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ヒトシズク・レストラン
第23話 さよならクソゴミチビハゲデブ脂ダルマ
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自身の功績であり、プライドであり、生きる意味でもあったトロフィーを粉々に砕かれ、その場に力なく崩れ落ちるウルグラ。ラルバはその情けない権力者の姿を見て、上機嫌で部屋を出ようとバリアの手を引く。
しかし、ふと違和感を感じて立ち止まる。振り向くと、茫然自失としていたウルグラが両手で顔を覆っており、その隙間から怨嗟と憤怒に塗れたどす黒い視線がこちらを突き刺しているのが見えた。
ラルバは壊れたと思っていた玩具がまだ遊べる事に気付き、悪知恵を思いついた子供のようにニヤリと微笑む。
「――――、――――――。――――――――――――――――――?」
ラルバはバリアとラプーの方へ振り返り、外国語で指示を出す。旧文明でも話者が極めて少なく、消滅の危機にあった少数言語は当然ウルグラには全く理解できなかったが、ラルバの楽しそうな声色で良からぬことである事は容易に理解できた。
「――――――――――――。」
「―――――?」
「―――、――――――。――。」
「――――、―――!!―――――!―――――――!!―――――――。―――――――――――――!」
「――。」
ウルグラは口いっぱいに広がる血の味に吐き気を催しながら、上機嫌なラルバを目を細めて睨み続ける。しかし、先程のビンタの応酬のせいで、その傲慢なプライドの根に臆病の糸が絡み付いているのが窺える。
「ウルグラさん……アタシはガッカリだよ……アンタはもっと聞き分けのある頭の良い馬鹿だと思ってたのに……」
ラルバは肩をすくめて俯き、溜息と一緒に首を振る。
「……な、何がだ」
「それ、それだよ」
怯えながらも未だ恨みが垣間見えるウルグラに、ラルバ「チッ、チッ、チッ」と舌打ちをしながら人差し指を振る。
「『何がだ?』違うだろ?『申し訳ありません。仰りたいことが理解できません』だろ?テメェも豚に食わせんぞ!なあポポロ!!」
ウルグラは身体をビクッと震わせてラプーを見る。ポポロと呼ばれたラプーは、大欠伸を挟んで気怠そうに口を開く。
「エンファ~もうソイツ殺して早よぉ行くべぇ。ペットの躾ん時間過ぎてるだでよぉ。ボルカニクも早よ帰りてぇべな?ん?」
ラプーがバリアのことをボルカニクと呼び肩を数回突くが、バリアは無表情のまま何も答えない。
ウルグラは全身から脂汗を吹き出し、油を吸わせたティッシュのような姿でへたり込む。その顔は悲哀とも放心とも絶望とも取れぬ奇怪な形相で、3歳児に弄ばれた粘土細工の方がまだ人間味を感じられるだろう。
“仇討ちエンファを怒らせた”
それどころか、“収集家ポポロ”に“黙りボルカニク”まで。笑顔の七人衆のうち3人を、“逆鱗グドラ”を含めれば4人の怒りを。1人で数百人を相手にする一騎当千の破壊神を、赤ん坊すら笑って蹴り殺す巨悪を怒らせた。そうだ。これはハッタリだ。最初に見せられたグドラの腕輪は偽物で、コイツらは虎の威を借る狐に過ぎない。そう自分に言い聞かせるが、腕輪を見た時に感じた吐き気を催す嫌悪感と自らの審美眼に対する過剰な自信が、姑息で稚拙な自己暗示を一蹴する。
自分は彼らの怒りに見合う対価を持っているだろうか。それとも、自分は殺す価値もない歯牙にも掛けぬ愚昧な俗人と思われたりはしないだろうか。その前に彼らは弱小者の戯言に耳を貸すだろうか。そもそも、この場から五体満足で逃げ果せる方法など存在するのだろうか。ウルグラは護身用の短銃を持っていない事を、自殺の手段を持ち合わせていないことを、握り拳に血を滲ませながら後悔した。
「お前は折角のチャンスを不意にした」
ラルバが腕を組んでウルグラを睨み、貧乏ゆすりのように片足で床を何度も叩きながら呟く。
「このエンファを罵倒しておきながら、その代償は数発の平手打ちで済んでいる。これがどれほどの温情か!私を侮辱し!私の料理を生ゴミと罵り!皿に吐き戻し!!挙げ句の果てに“服を脱いで四つん這いになれ”だぁ!?それでも!!私は!!許した!!!」
「ひっ……!ひっ……!あぁっ……!!」
「言っても言っても殴っても殴っても分からん豚もどきを!懇切丁寧に教育し!!時間とチャンスをくれてやった!!に・も・か・か・わ・ら・ずっ!!!」
最早過呼吸で声すら碌に出せないウルグラは、涙と脂汗と小便を垂れ流して唇を震わせる。この世の悪を煮詰めたかのような殺意の前に、脚を捥がれた蛙の如く蠢き後退ることしかできない。
鬼の形相で歯軋りをするラルバは本物のエンファ同等の魔力を滾らせ、血管が痺れるようなオーラを放ちウルグラを脅し続ける。
「脂ダルマ風情が、よくも、よくもよくもよくも!このアタシをコケにしてくれたな…………!!!」
「んぃぃぃいいっ……!!ふぃぃぃぃっ………!!」
息ができないウルグラは、首を激しく左右にブンブンと振って汗を撒き散らしながら否定の意を見せる。そんな情けないウルグラの醜態を一瞥し、ラルバは静かに怒りを鎮める。
「だが……寛大で聡明で謙虚でお淑やかで慈悲深いアタシは、こんなクソゴミチビハゲデブ脂ダルマにも最後のチャンスをくれてやろう」
ウルグラはハッとした顔で一瞬硬直し、すぐさま何度も床に頭を打ちつけ感謝の意を表明する。
「あっ!!あいがとごやましゅっ!!あいがこごやいましゅっ!!」
「歯ぁ全部抜け」
「……えっ?」
「早く」
「あっ、えっ?えっ?」
「上下交互に、自分の指で」
「あっ、あっ」
「早く」
「あのっ」
「5」
「ああっ!あっ、あのっ」
「4、3、2」
「やっ!やりっ、ますっ!」
「いーち」
「やいっ、やいまふかはっ、おごっ、あえっ」
ボキッ……
~ヒトシズク・レストラン ホテル「箸休め」~
「たっだいま~!」
ラプーとバリアを連れて帰ってきたラルバは上機嫌で部屋に入り、既にラデックが寝ているベッドに勢いよくダイブする。
「うっ、おかえり」
「んふふ~ハピネスとイッチーは?」
「風呂だ」
「私も入るか。疲れたし」
「違和感を覚えないから気づいていないかもしれないが、使奴は老廃物とは無縁だから別に入らなくても何ら問題はないぞ。実際研究所抜け出してから、風呂はおろかトイレも殆ど行ってないだろう」
ラデックがラルバの髪の匂いを嗅ごうとすると、ラルバは嫌がって飛び退く。
「ばっちい!埃とか色々ついてるだろ!」
「あっちこっちで泥んこになってくる度に俺が落としてやってるだろ」
「いいの!気分!」
ラルバはそのまま足早に部屋を後にする。
「……バリアは行かなくていいのか?」
バリアはベッドに腰掛けたまま置物のように硬直している。
「………………………………………………後でいく」
「今の間はなんだ?」
~ホテル「箸休め」 大浴場~
広々とした和風の露天風呂には白濁した源泉が掛け流されており、周囲を取り囲む木々と石造の垣根が山奥の秘湯を彷彿とさせる。そんな岩石の灰色と木々の暗い緑の中、使奴の真っ白な肌が艶かしく月光を反射している。
普段はチューブトップに押し込められているイチルギの胸が、歩くたび重力に引っ張られ弾みつつも綺麗な球体を保っている。引き締まった筋肉を脂肪が薄らと覆い、誰もが振り向く魅惑のスレンダーなシルエットと対照的に、脂肪がふっくらついた大きめの丸尻が湯煙に滑らかな曲線美を描いている。
イチルギはかけ湯をして足先からゆっくりと湯に浸かり、縁に寄りかかって香りを楽しむように大きく深呼吸をする。
「ラルバ、飛び込んだら引っ叩くわよ」
「ぬあっ」
後ろで助走の構えを取っていたラルバは、振り向きもしないイチルギの牽制に怯み立ち止まった。イチルギよりも一回以上大きい胸を豪快に揺らし、渋々歩いて湯に近づく。不満そうな顔で荒々しくかけ湯をしてから、半ば飛び込むように水飛沫を上げて座り込む。
「わっ、飛び込むんじゃないの!」
イチルギが勢いよくラルバの後頭部を引っ叩く。
「あだっ、飛び込んでないじゃん!」
「先に入ってる人を気遣えって言ったの!!」
「じゃあそう言ってよ。あだっ」
口ごたえをするラルバをイチルギはもう一度引っ叩いた。
「あと湯船に浸かるなら髪しばりなさい」
「今度な」
「まったく……」
イチルギは大きく溜息をついてから、折角の露天風呂を楽しもうと暫く中空を見つめ放心する。
「ふぅ……で、ウルグラと話はついたの?」
「ん?ああ、バッチリつけてきた!」
「そう……変なことしてないでしょうね」
「ビンタなら。あでっ、すぐ叩くなバカ!」
「すぐ叩くのはアンタでしょうが!問題起こすなって言ったでしょ!」
「問題にはならん。どうせ公にはならな……叩くな!」
イチルギの振りかぶった手をラルバが掴む。
「問題起こすなってのは!人様に迷惑掛けるなって意味よ!」
「あいつ以外はみんな幸せだからいいだろ!」
「人ってのは人でなしも含むの!!」
イチルギが掴まれていない方の手でラルバを引っ叩く。
「あだっ!!」
「……で、何したのよ」
「いや、ビンタ以外はなんもしてない」
「アンタがビンタ程度で満足するはずないでしょ。まさか……殺してないでしょうね」
「まさか!いくら悪党とは言え、罪に合わん罰を与えるつもりはない!」
「じゃあ何したの。どうせハピネスが見てるんだから、今言いなさい」
「…………歯ぁ全部引っこ抜、叩くな!!あだっ!!」
しかし、ふと違和感を感じて立ち止まる。振り向くと、茫然自失としていたウルグラが両手で顔を覆っており、その隙間から怨嗟と憤怒に塗れたどす黒い視線がこちらを突き刺しているのが見えた。
ラルバは壊れたと思っていた玩具がまだ遊べる事に気付き、悪知恵を思いついた子供のようにニヤリと微笑む。
「――――、――――――。――――――――――――――――――?」
ラルバはバリアとラプーの方へ振り返り、外国語で指示を出す。旧文明でも話者が極めて少なく、消滅の危機にあった少数言語は当然ウルグラには全く理解できなかったが、ラルバの楽しそうな声色で良からぬことである事は容易に理解できた。
「――――――――――――。」
「―――――?」
「―――、――――――。――。」
「――――、―――!!―――――!―――――――!!―――――――。―――――――――――――!」
「――。」
ウルグラは口いっぱいに広がる血の味に吐き気を催しながら、上機嫌なラルバを目を細めて睨み続ける。しかし、先程のビンタの応酬のせいで、その傲慢なプライドの根に臆病の糸が絡み付いているのが窺える。
「ウルグラさん……アタシはガッカリだよ……アンタはもっと聞き分けのある頭の良い馬鹿だと思ってたのに……」
ラルバは肩をすくめて俯き、溜息と一緒に首を振る。
「……な、何がだ」
「それ、それだよ」
怯えながらも未だ恨みが垣間見えるウルグラに、ラルバ「チッ、チッ、チッ」と舌打ちをしながら人差し指を振る。
「『何がだ?』違うだろ?『申し訳ありません。仰りたいことが理解できません』だろ?テメェも豚に食わせんぞ!なあポポロ!!」
ウルグラは身体をビクッと震わせてラプーを見る。ポポロと呼ばれたラプーは、大欠伸を挟んで気怠そうに口を開く。
「エンファ~もうソイツ殺して早よぉ行くべぇ。ペットの躾ん時間過ぎてるだでよぉ。ボルカニクも早よ帰りてぇべな?ん?」
ラプーがバリアのことをボルカニクと呼び肩を数回突くが、バリアは無表情のまま何も答えない。
ウルグラは全身から脂汗を吹き出し、油を吸わせたティッシュのような姿でへたり込む。その顔は悲哀とも放心とも絶望とも取れぬ奇怪な形相で、3歳児に弄ばれた粘土細工の方がまだ人間味を感じられるだろう。
“仇討ちエンファを怒らせた”
それどころか、“収集家ポポロ”に“黙りボルカニク”まで。笑顔の七人衆のうち3人を、“逆鱗グドラ”を含めれば4人の怒りを。1人で数百人を相手にする一騎当千の破壊神を、赤ん坊すら笑って蹴り殺す巨悪を怒らせた。そうだ。これはハッタリだ。最初に見せられたグドラの腕輪は偽物で、コイツらは虎の威を借る狐に過ぎない。そう自分に言い聞かせるが、腕輪を見た時に感じた吐き気を催す嫌悪感と自らの審美眼に対する過剰な自信が、姑息で稚拙な自己暗示を一蹴する。
自分は彼らの怒りに見合う対価を持っているだろうか。それとも、自分は殺す価値もない歯牙にも掛けぬ愚昧な俗人と思われたりはしないだろうか。その前に彼らは弱小者の戯言に耳を貸すだろうか。そもそも、この場から五体満足で逃げ果せる方法など存在するのだろうか。ウルグラは護身用の短銃を持っていない事を、自殺の手段を持ち合わせていないことを、握り拳に血を滲ませながら後悔した。
「お前は折角のチャンスを不意にした」
ラルバが腕を組んでウルグラを睨み、貧乏ゆすりのように片足で床を何度も叩きながら呟く。
「このエンファを罵倒しておきながら、その代償は数発の平手打ちで済んでいる。これがどれほどの温情か!私を侮辱し!私の料理を生ゴミと罵り!皿に吐き戻し!!挙げ句の果てに“服を脱いで四つん這いになれ”だぁ!?それでも!!私は!!許した!!!」
「ひっ……!ひっ……!あぁっ……!!」
「言っても言っても殴っても殴っても分からん豚もどきを!懇切丁寧に教育し!!時間とチャンスをくれてやった!!に・も・か・か・わ・ら・ずっ!!!」
最早過呼吸で声すら碌に出せないウルグラは、涙と脂汗と小便を垂れ流して唇を震わせる。この世の悪を煮詰めたかのような殺意の前に、脚を捥がれた蛙の如く蠢き後退ることしかできない。
鬼の形相で歯軋りをするラルバは本物のエンファ同等の魔力を滾らせ、血管が痺れるようなオーラを放ちウルグラを脅し続ける。
「脂ダルマ風情が、よくも、よくもよくもよくも!このアタシをコケにしてくれたな…………!!!」
「んぃぃぃいいっ……!!ふぃぃぃぃっ………!!」
息ができないウルグラは、首を激しく左右にブンブンと振って汗を撒き散らしながら否定の意を見せる。そんな情けないウルグラの醜態を一瞥し、ラルバは静かに怒りを鎮める。
「だが……寛大で聡明で謙虚でお淑やかで慈悲深いアタシは、こんなクソゴミチビハゲデブ脂ダルマにも最後のチャンスをくれてやろう」
ウルグラはハッとした顔で一瞬硬直し、すぐさま何度も床に頭を打ちつけ感謝の意を表明する。
「あっ!!あいがとごやましゅっ!!あいがこごやいましゅっ!!」
「歯ぁ全部抜け」
「……えっ?」
「早く」
「あっ、えっ?えっ?」
「上下交互に、自分の指で」
「あっ、あっ」
「早く」
「あのっ」
「5」
「ああっ!あっ、あのっ」
「4、3、2」
「やっ!やりっ、ますっ!」
「いーち」
「やいっ、やいまふかはっ、おごっ、あえっ」
ボキッ……
~ヒトシズク・レストラン ホテル「箸休め」~
