ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝1-【完】

桜月真澄

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4 すれ違い

side想7

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「女性」

「女の人になりたくて、女の子の格好してるわけじゃない……性同一性障害ってやつではないんだ?」

「ない。あの格好と話し方は、ただの里宇の趣味だ」

「まー里宇ちゃん、パッと見は本当に美少女だから、勘違いした他校の男子によく告白されてるんだよね……」

「そんで非道い振り方して逃げてる。絶対相手の男子、トラウマになってると思う。ちなみに、俺に似て美結が大好き」

「好きな子って美結なの!? 兄弟で!?」

あ、また誤解させてしまった。

「いや、そうではないんだ。里宇は美結が姉になるのが夢っていう意味での好きで、里宇の好きな人は一年の頃の担任の先生」

「想、さらっとすごいこと言ったね」

「碓氷くん。弟さんの、女装? ていつからなの?」

「……あいつが女装し出したの、あいつが小三の頃なんだけど、休みの日にいきなりスカート履いてリビングにおりてきて、『僕、こういう格好したいだ』って言いだしたんだ」

「……ご両親は……?」

「歓喜した」

「え」

「本当は娘もほしかったんだ! つって、大歓迎。率先して里宇に女物の服とか化粧品買い与え出した」

「………」

「さすがに俺も最初は、おい待てよお前らって思ったけど、俺が口はさむ余裕もないくらい楽しそうにしてるから、まいっか、ってなった」

簡単に言うと僕は、親のことも弟のことも諦めたわけだ。

「……ご両親だけじゃなくてお兄さんも柔軟なんだね……」

……たぶん僕は家族ごと、新垣には呆れられたと思う。

「――想!」

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