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焦るリッキー
帝国へ来て、半年が過ぎる頃には、すっかりと平民としての生活が板についてきていた。
マリーは、自分でも驚く程、順応性が高いと思っている。
初めは戸惑う事も多かったが、今では楽しんでいるものが沢山あるのだ。
身体を動かすのは辛かったが、それにも随分と慣れて、今は同僚と食堂で昼食を楽しんでいた。
若い娘が集まると、決まって会話は恋愛の話しになるのだった。
「マリー。彼とは、どうなったの?付き合う事にしたの?」
「彼って?」
「ほら、いつも送って貰ってるじゃない。休みも合わせているって、イザベラから聞いているわよ~」
「リッキーの事?」
「他に、誰がいるのよ。彼って、侯爵邸の護衛騎士なんでしょう?同僚で、彼女募集中の人がいないか、聞いてみてよ。私に、一番に紹介して欲しいの」
「いいよ、今度リッキーに会った時に、聞いてあげるよ。でも、そんなお友達はいないかもしれないし…あんまり、期待しないでよね」
マリーは、リッキーの職場に行った事や、恋人募集中の友人の話を聞いた事がなかった。
ガッカリする顔を見たくなかったので、期待しないで欲しいと思った事が、そのまま口に出てしまうのだった。
「分かっているわよ。期待しないで、待っているわね」
かなりキツイ口調になってしまったが、マリーに裏表がない事は有名な話なので、同僚は特に気にもしていないのである。
リッキーと会う時は、お気に入りの場所や、お勧めの店に行く事が多いのだ。
いつもマリーが一人でお喋りをしており、リッキーは聞き役に回っていた。
初めて友達デートをした日から、すっかりリッキーに心を開いていたが、まだアルフレッドの事を忘れられた訳ではなかった。
一途にアルフレッドを思い続けていたマリーにとって、他の異性を恋愛対象として見る事は、そう簡単に出来ないのである。
リッキーは、オルターナ公爵邸にいる頃からマルゲリーターを気に掛けていたが、マリーは全く覚えてはいなかったのだった。
その為、二人の間に温度差があったのは、致し方のない事なのかもしれない。
それでも、マリーなりに失ったものをいつまでも追い求めていても仕方がないと自分に言い聞かせ、前向きに生きる努力はしているのである。
今は、リッキーを友人の一人として見ているだけだが、傍からみたら付き合いたての恋人同士の様に見られていた。
マリーは、まだ気付いていないのだ。
アルフレッドが、過去の存在になりつつあるという事を…
毎日思い出しては、泣き暮らしていた日々が、終わりを向かえている事も…
そして今日もマリーは、お気に入りのワンピースを着てリッキーが迎えに来てくれるのを、門の前で待っていた。
その一途な姿を、多くの門兵たちが暖かな眼差しで見つめているというのも、気付いてはいなかったのである。
朝の柔らかな日差しが、マリーの薄茶色の髪の毛を照らす。
春の暖かな陽気と小鳥の囀りが、穏やかな休日の朝を祝福している様だった。
「今日も、良い天気ね」
「マリー、おはよう。今朝も早いね」
「うん。部屋にいてもやる事ないし、待ちきれないから出てきちゃうんだ」
リッキーは、照れ臭そうな笑顔を見せていた。
待ち合わせ時間は決めているのだが、かなり早く迎えに来ても、いつもマリーを待たせてしまっている。
いったい何時から待っているのかと聞いても、来たばかりだと答えるだけで、正確な時間は分からなかった。
今日も、約束の時間より一時間も早く来たのだが、やはりマリーは門の前で待っていた。
待ちきれなかったという言葉が、どこかくすぐったく、リッキーの心に響いている。
マリーは気付いてはいないが、リッキーの姿を、今か今かと探しているのだ。
リッキーを見つけると、花が綻ぶ様な満面の笑みを向けてくるのである。
その笑顔が、リッキーはとても好きなのだ。
ごく一般的な令嬢と違い、はっきりと自分の意見を言ってくれるところや、喜怒哀楽が分かり易いところも気に入っていた。
リッキーは、オルターナ公爵邸でマルゲリーターと初めて出会った時から、面白い娘だと思っていたのである。
それが恋心に変ったのは、アルフレッドに失恋して泣いていた時だったのかもしれない。
一人の男性を、一途に想い続けていたマリーに愛されてみたいと、心の何処かで感じていたのだった。
偶然街角で出会った時は、運命の出会いだと思った程に、嬉しかったのも事実である。
それから何度も友達デートを繰り返し、勇気を振り絞ってマリーに告白しようと決意をするのも早かった。
しかしマリーのさっぱりとした性格と、どこか危なっかしい感じが、男性たちの庇護欲をそそっているのも事実である。
同僚からの人気も高く、男性の友人も増えていると聞いているので、リッキーは焦り始めてもいた。
のんびり構えていると、気付いた時には、誰かに横取りされているかもしれない。
