死にたがりの神様へ。

ヤヤ

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第三章 強さを求めて

37.才能と習得と

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「魔法は自然の力。つまり自然を操るためには自然を理解し同調しなければならない。この同調がなによりも難しいところなんだけど……まあ、扱えば扱うだけ慣れてくるわ」

「はい」

「よし、じゃあ、まずは簡単な浮遊魔法からやってみましょうか」

 それから三日三晩、リレイヌは魔法についてをシアナから教わった。シアナの教えは至極丁寧で分かりやすく、それらを理解するのにさほど時間はかからなかった。
 二日目で、リレイヌは浮遊魔法を習得した。どうやら魔法を扱う才が彼女にはあったようで、その他の魔法も難なく習得していく。これにはシアナ、にっこりである。娘の並々ならぬ才能を垣間見るのは、母として親として、非常に鼻が高いものだ。

「よし、魔法は大丈夫ね」

 一週間ほどで、シアナはリレイヌに対し合格を言い与えた。
 リレイヌは目の前でタップダンスを踊る毛糸の靴下から視線を外し、合格をくれたシアナを見る。

「もういいの?」

「ええ。というか、十分すぎるほど習得が早いわ。さすが母さん自慢の娘ね」

「え、えへへ……」

 へにゃりと笑った彼女にほんわかと笑う。

 そんな癒しの時間を割くように、シアナは「じゃあ次ね」と手を叩いた。リレイヌが顔を上げる。

「次は魔導の習得についてなんだけど……これは実際に、『妖精の森』に行かなければいけなくて……」

「……遠いの?」

「そうね。ここからでも三日三晩は掛かるわ。でも、今のアナタには魔法がある」

「あ! 転移魔法!」

「そうそれ」

 理解が早くて助かると、シアナは笑った。

「転移魔法は魔法という括りの中でも最も複雑で大変な、習得の難しい魔法なの。でも、リレイヌは二日前にこれを習得してる。きっと『妖精の森』までひょひょいのひょいよ!」

「ひょひょいのひょい!」

「うんうん」

 頷くシアナ。
 そんな彼女は、「折角だからお友達も誘いましょうか」と口にする。リレイヌが不思議そうな顔をした。今度はアクロバティックな動きをしている靴下を尻目、小さな彼女は小首を傾げる。

「お友達?」

「ええ」

 きっとこれは、あの子たちの力にもなってくれるわ。

 告げたシアナが片手を振って己の真横の空中に黒電話を出現させた。それでどこぞへと連絡をとる彼女を、リレイヌは不思議そうな顔で見つめる。
 その間にも、アクロバティックな動きをやめた靴下は、大変疲れたというようにその場でくちゃりと座り込むのであった。
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