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人道主義自己防衛軍
第40話 悪とはなんぞや
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~人道主義自己防衛軍 第三関所~
人道主義自己防衛軍の中でも多くの取引行われる第三関所は、最早関所というよりはショッピングモールといった雰囲気で、多くの軍人達が楽しそうに談笑ながら往来している。
その一角ではフードコートの様な場所で、ハピネスがメモを片手に関所中を駆け回るラルバに指示を出している。
「寝袋も新調したいね、うん。三階の赤い看板の店がいいよ。ああちょっとまった。10時方向石鹸類の棚の……そうそう。その使い捨てバスタブ欲しかったんだ……え?ダメ?」
知らぬ人間が見れば、超小型の通信機を使っているか通信魔法を使っているか、はたまた狂人の類だと思われるだろう。実際はハピネスが異能でラルバの後ろを追尾しつつ、ラルバが使奴の人並外れた聴覚でハピネスの呟きを拾っているだけである。ハピネスは手元のアイスコーヒーに手を伸ばしかけ、氷が溶け始めていることに気付き氷魔法の詠唱を始める。
「ハピネスッ……!!ちょっと……ちょっと今は……!!ぐっ」
直後、ハピネスの真横にいたラデックの唸り声が魔法を制止した。
ラデックは椅子にもたれかかったバリアの左腕の断面を、震える手で撫でながら額に脂汗を浮かべている。
「えぇ……これもダメなのか……コーヒーが薄まってしまうんだが」
「後っ……後でっ……頼むっ……!!」
ラデックはバリアの細かい細胞を異能で治療するのに極限の集中状態を保ち続けており、子供が使う様な小さな魔法で起こる波導にさえ集中を乱されるほどに気を削いでいた。
「……そんなに苦戦するなら医務室でも借りればよかったんじゃないのかい。見ろ、ラデック君の摩訶不思議パワーで見せ物小屋みたいだよ」
そう言ってハピネスが周囲に目を向けると、買い物や遊びに来たであろう軍人達が足を止めて人集りを作り、ラデックによるバリアの治療風景を物珍しそうにじっと見つめている。
「時間がないっ…そうだっ……俺だって……!ひぃ……ふぅ……できることならっ一週間はかけたい……作業っバリア動くなっ!!じっとしててくれっ!!」
「動いてないよ」
「喋るのもやめてくれっ!ただでさえ鼓動で血管が収縮してっ……あっくそっ」
「……今もしかして遠回しに死ねって言った?」
「そうじゃないがっ……!!ああ頼む会話は後にっ……!!」
「……はぁ」
ラデック達の試合はどこからか情報が漏れ、バリアとラデックはあっという間に人道主義自己防衛軍の時の人となっていた。
「うわぁすごい……あの金髪の人がジャハル様に勝った人?魔法も使わずにあんな……」
「腕を生やせるのか……!?しかも爆傷の断面をああも容易く……」
「異能があれば1人で治療できるのか……それもあの大怪我を……」
「あの使奴の方、ベル様に勝ったって本当かしら……とてもそうは見えない……」
「しかし本当に使奴ならありえない話じゃないだろう。きっと“漆黒の白騎士”の様な豪傑に違いない」
あちこちで2人のあることないことを噂し、時折近寄ってきては疲労困憊で必死なラデックに杜撰に追い払われる軍人達。そのうちにハピネスは「近くを散歩してくる」と席を立ち、バリアとラデックだけを残して立ち去っていった。結局、ラデックは興味本位で群がる軍人達に囲まれながらという最悪の環境の中、数時間かけて治療を遂行した。
「――――っはぁ!!!はぁっ!!!死っ死ぬかと思った!!!」
治療が終わるのと同時にラデックは大きく後ろに大の字になって倒れる。すると同時に見物客が拍手喝采でラデックの健闘を称えた。
「凄いぞ兄ちゃん!!」
「お疲れ様ー!!」
「いやぁイイモノ見せてもらったよ!今度ウチでもやってもらえないかい?」
「アンタ本当にスゴイな!!あ、これ良かったら貰ってくれ!!」
軍人達は今にも死にそうなラデックに飲み物や食事を差し入れたり、タオルで汗を拭いてやったりと献身的に面倒を見た。人道主義自己防衛軍の極端に利他的な国民性は、息をするのも辛い今のラデックにとってはただ煩わしいだけであった。
