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第四話 あやかし化かし合い合戦
4 三異母兄弟の会合②
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剛厚は再度懐に手を入れた。巻いた書状を取り出し、畳の上に叩きつけるようにして広げる。紙面の三分の一ほどが、大きな手のひらに覆い隠されている。
「先日、我が所領の川が涸れる事件がありました。地下水の大規模かつ長期間にわたる汲み上げが原因です。これは、それを命じる文です」
剛厚は紙を裏返して撫でた。
「何者かによって黒く塗りつぶされているのですが、裏面には墨がほとんど滲んでいません。上質な紙です。これを送ったのは、財力のある者なのでしょう。ですがそれよりも、注目していただきたいのはここ。署名の部分。『厚』の文字が微かに浮かんで見えます」
慌てて塗りつぶされたからだろうか、墨がやや薄く、箇所によっては陽光に透かすと薄らと文字が見える部分がある。
幸厚は不機嫌顔で紙面をじっと見る。それから苛立ちを露わに言った。
「自作自演だろう。私には文など書いた記憶はない。まず、何のために私がこのような策を巡らせる必要があったというのだ」
「おそらく、あやかしが憎いからでしょう」
剛厚は、握り潰さんばかりの勢いで書状を持ち上げて再び丸めた。
「小兄者のお母上は人間。しかも、我らの父上に同行しお元気に城を出た後、遺体も戻らず帰らぬ人となりました。小兄者は、お母上は鬼である父上に食われたのだろうと疑っておられる。あの頃から小兄者は変わってしまわれた。あやかしを無条件に疎むようになったのです」
「だから幸厚は妖山に害をなそうと図ったのか」
腕を組んで呟いた長兄厚隆に、幸厚は反駁する。
「しかし兄上。妖山に危害を及ぼすために川を涸れさせるのならば、南蒼川ではなく、河岸に住民の多い北藍川を狙うべきでしょう。わざわざあのような峻険な場所まで文を届け、山中を流れる地味な川をどうこうしようとするなど、非合理だ。それこそ、脳まで筋肉に浸食されてうまく働かない源三郎が考えそうな穴ばかりの理論。矢も文も、やはりあやつが、私を貶めようとして持ち出したのだ」
「なっ、ひどい言い様ですぞ!」
素で衝撃を受けた様子で叫ぶ剛厚。けれどもすぐに状況を思い出したらしく、咳払いをして取り繕うと、長兄に向けて縋る目を向けた。
「大兄者からも何か仰ってください。小兄者はあやかしを憎むばかりに狡猾な策を巡らせて、とうとう、あやかしと交流のある雪音までも攫ったのです。彼女が消えれば、妖山のあやかしが黙っていません。ゆくゆくは戦いが始まり、小兄者は妖山を攻め滅ぼす口実を得ます。そう、ちょうど今回のように」
厚隆は険しい顔で畳に視線を落として考え込む。幸厚は用心深く言葉を発した。
「多量の水を採取せよとの書状のことだが、そもそもどうやってあのような場所へ文を届けるのだ。兄上や剛厚とは違い、我が配下にあやかしはいない。妖山を知らない普通の人間がたどり着くことができる場所とは思えない。そうではありませんか、兄上」
「確かに困難だろうが、あの山寺は山伏の宿坊になっている。妖山に精通している山伏を使えば文を届けることは可能だろう」
「……むむっ? お待ちください」
剛厚が、わざとらしく裏返った声を上げた。
「大兄者、なぜこの書状が見つかったのが山寺だとご存じなのです」
「なぜって、先ほどの文に書いてあっただろう」
「それは妙ですね」
