超えられるような転移魔法の研究を提案してみようか。
「また簡単にそういう事を」と、怒られてしまうだろうか。
そんな風に余計な事を考えながら、彼女に向かいそうになるこの気持ちを懸命に逃すのだった。
レオドルド・サージェンス
男の私から見ても目鼻立ちの美しい男だ。
彼との出会いは王立の学院だった。
同じ歳で、入学当時から綺麗な顔の男の子がいると令嬢達の間で噂になっていた。
私は騎士養成科だったが、彼は経済学科で経営や商売について学んでいた。家が商家だったのだ。
初めて会ったのは、同じ専攻授業で席が隣同士になった時だ。
宝石のような美しい青眼とクセのある金髪が、この世の人間と思えなくて、今でもその衝撃は覚えている。
最初は女性だと思い、声を聞いて男性だと分かった。
その事を正直に言って謝罪すると、レオは「君は随分と律儀で正直者だな」と笑われてしまった。
それから顔を合わせる度によく話すようになった。
彼の家は名のある商家で、母親が異民族なのだそうだ。
目も髪も母親譲りと言っていた。そのおかげで色々苦労するのだと話してくれた。
良くも悪くも目立つ容姿だ。私には想像もつかないような苦労も、きっと多かったのだろう。
レオが初めてカナリアと会ったのは、彼女が五歳の時だ。
原因不明の熱で倒れ、三日間意識が戻らなかった。
目が覚めて一週間程ベッドから出る事を許されず、ぐずっていて困っていると聞いて、レオを連れて会いに行った。
『うわぁ……あなたのおめめ、宝石みたいね……』
そう言ってレオの瞳をずっと見つめていたリアは、紛れもなく天使だった。
それから、リアのところに行く時は、レオも同行するようになった。
私が言うのもなんだが、レオは過保護なヤツだった。
身体の弱いリアを心配して、移動の度に彼女を腕に抱いていた。
ある時、いつものようにレオが彼女を抱き上げると、リアが小さな頬をぷくぷくに膨らませて、『歩けるのに!』と怒った事があった。
リアは病人扱いされる事に怒ったようだったが、レオもレオでそうするのが楽しみだったのか譲らない。
二人に助けを求められた私がリアを説得したのだ。
『レオはリアと一緒にいられる時間が少ないだろう? だから、少しでもリアの側に居たいんだ。レオの我儘だと思ってリアが許してやってくれないか?』
『レオが抱っこしたいってコト?』
『そうだよ』
『……それなら仕方ないわね。許してあげるわ』
そう言って可憐な花のような笑顔を咲かせた姿もまた天使だった。
学院の卒業と同時にレオは、家の事業拡大の為、他国へと行ってしまったのだ。
それからは時折手紙のやり取りをしていたが、それもお互いに忙しくなるにつれ、やがて疎遠になってしまった。
直近で会ったのは、リアの十三歳の誕生日に我が家でパーティーを開いた時だ。
その時初めて大人の仲間入りしたリアが美しく着飾った姿を見た。
私はもちろんの事、レオも恐らく初めてリアを一人の女性として意識した瞬間だったと思う。
リアに余命宣告が下った時、レオにも手紙で知らせていたのだが、彼がリアに会いに来る事は無かった。
今思えば、拠点を移して活動していただろう彼に、その手紙が渡ったのかどうか定かではない。
およそ三年ぶりに会ったレオは、ますます美しさに磨きが掛かっている。
外国でどんな仕事をしているのか教えてはくれないが、きっと苦労が絶えないのだろう。闇も少々垣間見えた。
カナリアがうちで療養している事を伝えると、会いたいと即答してきた。
晩餐を共にと思ったが、仕事が立て込んでいるようで、別々の馬車で別荘へとやってきたのだ。
カナにこっそりと旧友だと伝えると、察しの良い彼女は緊張気味に頷いた。
嬉しそうにカナの手を取りキスをするレオに、挨拶だと分かっているのに心がざわつく。
数年ぶりの再会だ、少しくらい距離が近いのも、多少スキンシップが多いのも仕方のない事だ。
それは分かっているのに、レオがカナを見つめる度に、手を握る度に、心の奥がチリチリと焼ける思いがした。
レオの美しい瞳に、美麗な微笑みに、カナが心を奪われやしないかと気が気で無かったのだ。
挙句の果てには、カナまでレオの話をする。
しかもだ。レオがカナリアを好きだったのではないかと言い出した。
まさか……有り得ない。
レオが他国へ立つ時、カナリアはまだ六歳だった。
妹のように思っていたと言うならまだ頷ける。レオはとても過保護だった。
リアの誕生日パーティーで久しぶりに会った時も、そんな素振りは微塵も無かったし、腕に抱けないくらい大きくなってしまって寂しいと言っていたくらいだ。
やはり兄として妹の成長が嬉しくもあり、寂しくもあるのだろうと、そう感じたのだ。
それでもまだレオの事で思うところがあったのか、カナが思考を巡らせている。
それ以上他の男の事で気を散らされたくなくて、病み上がりだと分かっていたのに組み敷いてしまった。
いつもよりもずっと強引に口付けた。
自分がこんなにも欲の強い人間だったのかと驚くと同時に、器の小ささに愕然とした。
こんな筈では無かったのに。もっと大人の余裕でカナを見守り、支えてやる筈だった。
こんな事ではカナに早々に愛想を尽かされてしまうかもしれない。
案の定抗議の眼差しを貰ったが、それですら他の誰でもない自分に向けられている事に安堵すら覚えた。
あぁ、重症だな……
もっと自分を律しなければ……でなければ俺は……
そう思っていたのに、カナはこちらへ手を伸ばし頬へ触れてきた。
いつも俺がそうするように。
まるで何かをねだるように。
察して欲しいと顔に書いてあったが、それは出来ない相談だ。
言ってくれ。君のその口から聞きたいんだ。
「……キス、して……」
俺の持てる全ての理性を総動員してそれに応えた。
タガが外れてしまいそうだ。
早く欲しい。
全部欲しい。
彼女だけを見て、彼女だけに触れて、彼女だけ愛する世界になってしまえばいいのに。
身体も、心も、カナの全てが一日も早く、一秒でも早く、俺の物になればいい。
俺だけのモノになればいい。
ゲネシスに時間軸を超えられるような転移魔法の研究を提案してみようか。
「また簡単にそういう事を」と、怒られてしまうだろうか。
そんな風に余計な事を考えながら、彼女に向かいそうになるこの気持ちを懸命に逃すのだった。
50
あなたにおすすめの小説
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる