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The biginning
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むかしむかしの話です。
国々が醜い争いを繰り返し、世界の終末が目前に近づいていた頃、ある者たちが立ち上がりました。
のちに「創始者」と呼ばれた彼らは、知っている限りの技術を紡ぎ合わせ、高く堅牢な壁に囲まれた、巨大な集合住宅を産み出しました。
〈ハウス〉と名付けられたそこには、争いから逃げてきた人々が住むようになりました。そこには争いはなく、ただ善意のもと、お互いが助け合って生きる理想郷が存在していました。
そしてその子孫は今でも、〈ハウス〉に暮らしているのです。
何回も生まれた頃から繰り返されてきた話が耳に入ってきて、アスターはあくびをこらえた。しかし、そんな彼女の心情に関係なく、語り部のおばあさんの話を聞いていた幼い子どもたちは嬉しそうに拍手を送った。幼い頃の自分もあんなふうだったのだろうかと自問自答してみたが、そうでもない。年齢の問題でもないようだ。
そんなことを思いながら、アスターは商店街のほうに足を向ける。いつも彼女に会うときは菓子折りが必須なのだ。いつも立ち寄っている菓子店、〈ナゴミ〉に向かう。別国の人々が集まって造られた場所だからか、名前の響きも異なるものだらけだが、12年も暮らしていれば、それが自然に思えてくる。一応ハウス内で作られた共通語はあるのだが、自分の故国の言葉が一番しっくり来るというのは、わからなくもない。
アスターは古びた樫の扉を開けた。いつも通り、店主のヒュウガとその娘のカリンがいる。早朝だからか、客の姿は自分以外に見られなかった。
「おはようございます」
扉をきちんと閉めて、中に入る。バスケットや陶器の小皿に並んだ品々は例のごとくおいしそうだ。祖母は「洋菓子」と呼ばれる華やかな菓子のほうが好きだというが、アスターは「和菓子」という繊細な甘さの菓子のほうが好きだった。
「今日もあいつに会いに行くのか?」
カウンターにひじをついて暇そうにしていたヒュウガからの問いに、アスターはうなずいた。ヒュウガが苦笑する。
「よくも毎週行くもんだな。相手が大変じゃないか?」
返答に困って、アスターは曖昧にうなずいた。相手が大変だというのは間違えようもない事実だけれども、妙に勘の良い彼女に知られたらと思うと、首を大きく縦に振る気にはなれなかった。
「ねぇアスター、新作の和菓子ができたんだけど、味見してくれる?」
カリンが奥の工房から小皿を取ってきてアスターにたずねた。アスターはすぐにうなずいた。〈ナゴミ〉の菓子なら何でもおいしいということは、これまでの経験が証明している。
「うん、食べる。どんなのができたの?」
「練り切りって知ってる?白あんとかで練り上げた上生菓子」
思わせぶりにカリンが言うが、よくわからない。その様子を見て、カリンはまあいいやとでも言いたそうに肩をすくめた。
「うちには代々、お菓子の作り方に関わる秘伝書が伝わってるって話はしたっけ?」
「そういえばしてたな。学堂で読み書き習ってたとき」
アスターは思い出しながら答えた。確か三年くらい前のことだ。カリンが帰り道、自慢げに話していた。カリンが感心したというよりは呆れたようにうなずく。
「よく覚えてるね、そんなこと」
「本当にあったのかい?」
「もちろん。あたしの部屋の床下に大事にしまってあるよ」
自信満々に答える彼女の様子から考えて、存在は確かのようだ。アスターは古びた紙に記された、墨の文字を一瞬連想したが、かすかな疑問が生まれた。
「そんなおおっぴらに喋ってたら、秘伝書じゃないんじゃないの?」
そんなアスターの言葉を聞く様子もなく、カリンは話し続ける。
「でね、そこに書いてあった新しいレシピにお父さんと昨日挑戦してみたんだ、ね?」
「っ、ああ、そうだな」
居眠りをしていたヒュウガがはっとしてうなずいた。きっとカリンのことだから、それを完成させるために夜遅くまで粘ったのだろう。アスターはこき使われたであろうヒュウガに少し同情した。
「それが、これ?」
アスターは、青い模様が白い地に施されている小皿にちょこんと座った菓子を覗き込んだ。見知らぬ花のかたちにかたどられた、ちんまりとした桃色の和菓子だ。
「この花の名前は何ていうのかい?」
「桜っていうらしいよ。実物は見たことないけど。春っていう季節の区分に咲くんだって」
知らない言葉の雅な響きにアスターはうなずいた。昔、〈ハウス〉の外にあったものということか。自分の好奇心がくすぐられるのを感じる。
「今度、その秘伝書、見せてもらえる?」
アスターの問いにカリンはこれみよがしに考え込んだ。オーケーしてほしい。アスターは願った。〈ハウス〉内にある、昔に関する書籍は全て読んでしまったのだ。もっと外の世界について知りたいのにも関わらず。
「うーん、アスターならいっか。でも、他言無用!オーケー?」
カリンの迫力に、アスターはぶんぶんと首を縦に振った。もし秘密をもらしたらどんなことになるかたまったものではない。
「あと、あたしの故国の言葉だから、アスターにはわからないかも。一緒に読も」
アスターはうなずいた。〈ハウス〉ではよくあることだ。ここに暮らす子どもたちは、それぞれの親から〈ハウス〉の共通語とともに、故国の言葉も学ぶ。しかし、改めて親友のカリンとの距離を感じるのは少し寂しかった。
「ま、その前に食べてよ。絶対ほっぺた落ちるから」
カリンが差し出してきたつまようじのようなものを使って、アスターは練り切りを口に運んだ。
甘い。素朴な甘さが口の中に広がるのを感じて、アスターは微笑んだ。
「うん。すごく甘いね。もう売ってるの?」
「ううん、まだ。でも、売り始めたら知らせるね。きっと〈キーパー〉さんも喜ぶよ」
アスターはうなずいた。そうだ、目的を忘れていた。アスターは菓子たちとその値段を吟味しながら言う。
「草餅二つと、ジャムビスケットを一箱ください」
正直、毎週行くたびに菓子の費用を取られるのは、決して財布に取って優しくはない。むしろ、暴力を振るっているようにすら思える。しかし、それ以上に自分の好奇心のほうが強かった。だから、〈ハウス〉内での雑用をこなしながら、金を貯めて菓子代を出していた。そして今日、今週の苦労が報われる日が来たのだ。
「1200ガロンだぜ」
だけれども、どんどん財布の中から流出していく金が惜しいわけではない。何回もの雑用で得られた紙幣や硬貨たちが、一回の精算で失われていくのにはなんともいえない気持ちになる。無情なヒュウガの言葉に、アスターは言葉をぶつけた。
「少し、安くしてもらえないですか?」
「可愛い笑顔」と思われるような笑顔をつくりながら、アスターはたずねた。彼女にはその顔が少し引きつっているということを知る由もない。
「1200ガロンだ」
にっこりと笑いながら、ヒュウガが手を出してきた。アスターはたった今この瞬間、彼とカリンには同じ血が流れていることを確信した。
「…はい」
諦めて財布の中から紙幣を一枚と硬貨を二枚出す。ため息がもれそうになるのを、アスターは必死に我慢した。その背中を、カリンの明るい「まいどあり!」という言葉が追いかけていた。
国々が醜い争いを繰り返し、世界の終末が目前に近づいていた頃、ある者たちが立ち上がりました。
のちに「創始者」と呼ばれた彼らは、知っている限りの技術を紡ぎ合わせ、高く堅牢な壁に囲まれた、巨大な集合住宅を産み出しました。
〈ハウス〉と名付けられたそこには、争いから逃げてきた人々が住むようになりました。そこには争いはなく、ただ善意のもと、お互いが助け合って生きる理想郷が存在していました。
そしてその子孫は今でも、〈ハウス〉に暮らしているのです。
何回も生まれた頃から繰り返されてきた話が耳に入ってきて、アスターはあくびをこらえた。しかし、そんな彼女の心情に関係なく、語り部のおばあさんの話を聞いていた幼い子どもたちは嬉しそうに拍手を送った。幼い頃の自分もあんなふうだったのだろうかと自問自答してみたが、そうでもない。年齢の問題でもないようだ。
そんなことを思いながら、アスターは商店街のほうに足を向ける。いつも彼女に会うときは菓子折りが必須なのだ。いつも立ち寄っている菓子店、〈ナゴミ〉に向かう。別国の人々が集まって造られた場所だからか、名前の響きも異なるものだらけだが、12年も暮らしていれば、それが自然に思えてくる。一応ハウス内で作られた共通語はあるのだが、自分の故国の言葉が一番しっくり来るというのは、わからなくもない。
アスターは古びた樫の扉を開けた。いつも通り、店主のヒュウガとその娘のカリンがいる。早朝だからか、客の姿は自分以外に見られなかった。
「おはようございます」
扉をきちんと閉めて、中に入る。バスケットや陶器の小皿に並んだ品々は例のごとくおいしそうだ。祖母は「洋菓子」と呼ばれる華やかな菓子のほうが好きだというが、アスターは「和菓子」という繊細な甘さの菓子のほうが好きだった。
「今日もあいつに会いに行くのか?」
カウンターにひじをついて暇そうにしていたヒュウガからの問いに、アスターはうなずいた。ヒュウガが苦笑する。
「よくも毎週行くもんだな。相手が大変じゃないか?」
返答に困って、アスターは曖昧にうなずいた。相手が大変だというのは間違えようもない事実だけれども、妙に勘の良い彼女に知られたらと思うと、首を大きく縦に振る気にはなれなかった。
