死にたがりの神様へ。

ヤヤ

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第八章 世界大戦

126.隊長と恋バナ

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「──で、ぶっちゃけると、リレイヌちゃんは誰が好きなの?」

「ゴフッ!!」と噎せたリレイヌは、飲みかけのスープをそのままに目を見開いてにこやかに笑うリンを見た。

 時刻は昼の十二時前。程よく混み合う食堂の片隅で、リン、リレイヌ、それから何故か着いてきた杏がそれぞれ適当に注文した食事をとる中、美しい所作で食事を摂っているリレイヌをじいっと眺め、リンは唐突にそう問うた。
 お陰で噎せ込むリレイヌに慌てたようにティッシュを手渡しながら、杏が「大丈夫ですか!?」と声をあげる。

「ごほっ、こふっ……い、いきなりなんですか、リンちゃん隊長……」

「え、いやぁ~、縁を深めるためにも恋バナしよっかなって思って!」

「こい!? そ、そんなの、私は……っ」

「察するに睦月くんかリックくんだと思うんだよねぇ。シェレイザの旦那はどちらかと言えば保護者っぽいし、アジェラくんはなんか見てて違うなって思うし……あ、さっきイチャついてたからもしかして睦月くんの方だったり!?」

「ち、ちがっ! てかイチャついてませんっ!!」

「まったまたぁ~!」

 ケラケラ笑いながら、リンは味噌汁を飲む。楽しげな彼の様子にぐぬぬ、と震えたリレイヌは、ちらりと隣に座る杏を見ながら口を開いた。

「そういうリンちゃん隊長は、どうなんですか……?」

「ん? おれ? 俺は、そうだなぁ~……どう見える?」

「……女の人泣かせてそうですよね」

「グッサリ言うねリレイヌちゃんは。リンちゃん泣いちゃう」

 グスグスと泣き真似を披露するリンに深くため息を吐き出し、リレイヌは残ったスープを軽く飲み干した。そうして小さく息を吐き出す彼女に、その隣に座る杏がジッと視線を向けたままぽつりと言う。

「……顔面国宝」

「え?」

「あ、いや、なんでもないです……ナンデモナイデス……」

 消え入るように縮こまる杏に首を傾げた時だ。けたたましいサイレンの音が食堂内に響き渡った。思わずビクつくリレイヌを前、ソーセージを食んでいたリンが「何事?」と眉をひそめた。杏が即座にどこかに通信を入れ、すぐに顔を上げて「敵襲だそうです」と一言。

「敵襲? 作戦本部に?」

「はい、生物兵器が接近していると報告がありました」

「……生物兵器」

 リンの声色が若干低くなった。まるで何かを憎むように発されたその声に疑問を抱くよりも先に、顔を上げた彼は「リレイヌちゃん、出れる?」とひとつ確認。問われたリレイヌはすぐに頷き立ち上がる。

「杏ちゃん、キミはシェレイザの旦那の所へ。今あの方を殺られると痛手だ」

「わかりました。お、お気をつけて……」

「ありがと。──リレイヌちゃん、行くよ」

「はい」と頷くリレイヌを引き連れ、リンは食堂を飛び出した。その手にはいつの間にか武器である銃が握られており、リレイヌは思わずどこから出したんだろう、と疑問を抱く。しかし、今は聞くべき時ではないなと、リレイヌは視線を前へ。走るリンを追いかけながら、共に外へと飛び出した。

「あ! 隊長!!」

 外に出ると、ひとりの青年が駆け寄ってきた。リンはすぐに駆けてきた彼に対し口を開く。

「ごめん遅れた。今どんな状況?」

「はっ! 先刻、敵国アラスタより生物兵器と思わしきモノが落とされました。落下したソレは今現在巨大な繭となっており、近づいたモノを養分として捕らえ、捕食しています!」

「OK。皆に適切な距離で待機するよう指示出して。多分この騒ぎなら柊隊も出てくるはず。生物兵器相手に力技でごり押すならあの隊が一番だ。ってことで、俺らは今回補助に回るよ」

「了解です!」

 ビシリと敬礼した青年は、そこでちらりとリレイヌを見ると、すぐに顔を背けて今し方のリンの言葉を伝達するべく走っていく。リレイヌはそんな青年の背を見送り、そっとリンを見た。どこか強ばった表情の彼からは、あの陽気さは微塵も感じられない。そこにあるのは怒り、焦り、そういったマイナスの感情だけ。

「(生物兵器……)」

 それがどんな物かは想像に難いが、リンがここまでなるほどだ。余程タチの悪い物なのだろう。

 ひとり納得したように頷くリレイヌは、そこで駆けてきた柊たちを確認。軽く説明を施し施される隊長たちを尻目に、そっと着いてきたらしい睦月たちの傍に近づいた。
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