リッキーは、マリーを誰にも取られたくないと思う程、夢中になっていたのである。
マリーは、自分でも驚く程、順応性が高いと思っている。
初めは戸惑う事も多かったが、今では楽しんでいるものが沢山あるのだ。
身体を動かすのは辛かったが、それにも随分と慣れて、今は同僚と食堂で昼食を楽しんでいた。
若い娘が集まると、決まって会話は恋愛の話しになるのだった。
「マリー。彼とは、どうなったの?付き合う事にしたの?」
「彼って?」
「ほら、いつも送って貰ってるじゃない。休みも合わせているって、イザベラから聞いているわよ~」
「リッキーの事?」
「他に、誰がいるのよ。彼って、侯爵邸の護衛騎士なんでしょう?同僚で、彼女募集中の人がいないか、聞いてみてよ。私に、一番に紹介して欲しいの」
「いいよ、今度リッキーに会った時に、聞いてあげるよ。でも、そんなお友達はいないかもしれないし…あんまり、期待しないでよね」
マリーは、リッキーの職場に行った事や、恋人募集中の友人の話を聞いた事がなかった。
ガッカリする顔を見たくなかったので、期待しないで欲しいと思った事が、そのまま口に出てしまうのだった。
「分かっているわよ。期待しないで、待っているわね」
かなりキツイ口調になってしまったが、マリーに裏表がない事は有名な話なので、同僚は特に気にもしていないのである。
リッキーと会う時は、お気に入りの場所や、お勧めの店に行く事が多いのだ。
いつもマリーが一人でお喋りをしており、リッキーは聞き役に回っていた。
初めて友達デートをした日から、すっかりリッキーに心を開いていたが、まだアルフレッドの事を忘れられた訳ではなかった。
一途にアルフレッドを思い続けていたマリーにとって、他の異性を恋愛対象として見る事は、そう簡単に出来ないのである。
リッキーは、オルターナ公爵邸にいる頃からマルゲリーターを気に掛けていたが、マリーは全く覚えてはいなかったのだった。
その為、二人の間に温度差があったのは、致し方のない事なのかもしれない。
それでも、マリーなりに失ったものをいつまでも追い求めていても仕方がないと自分に言い聞かせ、前向きに生きる努力はしているのである。
今は、リッキーを友人の一人として見ているだけだが、傍からみたら付き合いたての恋人同士の様に見られていた。
マリーは、まだ気付いていないのだ。
アルフレッドが、過去の存在になりつつあるという事を…
毎日思い出しては、泣き暮らしていた日々が、終わりを向かえている事も…
そして今日もマリーは、お気に入りのワンピースを着てリッキーが迎えに来てくれるのを、門の前で待っていた。
その一途な姿を、多くの門兵たちが暖かな眼差しで見つめているというのも、気付いてはいなかったのである。
朝の柔らかな日差しが、マリーの薄茶色の髪の毛を照らす。
春の暖かな陽気と小鳥の囀りが、穏やかな休日の朝を祝福している様だった。
「今日も、良い天気ね」
「マリー、おはよう。今朝も早いね」
「うん。部屋にいてもやる事ないし、待ちきれないから出てきちゃうんだ」
リッキーは、照れ臭そうな笑顔を見せていた。
待ち合わせ時間は決めているのだが、かなり早く迎えに来ても、いつもマリーを待たせてしまっている。
いったい何時から待っているのかと聞いても、来たばかりだと答えるだけで、正確な時間は分からなかった。
今日も、約束の時間より一時間も早く来たのだが、やはりマリーは門の前で待っていた。
待ちきれなかったという言葉が、どこかくすぐったく、リッキーの心に響いている。
マリーは気付いてはいないが、リッキーの姿を、今か今かと探しているのだ。
リッキーを見つけると、花が綻ぶ様な満面の笑みを向けてくるのである。
その笑顔が、リッキーはとても好きなのだ。
ごく一般的な令嬢と違い、はっきりと自分の意見を言ってくれるところや、喜怒哀楽が分かり易いところも気に入っていた。
リッキーは、オルターナ公爵邸でマルゲリーターと初めて出会った時から、面白い娘だと思っていたのである。
それが恋心に変ったのは、アルフレッドに失恋して泣いていた時だったのかもしれない。
一人の男性を、一途に想い続けていたマリーに愛されてみたいと、心の何処かで感じていたのだった。
偶然街角で出会った時は、運命の出会いだと思った程に、嬉しかったのも事実である。
それから何度も友達デートを繰り返し、勇気を振り絞ってマリーに告白しようと決意をするのも早かった。
しかしマリーのさっぱりとした性格と、どこか危なっかしい感じが、男性たちの庇護欲をそそっているのも事実である。
同僚からの人気も高く、男性の友人も増えていると聞いているので、リッキーは焦り始めてもいた。
のんびり構えていると、気付いた時には、誰かに横取りされているかもしれない。
リッキーは、マリーを誰にも取られたくないと思う程、夢中になっていたのである。
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