上 下
9 / 64
一 休日は図書館で

side千波8

しおりを挟む

「………」

眉間に思いっきりしわが寄ったのがわかった。

「藍田くん……」

「うん?」

「タチの悪いタイプのナンパ野郎ですね?」

「え……いや俺ナンパなんかしたことないよ?」

「現状がそうじゃないですか。見ず知らずのわたしに声かけてヘラヘラと変なこと言って」

言い返すと、藍田くんは軽く目を見開いた。

「あ……そっか。見ず知らずって認識なんだ……」

そして口元に軽く握ったこぶしをあてて何かを呟くと、わたしに向かって頭を下げて来た。

「ごめん。そういう風に思われてるとはわかってなかった。確かに初対面からしたら軽い奴だ。ほんとごめん」

な……なんですか、この変わりようは……。

コホン、とわざとらしく咳をしてみた。

しおりを挟む

処理中です...