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一 突撃
side作之助20
しおりを挟む「俺も遠巻きだよ。自分から喧嘩売ったことなんてないのに」
クラスでのことを聞いて急に親近感を覚えてしまった。藤沢さんには迷惑かもしれないけど。
「買う専門なんですか?」
「そんな専門嫌だよ。……でも、どうすれば護れるかわからなかったから、買うしかなかった」
俺は母方の祖父が欧州の人だ。俺に作之助と名付けた方の祖父は日本人。
髪と背丈は母方の祖父に、目つきの悪さと文豪好きは父方の祖父に似たようだ。
隔世遺伝こえーな。
「ではコガサクくんの今までは、コガサクくんの正義に従った結果なんですね」
ふっと、風が藤沢さんの長い髪を揺らした。
そして見せた微笑は、お前のことは何もかもお見通しだ――みたいな気にさせるものだった。
……すごい人だな。
「そうだな。でも誰だってそうだろう。自分の正義と他人の正義は、第三者から見たら善と悪の表裏に見えることもある」
正しい正義があったら教えてほしい。今までの俺は、どうしたらよかったのか。
「そうかもしれませんね。でも、それが世界じゃないですかね」
――肯定。
藤沢さんはごたくは並べず、簡潔な言葉で答えを示して見せた。
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