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番外編2
side千波7
しおりを挟む「もちろんです。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
深く頭を下げる玲哉くん。そのあとあげられた顔は穏やかだった。
こんな礼儀正しい玲哉くんにあんな態度取って……いくら怖かった先輩の息子だからって、お父さんの株ダダ下がりだよ。
玲哉くんにはわたしも初対面のときは色々びっくりしたけど、今ではびっくりするほど紳士だよ。
玲哉くんを見送ってリビングに戻ると、お父さんはこちらに背中を向けていた。
はあ……しばらく無視しよう。
それからお父さんは何か言いたげにしてくることがあったけど、さすがに怒っているわたしだよ。
わたしが睨みつけ――る前にお姉ちゃんがギンっと睨んでいて、わたしの出番なかった。
なにかがおかしい気がする。
翌日曜日。開館時間に図書館に行った。
昨日はあのあとお父さんとは一言もしゃべっていない。
なんかもう気まずいというか意地というか……引くに引けなくなったよね。
と言うわけで、一人で図書館に来ています。
玲哉くんは昨日碓氷くんに代わってもらったからバイトに入っているそうです。昨日電話して聞きました。
わたしが図書館に来ている旨のメッセージを送っておきました。
少しでも逢えたらいいな、と。
直後メッセージの受信があったから玲哉くんかと持ったら、お姉ちゃんだった。
『ちな、ちょっと話せる?』
とのこと。
お姉ちゃんに呼び出されて図書館裏手の公園にやって来た。
そう言えばお姉ちゃん、昨夜はうちに泊まって行って朝から部屋にこもっていたから今日は会ってなかったけど……何していたんだろ?
「お姉ちゃん、どうしたの?」
お姉ちゃんは公園のベンチにいた。
呼びかける前に、手にしたスマホを見てため息をついていたけど……。
「うん。……ちょっと問題を知ってしまったというか……」
「? なに?」
わたしもお姉ちゃんの隣に座る。お姉ちゃんはずっと難しい顔をしたまんまだ。
「お父さんが藍田くんを認めない理由」
「あ……なんかあったの?」
もしかしてお姉ちゃん、それを調べていたの?
「あった。わたしたちにはどうしようもないのが」
わたしたちにはどうしようもない? え、それって玲哉くんが永遠認めてもらえないってこと?
「聞いていいの?」
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