「たっだいま~!」
ラプーとバリアを連れて帰ってきたラルバは上機嫌で部屋に入り、既にラデックが寝ているベッドに勢いよくダイブする。
「うっ、おかえり」
「んふふ~ハピネスとイッチーは?」
「風呂だ」
「私も入るか。疲れたし」
「違和感を覚えないから気づいていないかもしれないが、使奴は老廃物とは無縁だから別に入らなくても何ら問題はないぞ。実際研究所抜け出してから、風呂はおろかトイレも殆ど行ってないだろう」
ラデックがラルバの髪の匂いを嗅ごうとすると、ラルバは嫌がって飛び退く。
「ばっちい!埃とか色々ついてるだろ!」
「あっちこっちで泥んこになってくる度に俺が落としてやってるだろ」
「いいの!気分!」
ラルバはそのまま足早に部屋を後にする。
「……バリアは行かなくていいのか?」
バリアはベッドに腰掛けたまま置物のように硬直している。
「………………………………………………後でいく」
「今の間はなんだ?」
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広々とした和風の露天風呂には白濁した源泉が掛け流されており、周囲を取り囲む木々と石造の垣根が山奥の秘湯を彷彿とさせる。そんな岩石の灰色と木々の暗い緑の中、使奴の真っ白な肌が艶かしく月光を反射している。
普段はチューブトップに押し込められているイチルギの胸が、歩くたび重力に引っ張られ弾みつつも綺麗な球体を保っている。引き締まった筋肉を脂肪が薄らと覆い、誰もが振り向く魅惑のスレンダーなシルエットと対照的に、脂肪がふっくらついた大きめの丸尻が湯煙に滑らかな曲線美を描いている。
イチルギはかけ湯をして足先からゆっくりと湯に浸かり、縁に寄りかかって香りを楽しむように大きく深呼吸をする。
「ラルバ、飛び込んだら引っ叩くわよ」
「ぬあっ」
後ろで助走の構えを取っていたラルバは、振り向きもしないイチルギの牽制に怯み立ち止まった。イチルギよりも一回以上大きい胸を豪快に揺らし、渋々歩いて湯に近づく。不満そうな顔で荒々しくかけ湯をしてから、半ば飛び込むように水飛沫を上げて座り込む。
「わっ、飛び込むんじゃないの!」
イチルギが勢いよくラルバの後頭部を引っ叩く。
「あだっ、飛び込んでないじゃん!」
「先に入ってる人を気遣えって言ったの!!」
「じゃあそう言ってよ。あだっ」
口ごたえをするラルバをイチルギはもう一度引っ叩いた。
「あと湯船に浸かるなら髪しばりなさい」
「今度な」
「まったく……」
イチルギは大きく溜息をついてから、折角の露天風呂を楽しもうと暫く中空を見つめ放心する。
「ふぅ……で、ウルグラと話はついたの?」
「ん?ああ、バッチリつけてきた!」
「そう……変なことしてないでしょうね」
「ビンタなら。あでっ、すぐ叩くなバカ!」
「すぐ叩くのはアンタでしょうが!問題起こすなって言ったでしょ!」
「問題にはならん。どうせ公にはならな……叩くな!」
イチルギの振りかぶった手をラルバが掴む。
「問題起こすなってのは!人様に迷惑掛けるなって意味よ!」
「あいつ以外はみんな幸せだからいいだろ!」
「人ってのは人でなしも含むの!!」
イチルギが掴まれていない方の手でラルバを引っ叩く。
「あだっ!!」
「……で、何したのよ」
「いや、ビンタ以外はなんもしてない」
「アンタがビンタ程度で満足するはずないでしょ。まさか……殺してないでしょうね」
「まさか!いくら悪党とは言え、罪に合わん罰を与えるつもりはない!」
「じゃあ何したの。どうせハピネスが見てるんだから、今言いなさい」
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