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しおりを挟む『鬼よりも美しいものってありますかね?』
『花のような美しさはあるけど美しい花はないって言うよね』
『花と鬼を同列にしますか。そうですね――星とか月はどうですか?』
『いや――光で言うなら、月光みたいな白い光じゃなくて黒く光を呑み込む方だから――』
『黒光り?』
『殴るよ』
『撤回します。ブラックホールですね』
その後もそんな会話が延々続く。
「………」
「………」
((何を話しているんだ!?))
降渡お手製の盗聴器を挟んで、二人の時間は停止していた。変な汗が出る。
「すげえ……すげえよ咲桜ちゃん……。あのふゆとここまでフレンドリーに会話できるなんて……」
「あいつ結構女嫌いだからな……。しかしほんと何の話してんだ……?」
「ふゆと話が合うってのもすげーな。さすがりゅうの女」
「だろ。……けど、咲桜と吹雪は話が合うタイプだったのか……」
まさかの伏兵だ。もっとも、吹雪には絶対的にすきな女性がいるからそういった方面での心配はないのだ。
「あ」
降渡が二人の方へ目をやると、二人の若い男が何やら声をかけている。
ナンパ。吹雪は一見女性にしか見えないから目をつけられたのだろう。
流夜が立ち上がると同時に、また声が聞こえて来た。
『ごめんなさい。今日は私と彼女のデートの日なんですよー。忙しいこの子の予定、あなたたちには譲れませんよ』
「「…………」」
そう言った声は吹雪のものではなく、咲桜のものだった。
……なんだって? 一拍固まった後咲桜と吹雪を見遣ると、咲桜が吹雪の肩に腕を廻していた。
そしてなんと吹雪が真顔で固まっていた。
男たちは「え」と息を呑み、何か悪いものに触れてしまったように踵を返した。
無言の流夜、吹雪。降渡だけが呟いた。
「……咲桜ちゃん、強」
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