122 / 216
三 嫉妬
side作之助5
しおりを挟むえーと、なんて返せばいいかな……。
まあ楽しいっちゃ楽しいけど、水都さんに関わり出してから喧嘩に巻き込まれるとは違う面倒ごとに関わらなくちゃいけなくなったな……これも俺が水都さんを拒否していれば関わらなくていいことなんだろうけど、拒否や拒絶は出来ないでいる……。
どうしてか、って言われたら……。
「……うん、楽しい……と思う」
母親の言う通り、俺は今学校が楽しいのだと思う。
水都さんのおかげで。
水都さん以外に学内に友達と言えるほど親しい人が出来たわけではないけど、今までの不良扱いの遠巻きとは、みんなの態度が全然違う。
それもこれも、水都さんのおかげで。
「友達のおかげ」
そう付け足すと、母親は唇の端をゆるめた。
「そう。よかったわね、作之助」
「―――」
名前。
……家族に呼ばれたの、何年ぶりだろう……。
なんか気恥ずかしくなってしまって、手で顔を隠すような位置まで持ち上げた。
「あ、言い忘れてたんだけど、お母さんこれからまた出なくちゃいけないのよ。あ~、作之助のお友達の話もっと聞きたいのに~」
と、ガチで悔しがっている様子の母親。
……一気に態度くだけたな。
悪くはないけど。
「そ。じゃあまあ……気をつけて」
まだ気恥ずかしさが残りながら言うと、母親は目をまん丸に見開いた。
「……なに」
「作之助にそんなこと言われたことなかったから……あ、今のは気にしないで。うん。気をつけて行ってくるわ。だから作之助も……お友達と、仲良くね」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる