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勝ちグミ
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私、蒼井莉音は小学5年。
今は運動会の練習の真っ只中だ。そんな莉音は、これまで4年間、運動会で1度も優勝したことがない。そろそろ運動会で活躍したいが、練習でももちろん負けてしまう。
「はぁ……」
私は深いため息をつく。
「どうしたの? ため息なんて吐いちゃって。」
友達の優衣ちゃんが来てくれる。彼女とは、5年生のクラス替え……つまり今年度から同じクラスの子なんだけど、すごく親しみやすく、自分の悩みを打ち明けられる友達だ。
「ほら、私、まだ1回も運動会で優勝できてないしさ、今日の練習でも全然活躍できなかったし。」
「そんなことないよ? ウチだって運動苦手だから、運動会とか大嫌い。今年は同じクラスなんだから、一緒に頑張ろ?」
そう言って励ましてくれる。そんな優衣ちゃんに感謝している。
放課後、学校の帰り道。
励ましてもらったのは良いものの、励ましてくれたからと言って、「運動会で勝てるようになる!」ってわけでもないし。
「はぁ、楽して勝負に勝てたらな~」
その時。私の右側に見慣れない道があることに気づいた。
「どこに繋がってるんだろう?」
私は好奇心を抑えられず、その道に入っていく。気づいたらずっと足を動かしており、不思議な外観のお店の前で立ち止まった。そのお店には、「不思議喫茶」と書いてある。扉もしまっており、今はとても営業しているようには見えないけれど……
「あれ? 幸運のお客様! いらしていたんですね!」
私の後ろから、女性の声が聞こえる。肌の露出が多い、かなり派手な服装をしたギャルっぽい感じの女性だ。
「今お店開けるから少し待っててね~!」
この女性がこの喫茶店の店主なのだろうか? しばらくそんなことを考えていると、
「お待たせしました! さあ、幸運のお客様、なにか叶えたい願いはありますか?」
「か、叶えたい、願い?」
「うん!」
「それなら、運動会で勝てるようになりたい!」
「なるほど~ それじゃあこの【勝ちグミ】をオススメするよ!」
私はそれを見た瞬間、すぐに今私がほしいのはこの商品だと感じた。私がその商品に見とれていると、
「お代は5円だよ~」
私はこんな素敵な商品がたった5円で買えるのかと思い、私はいつもこっそり持っている財布から5円玉を探す。
「はい、5円!」
「オッケー! それじゃあこれはお客様のものだよ!」
「やったー!」
これで、次の運動会で勝てるのかな? なんていろんなことを想像する。
「あ、ちゃんと注意書きは読んでね~」
その声を聞いた途端。私は気を失ったかのようにその後の記憶を覚えていない。
気づいたら自分の家の自分の家にいて。さっきまでのことは夢かとも思ったが、目の前の机には、さっきあそこの喫茶店で買った勝ちグミがおいてある。私はそのパッケージをよく見てみる。すると説明が書いてあった。
『勝ちグミ
個包装のグミが3つ入っています。
このグミを1個食べれば、たちまち勝負に勝てるようになります。自分が勝ちたいイベントで自分が勝っているところを想像しながらこのグミを食べると、その勝負では必ず勝てるようになります。なお、想像していたイベントが練習試合など、本番ではない場合、効果は発揮しません。』
なるほど。私は説明をザッと読み、早速パッケージの袋を開封する。中には説明通り、グミが個包装で3つ入っている。私はそのうちの一つを取り出す。早速食べてみよう。私は個包装の袋を破り、運動会で自分が勝っているところを想像してグミを口にする。
特に自分に変わった感じはないが効果は発揮されているだろう。
翌日。今日も運動会の練習がある。昨日勝ちグミを食べたからか、勝てる自信がある。だけれど……
結局練習では負けてしまう。
「どうして……? もしかして私が想像してたのは運動会本番の話で、その練習には効果ないのかな? もう一個食べようにも練習試合を想像しても効果は出ないと書いてあったし、食べてもグミを無駄にするだけだよね……」
このままで私は本当に運動会で勝てるの……? 練習で効果がないと、本番でも効果を発揮するのかよくわからないし……
もしかしたらグミをもう一個食べれば効果が出るかも?
そう思ったら即行動、莉音はもう一個パッケージからグミを取り出し運動会で勝つことを想像しながら食べる。
数日後。今日は土曜日。とうとう運動会本番の日だ。きっとグミを2つ食べたし効果は強いだろう。そう思っていたのだが……
午前の部が終わり、午後の部になり。残る競技もあと数個しか無い。なのに私たち、白組の点数は赤組に比べて数十点負けている。本当にこの後逆転できるのだろうか?
そして午後の部も完全に終わり、閉会式の得点発表となった。きっと大丈夫、ちゃんとグミを食べたんだから。
「結果を発表します。赤組の得点……694点、白組の得点……623点。よって、赤組の勝ち!」
ど、どうして……
私は走って家に帰り、勝ちグミのパッケージを確認する。そこには、以前は読まなかった注意書きが書いてある。
『なんとしても勝負に勝ちたいからといって、この商品を2つ以上重ねて使用すると逆の効果がついてしまい、想像していた勝負に必ず負けることになります。くれぐれも気をつけるように。』
そ、そんなの見てないよ……!
