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9 紅姫
side真紅9
しおりを挟む白ちゃんの母、御門の直系だった白桃様は、白ちゃんが生まれて間もなく儚(はかな)くなっているそうだ。
紅緒様は思い返すように中空を見つめた。
「白桃は、そうですねえ……。ぱっと見は深窓の令嬢といった感じでしたが、結構な行動力がありましたね。わたくしが止めるのも聞かずに、修行でも使わないような深い山に入ったと思ったら鬼神を連れて帰ってきたり」
天音さんのことか。
白ちゃんが一の式――一番目の式――、天音さんはかつて『鬼神(きしん)』と呼ばれていたそうだ。
妖異の類(たぐい)でありながら、神と並び称されるほどの強者だった。
私は、どういう経緯で天音さんが白ちゃんの式となったかは知らないけど、天音さんが『姫』と呼ぶのが白桃様であることは知っていた。
「母様……」
あ、白ちゃんの身長が低くなった。ショックだったらしい。
「母上、白を落ち込ませないでください」
「訊いて来たのは白桜でしょう。先に落ち込ませたのはお前ですし」
紅緒様は無傷で言い返す。だが、紅緒様の上を行く存在があった。
「鬼神を連れて来たのは紅緒もでしょう。白桃ちゃんに何が言えると思ってるの」
「………」
「………」
何故か、ついでに黒ちゃんまで黙らせたママだった。
「ちょうど二匹いるし、黒ちゃんと白ちゃんのところへ行ければ仔猫たちも一番だったかもしれないけど、アレルギーがあるんじゃ無理ねえ。あ、真紅ちゃん。仔猫の名前くらい、白ちゃんにつけてもらったら?」
ママの提案に、私はあっと声をもらした。
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