昇ったばかりだったはずの太陽はいつのまにかとっくに沈み、空が暗くなっていることにラデックは漸く気がつき、間もなく出国の予定時間だと虚なまま思い出して天を仰いだ。
「あんれぇーラデック人気者だねぇ」
ラルバが突如、人混みを強引に掻き分けて現れた。
「ラ、ラルバか……」
「あっ!バリア治ってんじゃーん!!」
五体満足のバリアにラルバが飛びつき、犬を撫でる様にバリアの髪をわしゃわしゃと掻き回す。バリアを見て意外そうにしたラルバに、ラデックは違和感を感じて問いかけた。
「……ラルバが言ったんじゃないか。“治しておけ”と」
「えあ?ああ……いや?“直しておけ”と言ったんだ。服を」
「………………うん?」
「使奴は回復魔法でチョチョイのチョイだが、服はそうもいかん。前ラデックが言ったようにバリアの服は私と同じ使奴細胞を応用した繊維で織られているからな。私らが直すにはちょいとキビシイ」
「なっ……!!!バリアッ……!!!何故途中で言わないんだ……!!!」
「聞かれなかったから」
バリアは治ったばかりの左手を、具合を確かめる様に握って開いてを繰り返す。
「私がヒトシズク・レストランで細切れになったアビスを治したの、見てたでしょ」
その言葉にラデックは折角起こした上体を力なく地面に叩きつけ、後悔と虚無感で両手をだらりと左右に広げる。ラルバは若干励ます様に笑いながらラデックを担ぎ、バリアに手招きをして歩き出した。
「まあそんな気にするな。そんなに疲れたなら異能の良い鍛錬になっただろう。もしかしたら出来なかったことも出来るようになってるかも知れないぞ?」
「……異能の鍛錬なら子供の頃からしてきた。最近やっと無機物にも干渉できる様になったぐらいなんだぞ……」
「いいじゃんいいじゃん!ポジティブに行こうポジティブに!」
「……難しい」
~魔工兵員輸送車 荷台~
「……世界ギルドとの落差が凄まじい」
ラデックはこれから乗る輸送車に乗り込んでから少しだけ眉を曲げた。泥だらけの車体にとってつけたかの様なコンテナの荷台。中は電球がひとつだけ付けられており、ラデック達6人が横になって寝るスペースなどなかった。続いて入ってきたラルバも半笑いで壁をノックする。
「あっはっは。確かに「乗り捨てるからボロいのでいい」とは言ったが、まさか本当に廃車寸前のガラクタを寄越すとは。人道主義自己防衛軍は気前がいいなぁ」
ラルバ達4人が順番に乗り込み、最後に乗り込んだイチルギが薄暗い車内の照明を光魔法で強化しながら足元を見回す。
「使奴は寝なくても平気だし、3人横になれるスペースならあるわ。何とかなるでしょ」
「いや、5人分は都合してもらいたい」
イチルギの言葉に運転席の方から返事が聞こえ、ジャハルとハザクラが顔を覗かせた。
ラルバは振り向くと同時にムッとした表情で2人を指差す。
「降りろ!!連れてかないって約束だろ!!」
しかしハザクラは静かに首を振って反論する。
「確かに俺達は負けて要望は却下された。だからアプローチを変えることにした」
「まさか“運転ができる”とか言うんじゃないだろうな。アルバイトの面接じゃないんだぞ」
「俺達は有名人だ」
「お前何言ってんはいはい成る程ね」
ハザクラの言葉に反射的に悪態をついたラルバだが、直後に意味を理解して自身の損得を天秤にかける。
「お前らのメンツの中じゃ、イチルギは確かに有名人だが立場故に自由が利かない。ハピネスに至っては誰も信じないし、信じたとしても力不足で活用は難しいだろう」
イチルギとハピネスは互いに顔を見合わせて肩をすくめる。
「それはそうね」
「ふふふ。酷い言われようだ」
「そこで俺達の出番だ。ジャハルも俺も最近ではあるが何度も新聞に顔写真が載ったことのある有名人だ。人道主義自己防衛軍の総指揮官であり、世界ギルドや笑顔による文明保安教会にも匹敵する戦力。おまけに永年鎖国のお陰で国同士の柵もない」
ラルバは目を閉じ顎を撫で、この先でハザクラ達がどう役立つかを妄想している。
