龍神様とあの日の約束。【完】

桜月真澄

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3 美也と奏

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制服のポケットに入れた鏡をそっと上から手で触れて、美也はえへへ、と周りに気づかれないように笑った。

月御門邸を訪れた土曜日、電車で地元の駅に降りた美也を待っていたのは、洋装の榊だった。

そしてすぐに復元したという鏡を渡された。

前とは意匠も色も変わった鏡。

美也が奏から取り返していたと思われないように少し変えたと言っていた。

嫌だったら元通りにすると言われたが、榊の気遣いを大事にしたくて、そのままにしてもらった。

美也の宝物。今度こそ守り抜く、榊との絆。……守るなんて、初めて心から意識した。

そして現在、月曜日の朝の登校途中。

土曜日出かけた分、日曜に家事をまるっと終わらせて、月曜日の朝にも余裕が出来るようにした美也は、いつもより少しだけ早く愛村の家を出て、小走りで向かっていた。

榊が現在拠点にしているという、龍波神社へ。

「階段、長っ」

榊に教えられた場所へたどり着いた美也の最初の言葉である。

寺社仏閣にはよくあることだが、手すりもない長い階段が姿を現した。

「あがって……いいんだよね?」

何も悪いことはないが言い訳をするように口にして、あたりをきょろきょろしてから階段を上りだした。

住宅街から少し離れた、山の中の階段。静かだ。一段あがるごとに、違う世界に向かっているよう。

階段を上り切った美也が見たのは――

「やあ! 巫女様がいらっしゃったぞ!」

「榊様にお伝えせねば!」

「なに、榊様は先ほどまで庭におられたぞ」

開斗よりも小さな龍や、ころころと転がる手足のない喋る丸いもの、六本足で歩く六つの角がある小さなものなど、さまざまな形状で、今までみたことのないものたちがわちゃわちゃとしていた。

美也は土曜日、榊に封じられていたという霊力が戻った。

封じた榊の意思に関係のない現象だったので、榊が調べておくと言っていた。

それ以来美也は、あやかしが視えるようになっていた。

ただ、美也の目に映るあやかしというのは、俗に言う幽霊ではなく妖怪の方のようで、色んなところに小さなあやかしが点在しているのが見えるようになった。

どういう差があるのかはわからないが、時間があるとき榊に、そのことも伝えておこうと考えていた。

「巫女さまー!」

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