死にたがりの神様へ。

ヤヤ

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第三章 強さを求めて

36.魔法と魔導

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「──おはよう。リレイヌ。朝ごはん出来てるわよ」

「ぇ……」

 早朝、不思議で穏やかな神域の中に、リレイヌの絶望した音が小さく響いた……。



 ◇◇◇



 一夜明けた今日。シアナは白い建築物を見回しながら、うん、と、軽く頷いた。その後ろ、些か顔色の悪いリレイヌが「なんだったんだろうアレ……」、「シャリシャリしてた……」ともごもご呟いている。
 そんなリレイヌのことなど露知らず、シアナは目の前に広がる美しい水を眺めてから、もう一度頷き振り返った。

「──いい? リレイヌ。まず、貴女が強くなるために一番最初に学ぶことは、『魔法』、それから『魔導』についてよ」

 告げたシアナに、リレイヌは顔を上げ、首を傾げる。

「魔法と……まどう……?」

「そう」

 首肯したシアナが戸惑うリレイヌの傍へ。軽く膝を折り曲げしゃがみ込むと、小さな彼女の目線に合わせるように腰を曲げてから「いいこと?」と口を開いた。

「まず第一に、魔法も魔導も、才能がなくては扱えない力であることを理解しておかなければならないわ。これは努力でなんとかなる問題ではないの」

「なるほど」

 頷いたリレイヌに、シアナは笑う。

「では、まず魔法について。魔法というのは『自然の力を用いて超常を起こすこと』を言うわ。魔法を極めれば無機物に命だって与えられるようになるの」

 そう言われて思い出すのは家にいたトランプたちのこと。なるほど、アレは魔法の力で動いていたのかと納得すると同時、シアナが「それから」と言葉を続ける。

「次に魔導について。魔導というのは『精霊の力を借りて超常を起こすこと』をいうわ。この力を使うためには精霊と契約しなければいけないんだけれど、もちろん上手く契約できたとして必ずしもその力が扱えるとは限らない」

「……才能のせい?」

「そういうこと。才能がなければ二つの力は扱えない。現に私は魔法は使えるけど魔導は使えないもの」

「ほへぇ」と声が漏れだした。どこか驚いたようなそれにクスクス笑うと、シアナは膝を伸ばして立ち上がる。

「見てて」

 言って彼女が片手を振ると同時、前方の水が空に向かって湧き上がった。辺りに散る水飛沫がまるで宝石のように輝くのを視界、リレイヌは「おぉ」と声を発し、両手を叩き合わせた。パチパチと鳴る拍手の音に、シアナは満更でもなさそうな顔で腰に手を当てにこやかに笑う。

「これが魔法。まあ、自然を操る簡単なものだけど。これに術式などを組み込むと……」

 パチンッと鳴らされる指の音。それに呼応するように震えた水柱が、ぐにゃりと曲がって動物の形になっていく。水でできたカエルやウサギ、ネコやイヌ、トリがぺたぺたと地面を歩く姿を尻目、シアナを見れば「こんなことも可能になるわ」と一言。リレイヌの目が期待と興奮によりキラキラと輝く。

「まずは魔法から。次に魔導を。強くなるために──鍛えるわよ、リレイヌ」

「はいっ!」

 頷いた少女に母は笑う。

 コレがアナタの力になるように……。

 願う彼女はきっと、この先の絶望を知っている……。
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