私は肩を落とす。そして来年は他の力に頼らず、自分の力で勝利を掴み取ると心に誓った。
今は運動会の練習の真っ只中だ。そんな莉音は、これまで4年間、運動会で1度も優勝したことがない。そろそろ運動会で活躍したいが、練習でももちろん負けてしまう。
「はぁ……」
私は深いため息をつく。
「どうしたの? ため息なんて吐いちゃって。」
友達の優衣ちゃんが来てくれる。彼女とは、5年生のクラス替え……つまり今年度から同じクラスの子なんだけど、すごく親しみやすく、自分の悩みを打ち明けられる友達だ。
「ほら、私、まだ1回も運動会で優勝できてないしさ、今日の練習でも全然活躍できなかったし。」
「そんなことないよ? ウチだって運動苦手だから、運動会とか大嫌い。今年は同じクラスなんだから、一緒に頑張ろ?」
そう言って励ましてくれる。そんな優衣ちゃんに感謝している。
放課後、学校の帰り道。
励ましてもらったのは良いものの、励ましてくれたからと言って、「運動会で勝てるようになる!」ってわけでもないし。
「はぁ、楽して勝負に勝てたらな~」
その時。私の右側に見慣れない道があることに気づいた。
「どこに繋がってるんだろう?」
私は好奇心を抑えられず、その道に入っていく。気づいたらずっと足を動かしており、不思議な外観のお店の前で立ち止まった。そのお店には、「不思議喫茶」と書いてある。扉もしまっており、今はとても営業しているようには見えないけれど……
「あれ? 幸運のお客様! いらしていたんですね!」
私の後ろから、女性の声が聞こえる。肌の露出が多い、かなり派手な服装をしたギャルっぽい感じの女性だ。
「今お店開けるから少し待っててね~!」
この女性がこの喫茶店の店主なのだろうか? しばらくそんなことを考えていると、
「お待たせしました! さあ、幸運のお客様、なにか叶えたい願いはありますか?」
「か、叶えたい、願い?」
「うん!」
「それなら、運動会で勝てるようになりたい!」
「なるほど~ それじゃあこの【勝ちグミ】をオススメするよ!」
私はそれを見た瞬間、すぐに今私がほしいのはこの商品だと感じた。私がその商品に見とれていると、
「お代は5円だよ~」
私はこんな素敵な商品がたった5円で買えるのかと思い、私はいつもこっそり持っている財布から5円玉を探す。
「はい、5円!」
「オッケー! それじゃあこれはお客様のものだよ!」
「やったー!」
これで、次の運動会で勝てるのかな? なんていろんなことを想像する。
「あ、ちゃんと注意書きは読んでね~」
その声を聞いた途端。私は気を失ったかのようにその後の記憶を覚えていない。
気づいたら自分の家の自分の家にいて。さっきまでのことは夢かとも思ったが、目の前の机には、さっきあそこの喫茶店で買った勝ちグミがおいてある。私はそのパッケージをよく見てみる。すると説明が書いてあった。
『勝ちグミ
個包装のグミが3つ入っています。
このグミを1個食べれば、たちまち勝負に勝てるようになります。自分が勝ちたいイベントで自分が勝っているところを想像しながらこのグミを食べると、その勝負では必ず勝てるようになります。なお、想像していたイベントが練習試合など、本番ではない場合、効果は発揮しません。』
なるほど。私は説明をザッと読み、早速パッケージの袋を開封する。中には説明通り、グミが個包装で3つ入っている。私はそのうちの一つを取り出す。早速食べてみよう。私は個包装の袋を破り、運動会で自分が勝っているところを想像してグミを口にする。
特に自分に変わった感じはないが効果は発揮されているだろう。
翌日。今日も運動会の練習がある。昨日勝ちグミを食べたからか、勝てる自信がある。だけれど……
結局練習では負けてしまう。
「どうして……? もしかして私が想像してたのは運動会本番の話で、その練習には効果ないのかな? もう一個食べようにも練習試合を想像しても効果は出ないと書いてあったし、食べてもグミを無駄にするだけだよね……」
このままで私は本当に運動会で勝てるの……? 練習で効果がないと、本番でも効果を発揮するのかよくわからないし……
もしかしたらグミをもう一個食べれば効果が出るかも?
そう思ったら即行動、莉音はもう一個パッケージからグミを取り出し運動会で勝つことを想像しながら食べる。
数日後。今日は土曜日。とうとう運動会本番の日だ。きっとグミを2つ食べたし効果は強いだろう。そう思っていたのだが……
午前の部が終わり、午後の部になり。残る競技もあと数個しか無い。なのに私たち、白組の点数は赤組に比べて数十点負けている。本当にこの後逆転できるのだろうか?
そして午後の部も完全に終わり、閉会式の得点発表となった。きっと大丈夫、ちゃんとグミを食べたんだから。
「結果を発表します。赤組の得点……694点、白組の得点……623点。よって、赤組の勝ち!」
ど、どうして……
私は走って家に帰り、勝ちグミのパッケージを確認する。そこには、以前は読まなかった注意書きが書いてある。
『なんとしても勝負に勝ちたいからといって、この商品を2つ以上重ねて使用すると逆の効果がついてしまい、想像していた勝負に必ず負けることになります。くれぐれも気をつけるように。』
そ、そんなの見てないよ……!
私は肩を落とす。そして来年は他の力に頼らず、自分の力で勝利を掴み取ると心に誓った。
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