ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝1-【完】

桜月真澄

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5 帰せないよ

side想3

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「あー、うん、色々と。美結の家の事情だから、今は俺らだけで話させて」

「わかった。……想」

「うん?」

喉がかわいていたから冷蔵庫から麦茶の作り置きを取り出していると、母さんが真剣な顔で言って来た。

「抱えきれなくなる前に、ちゃんと頼るのよ?」

「うん、わかってる」

母さんに答えて、僕は自分の部屋に向かった。

美結に服を貸せって言われても、僕のでいいのか? 母さんから借りた方がいいのでは……と思ったけど、なんか腹立って来たから言うのはやめた。

取りあえず、シャツとハーフパンツとかでいいのかな? 僕と美結の身長差からして、かなり可愛い美結になってしまうと思うんだけど。

ひと揃え持って、脱衣所のドアをノックする。

「美結、着替え持って来たから、開けても大丈夫?」

「あっ、うん! 大丈夫っ」

声はこもって聞こえるから、まだ風呂場にいるようだ。

僕は洗面台に服を置いて、「髪も乾かしてくるんだよ」と更に念を押してから脱衣所を出た。

……今更だけど、今、どういう状況?

と考えようとしたけど、僕が噴火することになりそうなので、これ以上の思考は封じた。

ししとう……あ、違った。心頭滅却? よし、滅却だ。

美結が困っている。現状は、それだけだ。

いつ美結が出てきてもいいように、僕はリビング待機することにした。新聞読も。

少しして、美結がリビングに顔をのぞかせた。ソファにいた僕は手にしていた新聞を投げてすっ飛んでいく。

「美結、ちょっといい?」

「え? うん」

返事を待ってから抱きしめた。

「そっ……」

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