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46.逢引の誘い
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「その……なんとお呼びすれば」
今のジャハーンダールの姿は宮廷魔術師の服装をしているが、何も知らなかった頃のようにメフルダートと呼ぶことはためらわれる。
「メフルダートと」
「はい、メフルダート」
ファルリンはジャハーンダールの向かいに座っている。以前ジャハーンダールに教えを乞うていた時のようだ、とファルリンは思った。
「お前を、誘いに来た」
ジャハーンダールはそう、切り出した。
「明日、城下に遊びに行くぞ」
「護衛ですね。承知しました」
ファルリンに直接命じることは珍しかったが、近衛騎士として王族の身辺警護は通常の任務である。殆どは近衛騎士として何年も勤めた人物が行っている。
「違う!誘いに来たと言っただろう」
ファルリンの鈍感ぶりに、ジャハーンダールがいらだった声を出す。
「逢い引きだ!ファルリンは、明日俺と逢い引きをする」
「承知しました!」
ジャハーンダールの迫力に負け、つい任務を与えられたときにする敬礼までつけてファルリンは返事をした。
「言質はとったからな。明日、部屋に迎えに行く」
言いたいことを言ってすっきりしたのか、ジャハーンダールは立ち上がった。ファルリンも諦めて立ち上がる。
「部屋まで送ろう」
ジャハーンダールの申し出に、ファルリンは最初は断っていたのだがジャハーンダールの押しの強さに負けて結局、部屋まで送って貰うことになった。国王と横に並んで歩いているなんて、いつ誰になんと言われるかと、ファルリンは内心びくびくしていたが、宮廷魔術師の服を着たジャハーンダールが王様だとは、すれ違う人は誰も気がつかなかった。
ジャハーンダールのエスコートは完璧で、ファルリンはちょっとした令嬢気分を味わっていた。
やがて、ファルリンの部屋の前にたどり着く。ジャハーンダールは、さっさと部屋に入ろうとするファルリンの腕を捕まえて自分の方へと引き寄せた。
急激に近くなったジャハーンダールの花の香りにファルリンは、ジャハーンダールに抱きしめられていることに気がついた。
「ファルリン」
ジャハーンダールに抱き寄せられ、ファルリンの背中にはジャハーンダールの手が回っている。ジャハーンダールは首を傾けファルリンの頭に軽く顎を当てている。おかげでジャハーンダールがファルリンに話しかけると、骨伝いに声が響いた。
「なんでしょう」
ファルリンの声は上ずっていた。よく見るとみみまで真っ赤に染まっている。
「おやすみ。楽しみにしている」
ジャハーンダールにきゅっと抱きしてからファルリンを解放した。ファルリンは夢心地のまま部屋に入って、部屋の扉を閉めた。
翌朝、ファルリンは何の服を着ていくのかずっと悩んでいた。ジャハーンダールに楽しみにしていると言われたのだ。自分史上最高に可愛いくありたいと思う反面、ジャハーンダールが襲われたときに備えて、動きやすい服装をしたほうが良いのでは?と職業病とも言えることとのせめぎ合いをしている。
そろそろ折り合いを付けないと、まったく支度が出来ていない状態でジャハーンダールの迎えが来てしまうことになる。
結局、ファルリンは妥協案にした動きやすいが、そこそこ可愛い服装にしたのだ。これなら、いざというとき多少は、無理が利く。
ファルリンの支度がちょうど終わったときに、ジャハーンダールが迎えに来た。
いよいよ、城下町デートの始まりである。
今のジャハーンダールの姿は宮廷魔術師の服装をしているが、何も知らなかった頃のようにメフルダートと呼ぶことはためらわれる。
「メフルダートと」
「はい、メフルダート」
ファルリンはジャハーンダールの向かいに座っている。以前ジャハーンダールに教えを乞うていた時のようだ、とファルリンは思った。
「お前を、誘いに来た」
ジャハーンダールはそう、切り出した。
「明日、城下に遊びに行くぞ」
「護衛ですね。承知しました」
ファルリンに直接命じることは珍しかったが、近衛騎士として王族の身辺警護は通常の任務である。殆どは近衛騎士として何年も勤めた人物が行っている。
「違う!誘いに来たと言っただろう」
ファルリンの鈍感ぶりに、ジャハーンダールがいらだった声を出す。
「逢い引きだ!ファルリンは、明日俺と逢い引きをする」
「承知しました!」
ジャハーンダールの迫力に負け、つい任務を与えられたときにする敬礼までつけてファルリンは返事をした。
「言質はとったからな。明日、部屋に迎えに行く」
言いたいことを言ってすっきりしたのか、ジャハーンダールは立ち上がった。ファルリンも諦めて立ち上がる。
「部屋まで送ろう」
ジャハーンダールの申し出に、ファルリンは最初は断っていたのだがジャハーンダールの押しの強さに負けて結局、部屋まで送って貰うことになった。国王と横に並んで歩いているなんて、いつ誰になんと言われるかと、ファルリンは内心びくびくしていたが、宮廷魔術師の服を着たジャハーンダールが王様だとは、すれ違う人は誰も気がつかなかった。
ジャハーンダールのエスコートは完璧で、ファルリンはちょっとした令嬢気分を味わっていた。
やがて、ファルリンの部屋の前にたどり着く。ジャハーンダールは、さっさと部屋に入ろうとするファルリンの腕を捕まえて自分の方へと引き寄せた。
急激に近くなったジャハーンダールの花の香りにファルリンは、ジャハーンダールに抱きしめられていることに気がついた。
「ファルリン」
ジャハーンダールに抱き寄せられ、ファルリンの背中にはジャハーンダールの手が回っている。ジャハーンダールは首を傾けファルリンの頭に軽く顎を当てている。おかげでジャハーンダールがファルリンに話しかけると、骨伝いに声が響いた。
「なんでしょう」
ファルリンの声は上ずっていた。よく見るとみみまで真っ赤に染まっている。
「おやすみ。楽しみにしている」
ジャハーンダールにきゅっと抱きしてからファルリンを解放した。ファルリンは夢心地のまま部屋に入って、部屋の扉を閉めた。
翌朝、ファルリンは何の服を着ていくのかずっと悩んでいた。ジャハーンダールに楽しみにしていると言われたのだ。自分史上最高に可愛いくありたいと思う反面、ジャハーンダールが襲われたときに備えて、動きやすい服装をしたほうが良いのでは?と職業病とも言えることとのせめぎ合いをしている。
そろそろ折り合いを付けないと、まったく支度が出来ていない状態でジャハーンダールの迎えが来てしまうことになる。
結局、ファルリンは妥協案にした動きやすいが、そこそこ可愛い服装にしたのだ。これなら、いざというとき多少は、無理が利く。
ファルリンの支度がちょうど終わったときに、ジャハーンダールが迎えに来た。
いよいよ、城下町デートの始まりである。
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