剛厚は首を傾けて、書状を再び畳に広げる。先ほどとは異なり、手のひらに隠されず全容が露になったが……断片的にしか読めない。
全体的に墨が飛び散り滲み、この書状と山寺を結びつける情報は、黒くまだらに染められてしまっている。
「山寺、山寺。はて、どこに書いてありましたか。小兄者には先ほど、山寺での出来事をお話しておいたのですが、大兄者にはまだ……よもや大兄者は黒塗りさえ見透かす千里眼の持ち主か。いいや、まさか。某も鬼ですが、そんな能力は持っておりませんゆえ」
「……」
幸厚は、口を閉ざした兄の顔に微かな焦りが浮かぶのを確認すると、もう一押しした。
「おい、源三郎。よく見れば、この筆跡は兄上の……」
「やや? うむ、言われてみれば確かに」
幸厚と剛厚は顔を見合わせて、わざとらしく状況を整理する。
「雪音に宛てられたと思しき矢文には、大兄者の城に生える矢竹が利用されている」
「山伏が持っていた書状の文字は、兄上の筆跡と酷似している。そして、兄上はなぜか山寺のことをご存じだった。つまり」
二人は同時に長兄へと目を向けた。
「全ての手がかりが指し示すのは、もしや兄上の関与なのでは?」
しばし、沈黙の帳が落ちる。やがて、厚隆の口元がひくひくと痙攣する。それから地の底から這い上がるような、低く不穏な声が発せられた。
「そうか、おまえたち。わしを嵌めようとしたのだな?」
「では、お認めになるのですか?」
幸厚の言葉に、厚隆はすっと目を細めた。
「まあ、こうなれば、隠し立てしても仕方ない。我が宿望は、いつかはおまえたちにも知れることだった」
「そうですか。残念です、大兄者」
その瞬間。目にも止まらぬ速さで白刃が閃いた。剛厚が懐刀を取り出したのだ。
瞠目する厚隆、迫る刃。その間に割り込むように、厚隆の帯に挿さっていた扇から、どろんと白煙が上がる。
直後、突如として現れた抜き身の刀が宙に浮かび、剛厚の刃を防ぐ。
「妖刀……いいや、扇に化けていた妖狸が今度は刀に変化したのか?」
きん、と刃を交わす音が寺院の一室に響く。けれども硬質な音はすぐに、潰れたような悲鳴に変わった。
「ぎゃんっ!」
剛厚が、肘で妖狸刀の峰を打ったのだ。屈強な鬼の肘打ちを食らった哀れな妖狸は変化を解いて、畳の上に転がった。
剛厚は巨躯に似合わぬ敏捷さで長兄に飛びついた。今度こそ厚隆の首に刃を押し当てると、鬼ですら怯むほどの気迫で凄んだ。
「雪音はどこです」
「雪音?」
頸部の急所を撫でる鋭利な冷たさに、厚隆の喉がごくりと鳴る。それから不意に、何かに耳を澄ますような表情をしてから、にやりと笑った。
「まずは雪音、か。あれはやはり、したたかな妖狐だな。……天狗よ、来い!」
厚隆が呼ぶと同時、障子が開く。冬の冷気を引き連れて、黒い突風が飛び込んできた。漆黒の翼を広げた天狗である。
「あ、待て!」
剛厚が伸ばした手は、空しくも宙を掴む。長兄厚隆の身体は一足早く、天狗に抱えられて白雪の庭へと下り立っていた。
「わしの行いに不服があるならば、力づくで止めよ。下剋上の時代だ。我らの祖父、狭瀬鬼十郎がそうしたように、主君でも兄でも討ち取ってみせるのだ。もっとも」
白い息を吐きながら、厚隆の不敵な笑みが深まった。
「我が陣営には戦いも厭わぬあやかしが多くいる。おぬしらに従うのは所詮、軟弱な人間と平和主義のあやかしだろう。勝敗は火を見るよりも明らかだ」
「兄上」
「弟らよ、北藍川の下流、尾口の中州を挟んだ北側で待っている」
「ああっ、おいて行かないで!」
幸厚の足元を、茶色い毛玉がてててと走り抜け、天狗の脚にしがみつく。先ほど刀に化けていた妖狸だ。
仲間を回収した天狗は主君を抱いたまま地を蹴り、塀の上に着地。もうひと蹴りして屋根に乗る。それから翼を広げ、半ば滑空する格好で家屋を渡り、北へと向かって行った。
「先日、我が所領の川が涸れる事件がありました。地下水の大規模かつ長期間にわたる汲み上げが原因です。これは、それを命じる文です」
剛厚は紙を裏返して撫でた。
「何者かによって黒く塗りつぶされているのですが、裏面には墨がほとんど滲んでいません。上質な紙です。これを送ったのは、財力のある者なのでしょう。ですがそれよりも、注目していただきたいのはここ。署名の部分。『厚』の文字が微かに浮かんで見えます」
慌てて塗りつぶされたからだろうか、墨がやや薄く、箇所によっては陽光に透かすと薄らと文字が見える部分がある。
幸厚は不機嫌顔で紙面をじっと見る。それから苛立ちを露わに言った。
「自作自演だろう。私には文など書いた記憶はない。まず、何のために私がこのような策を巡らせる必要があったというのだ」
「おそらく、あやかしが憎いからでしょう」
剛厚は、握り潰さんばかりの勢いで書状を持ち上げて再び丸めた。
「小兄者のお母上は人間。しかも、我らの父上に同行しお元気に城を出た後、遺体も戻らず帰らぬ人となりました。小兄者は、お母上は鬼である父上に食われたのだろうと疑っておられる。あの頃から小兄者は変わってしまわれた。あやかしを無条件に疎むようになったのです」
「だから幸厚は妖山に害をなそうと図ったのか」
腕を組んで呟いた長兄厚隆に、幸厚は反駁する。
「しかし兄上。妖山に危害を及ぼすために川を涸れさせるのならば、南蒼川ではなく、河岸に住民の多い北藍川を狙うべきでしょう。わざわざあのような峻険な場所まで文を届け、山中を流れる地味な川をどうこうしようとするなど、非合理だ。それこそ、脳まで筋肉に浸食されてうまく働かない源三郎が考えそうな穴ばかりの理論。矢も文も、やはりあやつが、私を貶めようとして持ち出したのだ」
「なっ、ひどい言い様ですぞ!」
素で衝撃を受けた様子で叫ぶ剛厚。けれどもすぐに状況を思い出したらしく、咳払いをして取り繕うと、長兄に向けて縋る目を向けた。
「大兄者からも何か仰ってください。小兄者はあやかしを憎むばかりに狡猾な策を巡らせて、とうとう、あやかしと交流のある雪音までも攫ったのです。彼女が消えれば、妖山のあやかしが黙っていません。ゆくゆくは戦いが始まり、小兄者は妖山を攻め滅ぼす口実を得ます。そう、ちょうど今回のように」
厚隆は険しい顔で畳に視線を落として考え込む。幸厚は用心深く言葉を発した。
「多量の水を採取せよとの書状のことだが、そもそもどうやってあのような場所へ文を届けるのだ。兄上や剛厚とは違い、我が配下にあやかしはいない。妖山を知らない普通の人間がたどり着くことができる場所とは思えない。そうではありませんか、兄上」
「確かに困難だろうが、あの山寺は山伏の宿坊になっている。妖山に精通している山伏を使えば文を届けることは可能だろう」
「……むむっ? お待ちください」
剛厚が、わざとらしく裏返った声を上げた。
「大兄者、なぜこの書状が見つかったのが山寺だとご存じなのです」
「なぜって、先ほどの文に書いてあっただろう」
「それは妙ですね」
剛厚は首を傾けて、書状を再び畳に広げる。先ほどとは異なり、手のひらに隠されず全容が露になったが……断片的にしか読めない。
全体的に墨が飛び散り滲み、この書状と山寺を結びつける情報は、黒くまだらに染められてしまっている。
「山寺、山寺。はて、どこに書いてありましたか。小兄者には先ほど、山寺での出来事をお話しておいたのですが、大兄者にはまだ……よもや大兄者は黒塗りさえ見透かす千里眼の持ち主か。いいや、まさか。某も鬼ですが、そんな能力は持っておりませんゆえ」
「……」
幸厚は、口を閉ざした兄の顔に微かな焦りが浮かぶのを確認すると、もう一押しした。
「おい、源三郎。よく見れば、この筆跡は兄上の……」
「やや? うむ、言われてみれば確かに」
幸厚と剛厚は顔を見合わせて、わざとらしく状況を整理する。
「雪音に宛てられたと思しき矢文には、大兄者の城に生える矢竹が利用されている」
「山伏が持っていた書状の文字は、兄上の筆跡と酷似している。そして、兄上はなぜか山寺のことをご存じだった。つまり」
二人は同時に長兄へと目を向けた。
「全ての手がかりが指し示すのは、もしや兄上の関与なのでは?」
しばし、沈黙の帳が落ちる。やがて、厚隆の口元がひくひくと痙攣する。それから地の底から這い上がるような、低く不穏な声が発せられた。
「そうか、おまえたち。わしを嵌めようとしたのだな?」
「では、お認めになるのですか?」
幸厚の言葉に、厚隆はすっと目を細めた。
「まあ、こうなれば、隠し立てしても仕方ない。我が宿望は、いつかはおまえたちにも知れることだった」
「そうですか。残念です、大兄者」
その瞬間。目にも止まらぬ速さで白刃が閃いた。剛厚が懐刀を取り出したのだ。
瞠目する厚隆、迫る刃。その間に割り込むように、厚隆の帯に挿さっていた扇から、どろんと白煙が上がる。
直後、突如として現れた抜き身の刀が宙に浮かび、剛厚の刃を防ぐ。
「妖刀……いいや、扇に化けていた妖狸が今度は刀に変化したのか?」
きん、と刃を交わす音が寺院の一室に響く。けれども硬質な音はすぐに、潰れたような悲鳴に変わった。
「ぎゃんっ!」
剛厚が、肘で妖狸刀の峰を打ったのだ。屈強な鬼の肘打ちを食らった哀れな妖狸は変化を解いて、畳の上に転がった。
剛厚は巨躯に似合わぬ敏捷さで長兄に飛びついた。今度こそ厚隆の首に刃を押し当てると、鬼ですら怯むほどの気迫で凄んだ。
「雪音はどこです」
「雪音?」
頸部の急所を撫でる鋭利な冷たさに、厚隆の喉がごくりと鳴る。それから不意に、何かに耳を澄ますような表情をしてから、にやりと笑った。
「まずは雪音、か。あれはやはり、したたかな妖狐だな。……天狗よ、来い!」
厚隆が呼ぶと同時、障子が開く。冬の冷気を引き連れて、黒い突風が飛び込んできた。漆黒の翼を広げた天狗である。
「あ、待て!」
剛厚が伸ばした手は、空しくも宙を掴む。長兄厚隆の身体は一足早く、天狗に抱えられて白雪の庭へと下り立っていた。
「わしの行いに不服があるならば、力づくで止めよ。下剋上の時代だ。我らの祖父、狭瀬鬼十郎がそうしたように、主君でも兄でも討ち取ってみせるのだ。もっとも」
白い息を吐きながら、厚隆の不敵な笑みが深まった。
「我が陣営には戦いも厭わぬあやかしが多くいる。おぬしらに従うのは所詮、軟弱な人間と平和主義のあやかしだろう。勝敗は火を見るよりも明らかだ」
「兄上」
「弟らよ、北藍川の下流、尾口の中州を挟んだ北側で待っている」
「ああっ、おいて行かないで!」
幸厚の足元を、茶色い毛玉がてててと走り抜け、天狗の脚にしがみつく。先ほど刀に化けていた妖狸だ。
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