「はいはいはいはい、確かにイイね。囮としてもヒーローとしても使い勝手がいい。イチルギさん仕事が奪われてしまいましたなぁ」
「え、じゃあ私抜けていい?」
「いや君はマスターキーだからダメ」
イチルギは嫌悪の情をぐらぐらと煮え滾らせながら小さく舌打ちを鳴らし、半ば八つ当たりのように背を向けた。
しかし、依然ニヤニヤと不気味な笑みを揺らしながら返事をしないラルバに、ハザクラは再び無表情のまま尋ねる。
「お前の目的は巨悪の成敗なのだろう?俺達というカードを支配下に――――」
「いやあ不満ですねぇ」
ハザクラの声を遮ってラルバは態とらしく声を作る。
「君ら腐っても正義の人道主義自己防衛軍の総指揮官でしょぉ?私のやることに絶対文句言うじゃん。言わないって約束できる?」
「約束はできない。俺達にも面子――――もとい信念、正義感がある。そして何より、お前に同行することはお前が暴走するのを止めるためでもあるからだ」
「あ、それ言うんだ。なんか口八丁で躱すと思ってたのに」
「使奴相手に小細工が通用するなどとハナから考えていない。それで、どうなんだ」
「いや約束すりゃあいいってば。ラルバさんの邪魔はしませんーって」
「違うだろう。使奴であるお前が俺の返答を予測できないとは思えない。約束はできない。対価は何だ?」
ラルバは不満そうに頬を膨らませブーイングを浴びせる。
「ブーブー!お前は全く面白くない奴だな!会話を楽しめ会話を!」
「ご機嫌取りに付き合ってくださいと言われれば吝かではないぞ」
「うっわマジでおもんない。友達いないでしょ」
「いない」
「ごめん」
ラルバは唸り声を上げながら頭を掻き毟り、突然ピタッと動きを止めたかと思うと、いつもの邪悪な笑顔を浮かべて問いかける。
「ジャハル、ハザクラ。お前達にとって“悪”とはなんぞや?」
警戒するように口を噤む2人。それでも何かを言おうとしたジャハルに、ラルバが「待った」とジェスチャーを見せる。
「おい待て。お前まさか学術者気取りの遠回しな例え話とかする気じゃないだろうな。さも正論のように聞こえるだけのポエムとか、凡人が考える天才の回答みたいな聞くに耐えない思春期真っ盛りの赤っ恥作文でも披露した日には泣くまで擽るからな。
「まだ何も言ってないだろう……」
ジャハルは呆れたような怯えるような複雑な表情で固まり、一呼吸置いてからラルバを睨みつける。
「“悪”とは“善”と対になって“秩序”を構成する存在だ。悔しいことだが悪は無から生まれ、その存在を抹消することはできない。しかし、秩序を乱そうとする悪。秩序を保とうとする善。この2つが互いに互いを滅ぼし合うことで世界の“秩序”が保たれているのも事実だ。善が死に絶えた世界は悪の同士討ちによる破滅を待つのみであり、悪を滅ぼした善は自らの内から新たな悪を見出し滅ぼそうとする。どちらも正しい世界とは言い難い。私は善だ。故に悪を滅ぼすことが使命であり――――」
「あーどうもどうもクッソつまんないゴミみたいな模範回答ありがとう。帰ってイイヨ」
ジャハルの言葉を遮り、ラルバが鬱陶しそうに手の甲を向け「あっちに行け」とジェスチャーを送る。ジャハルは静かな怒りを宿した心を堪えて、そのまま運転席へと体を戻す。
「ハザクラくぅん……君もまさか同じような道徳の教科書に書いてある気持ち悪い綺麗事を抜かすんじゃないだろうね?」
「安心しろ。俺はジャハルほど人間が出来ていない」
「ふぅん。じゃあ私がちょっとでも気に食わなかったらぶん殴っていい?多分即死だけど」
『構わない』
異能を使い返事を返したハザクラ。これによりラルバは“自身がハザクラの回答をつまらないと認識した際に、ハザクラに即死レベルの一撃を放つ”ことを強制された。
この事実はラルバの少し驚いたような表情から全員に伝わり、イチルギとバリアがもしもの事を考えてラルバの両腕を拘束した。ジャハルも顔面蒼白でハザクラを見つめるが、当の本人は全く意に介しておらず、まるで息をするかのように語り始めた。
「悪い奴が悪だ。これ以上の説明が必要か?」
全員が息を飲んでラルバの反応を窺う。しかしラルバが体に力を込めることはなく、ニィっと笑った事で全員がホッと胸を撫で下ろした。
