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一 突撃

side水都4

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「………」

呆気にとられた顔。

ぽかんとした顔。

それから、顔をひきつらせた。

「え……なに言ってんの?」

「コガサクくんですよねっ?」

「そうだけど……」

コガサクくんは戸惑ったようにわたしを見て来る。前のめりになってわたしは続けた。

「わたし一年の藤沢水都っていいます。ヤンキーを経験したいんです! ご教授ください!」

「………」

コガサクくんはものすごく困ったように視線をさまよわせだした。逃げ場でも探しているような……。

「ちょ、ちょっと待って」

「はい?」

「とりあえず、座ってもらっていい? 俺今、意味がわかんない……」

「あ、はい」

その場に正座すると、コガサクくんは本を閉じて脇に置いて、わたしの方に身体を向けた。

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