溺甘系朧咲夜【完】

桜月真澄

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閑話休題

拝啓桃子母さんへ1

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桃子母さんへ

咲桜は高校一年生になったよ。桃子母さんがこれを読むことはないし、誰に見せるわけでもない手紙だから、色々ぶちまけて書いて行こうと思うよ。なんと言うか、私の頭の中の整理というかね。

まずはね、流夜くん――神宮先生と付き合うことになったよ。

知ってた? 流夜くんって、桃子母さんの弟だったんだって。

――って言うと、誤解しか招かないよね。桃子母さんは記憶喪失だったから最期まで知らなかったと思うけど、桃子母さんが、神宮美流子さんだったんだって。

美流子さんは、流夜くんのお姉さんだったんだって。て言っても、美流子さんは流夜くんの家に養子に入ってるから、本当の姉弟ではなくて、でも親戚だったから一応血縁だって聞いたよ。

流夜くんも在義父さんも知ってたんだって。黙ってるなんて性質悪いよね、全く。

……桃子母さんがあと少し生きてくれていたら、流夜くんと逢うこともあったのかな?

流夜くんたちが龍生さんの故郷の天龍を出て来たのが全寮制の中学に入るためだったから、ほんとに少しの時間差ってくらいだったのかな。

私が言うのも難だけど、流夜くんも桃子母さんも、逢っていても気づかなさそう笑

なんてね。でもさ、これってすごいことだよね? だって、どうあっても私、流夜くんと出逢っていたって解釈も出来ると思わない?

流夜くんのご家族に何もなかったら叔父として出逢っていたわけだけど、流夜くんも、もちろんご両親も美流子さんが養子だって知っていたから、いつかは私も知っていたと思うんだ。

さすがに本当の叔父さんだったら憧れ止まりだったろうけど、本当のことを知った私は、絶対流夜くんをオトしにいっていたからね(。-`ω-)

流夜くん――先生が偽彼氏? になる前は、卒業したら告白できたらいいなあ、程度だったけど、私きっとそれだけじゃ心残りがありすぎたと思う。

本当に、ずっと好きだったから。でもねでもね、流夜くんてば留学してる間に超絶美人な弟作ってたんだよ!? ここは怒っていいとこじゃない!?

……この前また《白》で斎月と逢ったんだけど、流夜くんが留学中、斎月に私のことよく話していたんだって。それで斎月は私のことは知っていたみたい。

あ、そのとき流夜くんはお店にはいなくて、今まで鉢合わせしなかった理由は、斎月はそれまで《白》へは出禁だったんだって。

龍生さんが、「子どもたちをこの小娘と逢わせるのは危険だって俺と在義で判断したからよ」って言ってた。斎月はほんと何をやってる人なんだか。

斎月と年の近い私の話をよくするから、斎月は一瞬流夜くんをロリコンだと思ったらしい。それを口にしたら正座させられて怒られたらしいよ。今も昔も笑える二人だ笑

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