「正直だねぇ~ハザクラちゃん。因みに君から見て私って悪なの?」
「なんとも言えんが、今は悪だと思っている。私利私欲のために命を奪うことを好む奴が悪でない筈があるか」
「それはそう。うん」
「回答はこれでいいのか?ならば、俺達が同行することを認めてもらいたい」
「え?俺達?ジャハルは連れて行きたくないんだけど」
「あー、実は俺は奇病に罹っていてな、この世で俺を治療できるのはジャハルしかいないんだ」
「そんなん私がやってやるよ。使奴だぞ。できない治療なんかない」
「俺は使奴アレルギーなんだ」
「ひひひっ。ちょっと面白かったからいいよ」
「そりゃどうも」
【元メインギア ハザクラが加入】
【軍人 ジャハルが加入】
~人道主義自己防衛軍 日向荒野~
見渡す限り地平線の荒野を走り続ける輸送車。既に人道主義自己防衛軍の関所は遥か彼方に霞んでおり、国境も日暮れまでに越せるかと言う所まで来ていた。
輸送車の荷台に揺られながらラデックは外の景色を眺め、思い出したかのようにラルバに質問をした。
「ラルバ。悪とはなんぞや、と言う問いだが――――あれはハザクラの言う悪がラルバの言う悪と一致していたから同行を許可したのか?」
「うん?いや、まあ似てはいるけど……私はハザクラちゃんよりラデック寄りかなぁ」
「え」
「なんで嫌そうな顔をする」
「なんでって……ラルバの倫理観は尋常じゃない。俺の思想がそれに近いと言われると凄く不安になる」
「えぇ……私ってば使奴研究所が用意した叡智才智がみっちり詰め込まれた超天才常識人だよ?喜ぶべきでしょ」
「物は言いようだ。俺と似てるってどういう所がだ?というかそもそもハザクラの言った悪って何だったんだ?」
「ふぅむ……ラデックは悪を悪だと考えているだろう」
「みんなそう」
「相手が悪人かどうかは、相手が自分で自分を悪人と思っているかどうかだろうって話だ」
「まあ、それが1番確実だしな。自分で自分を悪いと思っているなら悪いんだろう。ただそれで言うと俺自身も悪人になるが」
「私も似たような考えではある。私の言う悪の判断基準は“自分で自分を悪だと認識しているかどうか”だ。まあ厳密に言うともう少し細かいんだが……大雑把に言うとこうなる。でもってハザクラの言う悪は“自分が悪だと思った奴は悪”だそうだ。私とハザクラの違いは、悪が自分自身で悪を認識するか、こっちで勝手に判断するかの違いだ」
「こっちで勝手に判断って……横暴が過ぎないか?」
「うーん例えば……笑顔による文明保安教会では、笑顔でないものは悪だったろう?」
「そうだな」
「普通は笑顔でないだけで悪者扱いするのは謂れのない非難――――まあ悪だわな」
「そうだな」
「じゃあもし笑顔による文明保安教会がめちゃめちゃ発展して、全世界を支配したとしたら。この世の全ての人間が笑顔でないものを悪と思うようになった時……我々は善だと言えるか?」
「……だとしても、主観だけでこの世の善悪を区別しようなど、傲慢も甚だしい」
「その辺の奴がそうほざくならそうだろうが、ハザクラの場合は覚悟の表れだろう。世界の支配者となって自分が善悪の物差しとなり、世界の秩序を保つ人柱になる覚悟。だから“悪い奴が悪”なんだ。改めて口に出すと意味わかんないねコレ」
「――――で、何故ラルバはそんなことを聞いたんだ?」
「……今後の展開次第では、というより確実に私はハザクラに殺されるだろう」
「殺され……本当か?」
「ああ。間違いない。奴の価値観であれば私を生かすことは人道主義自己防衛軍に多大な損害を与える――――まあそれ以前にハザクラの正義が私の悪党惨殺祭りを許さんだろうな」
「まさかラルバ、ハザクラを殺すつもりじゃないだろうな」
「普通はそうなるわな。安心しろ。殺すどころか傷一つつけるつもりはないし、殺されるつもりも毛頭ない。私はただ知りたいだけだ。正義から見た私がどう見えるのかを」
「……知ってどうする」
「悪党虐めに利用する。客観視は大事だ!」
「心配して損した」
ラデックは呆れたようにタバコを蒸し、再び窓の外を見つめる。
暫く車内には走行音だけが響き、そのうちにハピネスが静かに口を開いた。
