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3 動き出す当主

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「まー、なんかあったら言えよ……って言っても、色々無理な話だよな……。守秘義務とかすげーもんな」

「それは仕方ないと思っている。小田切も詳しくなってきたな。こっちの話」

「そりゃあな。でもなんとなくなんだけど――」

「うん?」

煌が不自然に言葉を切った。白桜は続きを促して首を傾げる。

「……いや、月御門にこういうこと言うのも変な話なんだけど、月御門は幸せになるよ、絶対」

「……本当に変な話だな」

と言うか、いきなりどうした。

煌は苦虫でも噛んだ顔になる。

「笑うなよ。なんとなく、そう思っただけなんだから」

――なんとなく。白桜の頭にその言葉が残った。

「……そうか、なんとなくか。なら、それは信じるよ」

気が落ち着かないでいた白桜の声は、しかし自身が驚くほど穏やかだった。

煌はぽかんとした顔になる。

「え……そんなこと言っちゃっていいの?」

「直感は信じるに値するものだ」

「……俺、一般人だけど?」

己を指さす煌。

霊感はあるけれど、煌は陰陽師とは関係ない出自だ。

「霊力のあるないにかかわらず、直感は信じていいものだと俺は思ってるよ」

――過去、白桜はそれに助けられてきたし、助けられてきた人も知っている。

煌が白桜に対してなんとなくそう思ったのなら、白桜はそれを信じることに迷いはない。

「だから、小田切も信じたままでいてくれると、更に実現しそうだ」

「お、おう。信じるわ。月御門にはかなり助けてもらったし」

「そこは小田切くん、友達だからって言おうよ」

「……俺がそんなこと言って月音ちゃん、発狂しない?」

「時間差で発狂すると思う」

真顔で言い合う二人。

白桜に、友達になって、と言われたとき月音は逃走した挙句発狂していた過去がある。

「時間差なら月御門に被害ないか。男友達相手に言うと気持ち悪いかもしんないけど、友達だから幸せになってほしい、とは思うよ、うん」

「小田切くん照れた」

「そういうこと言わないの月音ちゃん」

煌が、月音の頭に手を載せた。

「ほほえましいなあ」

白桜、思わず口に出ていた。

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