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4 目論見
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しおりを挟む「いるだろう、ときたま。心の安定が保てず妖異の里に迷い込んでしまう者が」
『ある。……だが、わざわざ帰してやる道理もない』
どうでもいいといった口調。
争う気はないと言ったが、それですまないこともあると白桜は知っている。
「そうか――ならば、貴様ら全員ここで果てるか」
白桜が手にしていた扇が光包まれ刀に姿を変える。
『……我らと交戦するつもりか』
「そちらが要求飲めないってんなら、そうなるな。まあその前に? そちらの、俺に要求したいことを提示してもいいけどな?」
俺に、を強調した白桜。
双葉の烏天狗の目的は、黒藤と接触をはかり対である一葉の烏天狗を取り返すこと。
黒藤への要求を白桜がのむことは出来ないから、自分に望むことはあるか、という意味だった。
刀を突きつけながらのセリフだが。
『……ぬしは人の子……小路の者と親しいのか?』
「人間の言葉で言うのなら、幼馴染だ」
『……ならば、ぬしに用はない』
ざっと双葉の烏天狗たちが抜刀した。
『一葉を返さぬのなら、ぬしらを人質として小路と交渉させてもらおう――』
「なるほど、そうくるか。ならばぬかったな」
はっと、交渉の烏天狗が冷笑する。
『当主ともあろうものがそのような態度とは』
「おや、ぬかったのは俺たちの方か? 御門と小路の関係を知らない貴殿らだ」
『ぬ……』
「御門の当主が死んで怒る者はいない。あの程度だったか、と一族に笑われる程度だ。小路はなんら関心を示さない」
『……幼馴染、とはかように軽い存在か?』
「小路の若君は、あくまで陰陽師だ。感情を排することが出来る。俺が死んでもその程度だったかと思うだけで貴殿らに接触などせぬよ」
不穏な言葉とは裏腹に、にこっと笑う白桜。
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