「あれ、そう言えばラプーは……?」
全員が顔を見合わせ、一瞬の沈黙の後ラデックが叫んだ
「戻れ!Uターンだ!!」
人道主義自己防衛軍の中でも多くの取引行われる第三関所は、最早関所というよりはショッピングモールといった雰囲気で、多くの軍人達が楽しそうに談笑ながら往来している。
その一角ではフードコートの様な場所で、ハピネスがメモを片手に関所中を駆け回るラルバに指示を出している。
「寝袋も新調したいね、うん。三階の赤い看板の店がいいよ。ああちょっとまった。10時方向石鹸類の棚の……そうそう。その使い捨てバスタブ欲しかったんだ……え?ダメ?」
知らぬ人間が見れば、超小型の通信機を使っているか通信魔法を使っているか、はたまた狂人の類だと思われるだろう。実際はハピネスが異能でラルバの後ろを追尾しつつ、ラルバが使奴の人並外れた聴覚でハピネスの呟きを拾っているだけである。ハピネスは手元のアイスコーヒーに手を伸ばしかけ、氷が溶け始めていることに気付き氷魔法の詠唱を始める。
「ハピネスッ……!!ちょっと……ちょっと今は……!!ぐっ」
直後、ハピネスの真横にいたラデックの唸り声が魔法を制止した。
ラデックは椅子にもたれかかったバリアの左腕の断面を、震える手で撫でながら額に脂汗を浮かべている。
「えぇ……これもダメなのか……コーヒーが薄まってしまうんだが」
「後っ……後でっ……頼むっ……!!」
ラデックはバリアの細かい細胞を異能で治療するのに極限の集中状態を保ち続けており、子供が使う様な小さな魔法で起こる波導にさえ集中を乱されるほどに気を削いでいた。
「……そんなに苦戦するなら医務室でも借りればよかったんじゃないのかい。見ろ、ラデック君の摩訶不思議パワーで見せ物小屋みたいだよ」
そう言ってハピネスが周囲に目を向けると、買い物や遊びに来たであろう軍人達が足を止めて人集りを作り、ラデックによるバリアの治療風景を物珍しそうにじっと見つめている。
「時間がないっ…そうだっ……俺だって……!ひぃ……ふぅ……できることならっ一週間はかけたい……作業っバリア動くなっ!!じっとしててくれっ!!」
「動いてないよ」
「喋るのもやめてくれっ!ただでさえ鼓動で血管が収縮してっ……あっくそっ」
「……今もしかして遠回しに死ねって言った?」
「そうじゃないがっ……!!ああ頼む会話は後にっ……!!」
「……はぁ」
ラデック達の試合はどこからか情報が漏れ、バリアとラデックはあっという間に人道主義自己防衛軍の時の人となっていた。
「うわぁすごい……あの金髪の人がジャハル様に勝った人?魔法も使わずにあんな……」
「腕を生やせるのか……!?しかも爆傷の断面をああも容易く……」
「異能があれば1人で治療できるのか……それもあの大怪我を……」
「あの使奴の方、ベル様に勝ったって本当かしら……とてもそうは見えない……」
「しかし本当に使奴ならありえない話じゃないだろう。きっと“漆黒の白騎士”の様な豪傑に違いない」
あちこちで2人のあることないことを噂し、時折近寄ってきては疲労困憊で必死なラデックに杜撰に追い払われる軍人達。そのうちにハピネスは「近くを散歩してくる」と席を立ち、バリアとラデックだけを残して立ち去っていった。結局、ラデックは興味本位で群がる軍人達に囲まれながらという最悪の環境の中、数時間かけて治療を遂行した。
「――――っはぁ!!!はぁっ!!!死っ死ぬかと思った!!!」
治療が終わるのと同時にラデックは大きく後ろに大の字になって倒れる。すると同時に見物客が拍手喝采でラデックの健闘を称えた。
「凄いぞ兄ちゃん!!」
「お疲れ様ー!!」
「いやぁイイモノ見せてもらったよ!今度ウチでもやってもらえないかい?」
「アンタ本当にスゴイな!!あ、これ良かったら貰ってくれ!!」
軍人達は今にも死にそうなラデックに飲み物や食事を差し入れたり、タオルで汗を拭いてやったりと献身的に面倒を見た。人道主義自己防衛軍の極端に利他的な国民性は、息をするのも辛い今のラデックにとってはただ煩わしいだけであった。
昇ったばかりだったはずの太陽はいつのまにかとっくに沈み、空が暗くなっていることにラデックは漸く気がつき、間もなく出国の予定時間だと虚なまま思い出して天を仰いだ。