「ねぇアスター、新作の和菓子ができたんだけど、味見してくれる?」
カリンが奥の工房から小皿を取ってきてアスターにたずねた。アスターはすぐにうなずいた。〈ナゴミ〉の菓子なら何でもおいしいということは、これまでの経験が証明している。
「うん、食べる。どんなのができたの?」
「練り切りって知ってる?白あんとかで練り上げた上生菓子」
思わせぶりにカリンが言うが、よくわからない。その様子を見て、カリンはまあいいやとでも言いたそうに肩をすくめた。
「うちには代々、お菓子の作り方に関わる秘伝書が伝わってるって話はしたっけ?」
「そういえばしてたな。学堂で読み書き習ってたとき」
アスターは思い出しながら答えた。確か三年くらい前のことだ。カリンが帰り道、自慢げに話していた。カリンが感心したというよりは呆れたようにうなずく。
「よく覚えてるね、そんなこと」
「本当にあったのかい?」
「もちろん。あたしの部屋の床下に大事にしまってあるよ」
自信満々に答える彼女の様子から考えて、存在は確かのようだ。アスターは古びた紙に記された、墨の文字を一瞬連想したが、かすかな疑問が生まれた。
「そんなおおっぴらに喋ってたら、秘伝書じゃないんじゃないの?」
そんなアスターの言葉を聞く様子もなく、カリンは話し続ける。
「でね、そこに書いてあった新しいレシピにお父さんと昨日挑戦してみたんだ、ね?」
「っ、ああ、そうだな」
居眠りをしていたヒュウガがはっとしてうなずいた。きっとカリンのことだから、それを完成させるために夜遅くまで粘ったのだろう。アスターはこき使われたであろうヒュウガに少し同情した。
「それが、これ?」
アスターは、青い模様が白い地に施されている小皿にちょこんと座った菓子を覗き込んだ。見知らぬ花のかたちにかたどられた、ちんまりとした桃色の和菓子だ。
「この花の名前は何ていうのかい?」
「桜っていうらしいよ。実物は見たことないけど。春っていう季節の区分に咲くんだって」
知らない言葉の雅な響きにアスターはうなずいた。昔、〈ハウス〉の外にあったものということか。自分の好奇心がくすぐられるのを感じる。
「今度、その秘伝書、見せてもらえる?」
アスターの問いにカリンはこれみよがしに考え込んだ。オーケーしてほしい。アスターは願った。〈ハウス〉内にある、昔に関する書籍は全て読んでしまったのだ。もっと外の世界について知りたいのにも関わらず。
「うーん、アスターならいっか。でも、他言無用!オーケー?」
カリンの迫力に、アスターはぶんぶんと首を縦に振った。もし秘密をもらしたらどんなことになるかたまったものではない。
「あと、あたしの故国の言葉だから、アスターにはわからないかも。一緒に読も」
アスターはうなずいた。〈ハウス〉ではよくあることだ。ここに暮らす子どもたちは、それぞれの親から〈ハウス〉の共通語とともに、故国の言葉も学ぶ。しかし、改めて親友のカリンとの距離を感じるのは少し寂しかった。
「ま、その前に食べてよ。絶対ほっぺた落ちるから」
カリンが差し出してきたつまようじのようなものを使って、アスターは練り切りを口に運んだ。
甘い。素朴な甘さが口の中に広がるのを感じて、アスターは微笑んだ。
「うん。すごく甘いね。もう売ってるの?」
「ううん、まだ。でも、売り始めたら知らせるね。きっと〈キーパー〉さんも喜ぶよ」
アスターはうなずいた。そうだ、目的を忘れていた。アスターは菓子たちとその値段を吟味しながら言う。
「草餅二つと、ジャムビスケットを一箱ください」
正直、毎週行くたびに菓子の費用を取られるのは、決して財布に取って優しくはない。むしろ、暴力を振るっているようにすら思える。しかし、それ以上に自分の好奇心のほうが強かった。だから、〈ハウス〉内での雑用をこなしながら、金を貯めて菓子代を出していた。そして今日、今週の苦労が報われる日が来たのだ。
「1200ガロンだぜ」
だけれども、どんどん財布の中から流出していく金が惜しいわけではない。何回もの雑用で得られた紙幣や硬貨たちが、一回の精算で失われていくのにはなんともいえない気持ちになる。無情なヒュウガの言葉に、アスターは言葉をぶつけた。
「少し、安くしてもらえないですか?」
「可愛い笑顔」と思われるような笑顔をつくりながら、アスターはたずねた。彼女にはその顔が少し引きつっているということを知る由もない。
「1200ガロンだ」
にっこりと笑いながら、ヒュウガが手を出してきた。アスターはたった今この瞬間、彼とカリンには同じ血が流れていることを確信した。
「…はい」
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