「あんれぇーラデック人気者だねぇ」
ラルバが突如、人混みを強引に掻き分けて現れた。
「ラ、ラルバか……」
「あっ!バリア治ってんじゃーん!!」
五体満足のバリアにラルバが飛びつき、犬を撫でる様にバリアの髪をわしゃわしゃと掻き回す。バリアを見て意外そうにしたラルバに、ラデックは違和感を感じて問いかけた。
「……ラルバが言ったんじゃないか。“治しておけ”と」
「えあ?ああ……いや?“直しておけ”と言ったんだ。服を」
「………………うん?」
「使奴は回復魔法でチョチョイのチョイだが、服はそうもいかん。前ラデックが言ったようにバリアの服は私と同じ使奴細胞を応用した繊維で織られているからな。私らが直すにはちょいとキビシイ」
「なっ……!!!バリアッ……!!!何故途中で言わないんだ……!!!」
「聞かれなかったから」
バリアは治ったばかりの左手を、具合を確かめる様に握って開いてを繰り返す。
「私がヒトシズク・レストランで細切れになったアビスを治したの、見てたでしょ」
その言葉にラデックは折角起こした上体を力なく地面に叩きつけ、後悔と虚無感で両手をだらりと左右に広げる。ラルバは若干励ます様に笑いながらラデックを担ぎ、バリアに手招きをして歩き出した。
「まあそんな気にするな。そんなに疲れたなら異能の良い鍛錬になっただろう。もしかしたら出来なかったことも出来るようになってるかも知れないぞ?」
「……異能の鍛錬なら子供の頃からしてきた。最近やっと無機物にも干渉できる様になったぐらいなんだぞ……」
「いいじゃんいいじゃん!ポジティブに行こうポジティブに!」
「……難しい」
~魔工兵員輸送車 荷台~
「……世界ギルドとの落差が凄まじい」
ラデックはこれから乗る輸送車に乗り込んでから少しだけ眉を曲げた。泥だらけの車体にとってつけたかの様なコンテナの荷台。中は電球がひとつだけ付けられており、ラデック達6人が横になって寝るスペースなどなかった。続いて入ってきたラルバも半笑いで壁をノックする。
「あっはっは。確かに「乗り捨てるからボロいのでいい」とは言ったが、まさか本当に廃車寸前のガラクタを寄越すとは。人道主義自己防衛軍は気前がいいなぁ」
ラルバ達4人が順番に乗り込み、最後に乗り込んだイチルギが薄暗い車内の照明を光魔法で強化しながら足元を見回す。
「使奴は寝なくても平気だし、3人横になれるスペースならあるわ。何とかなるでしょ」
「いや、5人分は都合してもらいたい」
イチルギの言葉に運転席の方から返事が聞こえ、ジャハルとハザクラが顔を覗かせた。
ラルバは振り向くと同時にムッとした表情で2人を指差す。
「降りろ!!連れてかないって約束だろ!!」
しかしハザクラは静かに首を振って反論する。
「確かに俺達は負けて要望は却下された。だからアプローチを変えることにした」
「まさか“運転ができる”とか言うんじゃないだろうな。アルバイトの面接じゃないんだぞ」
「俺達は有名人だ」
「お前何言ってんはいはい成る程ね」
ハザクラの言葉に反射的に悪態をついたラルバだが、直後に意味を理解して自身の損得を天秤にかける。
「お前らのメンツの中じゃ、イチルギは確かに有名人だが立場故に自由が利かない。ハピネスに至っては誰も信じないし、信じたとしても力不足で活用は難しいだろう」
イチルギとハピネスは互いに顔を見合わせて肩をすくめる。
「それはそうね」
「ふふふ。酷い言われようだ」
「そこで俺達の出番だ。ジャハルも俺も最近ではあるが何度も新聞に顔写真が載ったことのある有名人だ。人道主義自己防衛軍の総指揮官であり、世界ギルドや笑顔による文明保安教会にも匹敵する戦力。おまけに永年鎖国のお陰で国同士の柵もない」
ラルバは目を閉じ顎を撫で、この先でハザクラ達がどう役立つかを妄想している。
「はいはいはいはい、確かにイイね。囮としてもヒーローとしても使い勝手がいい。イチルギさん仕事が奪われてしまいましたなぁ」
「え、じゃあ私抜けていい?」
「いや君はマスターキーだからダメ」
イチルギは嫌悪の情をぐらぐらと煮え滾らせながら小さく舌打ちを鳴らし、半ば八つ当たりのように背を向けた。
しかし、依然ニヤニヤと不気味な笑みを揺らしながら返事をしないラルバに、ハザクラは再び無表情のまま尋ねる。
「お前の目的は巨悪の成敗なのだろう?俺達というカードを支配下に――――」
「いやあ不満ですねぇ」
ハザクラの声を遮ってラルバは態とらしく声を作る。
「君ら腐っても正義の人道主義自己防衛軍の総指揮官でしょぉ?私のやることに絶対文句言うじゃん。言わないって約束できる?」
「約束はできない。俺達にも面子――――もとい信念、正義感がある。そして何より、お前に同行することはお前が暴走するのを止めるためでもあるからだ」
「あ、それ言うんだ。なんか口八丁で躱すと思ってたのに」
「使奴相手に小細工が通用するなどとハナから考えていない。それで、どうなんだ」
「いや約束すりゃあいいってば。ラルバさんの邪魔はしませんーって」
「違うだろう。使奴であるお前が俺の返答を予測できないとは思えない。約束はできない。対価は何だ?」
ラルバは不満そうに頬を膨らませブーイングを浴びせる。
「ブーブー!お前は全く面白くない奴だな!会話を楽しめ会話を!」
「ご機嫌取りに付き合ってくださいと言われれば吝かではないぞ」
「うっわマジでおもんない。友達いないでしょ」
「いない」
「ごめん」
ラルバは唸り声を上げながら頭を掻き毟り、突然ピタッと動きを止めたかと思うと、いつもの邪悪な笑顔を浮かべて問いかける。
「ジャハル、ハザクラ。お前達にとって“悪”とはなんぞや?」
警戒するように口を噤む2人。それでも何かを言おうとしたジャハルに、ラルバが「待った」とジェスチャーを見せる。
「おい待て。お前まさか学術者気取りの遠回しな例え話とかする気じゃないだろうな。さも正論のように聞こえるだけのポエムとか、凡人が考える天才の回答みたいな聞くに耐えない思春期真っ盛りの赤っ恥作文でも披露した日には泣くまで擽るからな。
「まだ何も言ってないだろう……」
ジャハルは呆れたような怯えるような複雑な表情で固まり、一呼吸置いてからラルバを睨みつける。
「“悪”とは“善”と対になって“秩序”を構成する存在だ。悔しいことだが悪は無から生まれ、その存在を抹消することはできない。しかし、秩序を乱そうとする悪。秩序を保とうとする善。この2つが互いに互いを滅ぼし合うことで世界の“秩序”が保たれているのも事実だ。善が死に絶えた世界は悪の同士討ちによる破滅を待つのみであり、悪を滅ぼした善は自らの内から新たな悪を見出し滅ぼそうとする。どちらも正しい世界とは言い難い。私は善だ。故に悪を滅ぼすことが使命であり――――」
「あーどうもどうもクッソつまんないゴミみたいな模範回答ありがとう。帰ってイイヨ」
ジャハルの言葉を遮り、ラルバが鬱陶しそうに手の甲を向け「あっちに行け」とジェスチャーを送る。ジャハルは静かな怒りを宿した心を堪えて、そのまま運転席へと体を戻す。
「ハザクラくぅん……君もまさか同じような道徳の教科書に書いてある気持ち悪い綺麗事を抜かすんじゃないだろうね?」
「安心しろ。俺はジャハルほど人間が出来ていない」
「ふぅん。じゃあ私がちょっとでも気に食わなかったらぶん殴っていい?多分即死だけど」
『構わない』
異能を使い返事を返したハザクラ。これによりラルバは“自身がハザクラの回答をつまらないと認識した際に、ハザクラに即死レベルの一撃を放つ”ことを強制された。
この事実はラルバの少し驚いたような表情から全員に伝わり、イチルギとバリアがもしもの事を考えてラルバの両腕を拘束した。ジャハルも顔面蒼白でハザクラを見つめるが、当の本人は全く意に介しておらず、まるで息をするかのように語り始めた。
「悪い奴が悪だ。これ以上の説明が必要か?」
全員が息を飲んでラルバの反応を窺う。しかしラルバが体に力を込めることはなく、ニィっと笑った事で全員がホッと胸を撫で下ろした。
「正直だねぇ~ハザクラちゃん。因みに君から見て私って悪なの?」
「なんとも言えんが、今は悪だと思っている。私利私欲のために命を奪うことを好む奴が悪でない筈があるか」
「それはそう。うん」
「回答はこれでいいのか?ならば、俺達が同行することを認めてもらいたい」
「え?俺達?ジャハルは連れて行きたくないんだけど」
「あー、実は俺は奇病に罹っていてな、この世で俺を治療できるのはジャハルしかいないんだ」
「そんなん私がやってやるよ。使奴だぞ。できない治療なんかない」
「俺は使奴アレルギーなんだ」
「ひひひっ。ちょっと面白かったからいいよ」
「そりゃどうも」
【元メインギア ハザクラが加入】
【軍人 ジャハルが加入】
~人道主義自己防衛軍 日向荒野~
見渡す限り地平線の荒野を走り続ける輸送車。既に人道主義自己防衛軍の関所は遥か彼方に霞んでおり、国境も日暮れまでに越せるかと言う所まで来ていた。
輸送車の荷台に揺られながらラデックは外の景色を眺め、思い出したかのようにラルバに質問をした。
「ラルバ。悪とはなんぞや、と言う問いだが――――あれはハザクラの言う悪がラルバの言う悪と一致していたから同行を許可したのか?」
「うん?いや、まあ似てはいるけど……私はハザクラちゃんよりラデック寄りかなぁ」
「え」
「なんで嫌そうな顔をする」
「なんでって……ラルバの倫理観は尋常じゃない。俺の思想がそれに近いと言われると凄く不安になる」
「えぇ……私ってば使奴研究所が用意した叡智才智がみっちり詰め込まれた超天才常識人だよ?喜ぶべきでしょ」
「物は言いようだ。俺と似てるってどういう所がだ?というかそもそもハザクラの言った悪って何だったんだ?」
「ふぅむ……ラデックは悪を悪だと考えているだろう」
「みんなそう」
「相手が悪人かどうかは、相手が自分で自分を悪人と思っているかどうかだろうって話だ」
「まあ、それが1番確実だしな。自分で自分を悪いと思っているなら悪いんだろう。ただそれで言うと俺自身も悪人になるが」
「私も似たような考えではある。私の言う悪の判断基準は“自分で自分を悪だと認識しているかどうか”だ。まあ厳密に言うともう少し細かいんだが……大雑把に言うとこうなる。でもってハザクラの言う悪は“自分が悪だと思った奴は悪”だそうだ。私とハザクラの違いは、悪が自分自身で悪を認識するか、こっちで勝手に判断するかの違いだ」
「こっちで勝手に判断って……横暴が過ぎないか?」
「うーん例えば……笑顔による文明保安教会では、笑顔でないものは悪だったろう?」
「そうだな」
「普通は笑顔でないだけで悪者扱いするのは謂れのない非難――――まあ悪だわな」
「そうだな」
「じゃあもし笑顔による文明保安教会がめちゃめちゃ発展して、全世界を支配したとしたら。この世の全ての人間が笑顔でないものを悪と思うようになった時……我々は善だと言えるか?」
「……だとしても、主観だけでこの世の善悪を区別しようなど、傲慢も甚だしい」
「その辺の奴がそうほざくならそうだろうが、ハザクラの場合は覚悟の表れだろう。世界の支配者となって自分が善悪の物差しとなり、世界の秩序を保つ人柱になる覚悟。だから“悪い奴が悪”なんだ。改めて口に出すと意味わかんないねコレ」
「――――で、何故ラルバはそんなことを聞いたんだ?」
「……今後の展開次第では、というより確実に私はハザクラに殺されるだろう」
「殺され……本当か?」
「ああ。間違いない。奴の価値観であれば私を生かすことは人道主義自己防衛軍に多大な損害を与える――――まあそれ以前にハザクラの正義が私の悪党惨殺祭りを許さんだろうな」
「まさかラルバ、ハザクラを殺すつもりじゃないだろうな」
「普通はそうなるわな。安心しろ。殺すどころか傷一つつけるつもりはないし、殺されるつもりも毛頭ない。私はただ知りたいだけだ。正義から見た私がどう見えるのかを」
「……知ってどうする」
「悪党虐めに利用する。客観視は大事だ!」
「心配して損した」
ラデックは呆れたようにタバコを蒸し、再び窓の外を見つめる。
暫く車内には走行音だけが響き、そのうちにハピネスが静かに口を開いた。
「あれ、そう言えばラプーは……?」
全員が顔を見合わせ、一瞬の沈黙の後ラデックが叫んだ
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