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第五章 婚約とパーティ
72.話の許可
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「──と、いうわけで、リレイヌをお借りしたいんですが……」
戻ってきた会場内。リオルは酒を堪能するシアナを見つけ、早速と先程のことを話してみせた。シアナはほろ酔い気分でそれを聞くと、「いいわよぉ」と一言。ニコニコ笑う。
「リレイヌもお友達といた方が楽しいと思うし、私は反対しないわ、うふふ~」
「……この龍神酔ってる? イテッ」
「だまれ睦月」
それ以上言ってはいけないと、リオルは睦月を窘めた。これに睦月はべ、と舌を出すと、そのまま腕を組んでそっぽを向く。
リックがそんな睦月の様子を鼻で笑う。どこか余裕の戻ってきた様子の彼に、アジェラが「あ、いつも通りに戻った」とポソリと呟いた。
「……いいの? 母様」
リレイヌが問う。
「もちろんよ」
シアナは穏やかに告げた。
「そもそも、子を縛りすぎるのはあまり良くないことだからね。子は自由でないと。それに、先も言った通り、リレイヌもお友達といた方が楽しいでしょう?」
「それは、そうだけど……」
「……何か不安?」
シアナの問いかけに、リレイヌは慌てた様子で首を横に振った。しかし、彼女の顔色はどこか暗い。
気づいたリオルが「どうかした?」と問いかける。だが、リレイヌは「なにもないよ」と言うだけだった。
「リレイヌ……」
「本当に、何も無いの。何も無いから……」
告げる小さな少女に、その母たる女は沈黙。そっと目を伏せると、全てを理解したようにこくりと一度頷いてみせた。
「そっか、そうよね……うん、わかったわ」
頷き、何も理解出来ておらぬ子供たちをよそ、シアナはゆるりとリレイヌの前へ。そっと膝を折ると、愛しげにその頬に手を添える。
「リレイヌ。未来の数は数多にあるわ。それ故に、選択さえ間違えなければ、きっと明るい方向へ物事は進むはず」
「……母様」
「……不安なら不安でいいの。でもね、その不安をそのままにしているのはダメ。他の子たちのためにも、全ての悪い要素は消し去りなさい。あなたなら、それが出来るわ」
「……はい」
頷いた少女。そんな彼女に対しにこりと笑った母親は、「さー、もう一杯飲もうかしら」とどこぞへ向かい歩いていく。
「……酒豪?」
睦月が言った。
「んまあ、神様ってほら、お酒好きだしな。イメージ的に……」
リオルも苦く苦笑をこぼす。
「……とりあえず、今夜のパーティはそれどころでは無くなったし、僕はもう部屋に戻ろうかな」
リックが告げた。当たり前のようにパーティ離脱を告げる彼に、睦月が眉間に皺を寄せて口を開く。
「は? おいおい、主役が逃げる気か?」
「逃げてない黙れ」
「嘘つけ。お前俺に負けたからって悔しいんだろ」
「は!? 誰が貴様ごときに──というか負けてない!!」
「はいはい。弱い犬ほどよく吠えることで」
「こっの!!!」
怒りにより頭に血がのぼったらしい。睦月に掴みかかろうとするリックを止めながら、リオルはちらりとまだ幼き少女を盗み見る。
何を考えているのか、どこかをぼんやり眺める彼女は、胸元に手を当てたまま、小さな息を吐き出していた。不安に彩られたそれに思わず声をかけようとするも、それより前に彼女が踵を返したことにより、リオルは自然と口を噤むことになる。
「……なにか、思うことがあるのかな」
会場を去っていった小さな背中。
それを視界にポツリと零したリオルに、同じく不安に彩られた表情で眉尻を下げるアジェラが、「さあ……」と小さな言葉を返していた。
戻ってきた会場内。リオルは酒を堪能するシアナを見つけ、早速と先程のことを話してみせた。シアナはほろ酔い気分でそれを聞くと、「いいわよぉ」と一言。ニコニコ笑う。
「リレイヌもお友達といた方が楽しいと思うし、私は反対しないわ、うふふ~」
「……この龍神酔ってる? イテッ」
「だまれ睦月」
それ以上言ってはいけないと、リオルは睦月を窘めた。これに睦月はべ、と舌を出すと、そのまま腕を組んでそっぽを向く。
リックがそんな睦月の様子を鼻で笑う。どこか余裕の戻ってきた様子の彼に、アジェラが「あ、いつも通りに戻った」とポソリと呟いた。
「……いいの? 母様」
リレイヌが問う。
「もちろんよ」
シアナは穏やかに告げた。
「そもそも、子を縛りすぎるのはあまり良くないことだからね。子は自由でないと。それに、先も言った通り、リレイヌもお友達といた方が楽しいでしょう?」
「それは、そうだけど……」
「……何か不安?」
シアナの問いかけに、リレイヌは慌てた様子で首を横に振った。しかし、彼女の顔色はどこか暗い。
気づいたリオルが「どうかした?」と問いかける。だが、リレイヌは「なにもないよ」と言うだけだった。
「リレイヌ……」
「本当に、何も無いの。何も無いから……」
告げる小さな少女に、その母たる女は沈黙。そっと目を伏せると、全てを理解したようにこくりと一度頷いてみせた。
「そっか、そうよね……うん、わかったわ」
頷き、何も理解出来ておらぬ子供たちをよそ、シアナはゆるりとリレイヌの前へ。そっと膝を折ると、愛しげにその頬に手を添える。
「リレイヌ。未来の数は数多にあるわ。それ故に、選択さえ間違えなければ、きっと明るい方向へ物事は進むはず」
「……母様」
「……不安なら不安でいいの。でもね、その不安をそのままにしているのはダメ。他の子たちのためにも、全ての悪い要素は消し去りなさい。あなたなら、それが出来るわ」
「……はい」
頷いた少女。そんな彼女に対しにこりと笑った母親は、「さー、もう一杯飲もうかしら」とどこぞへ向かい歩いていく。
「……酒豪?」
睦月が言った。
「んまあ、神様ってほら、お酒好きだしな。イメージ的に……」
リオルも苦く苦笑をこぼす。
「……とりあえず、今夜のパーティはそれどころでは無くなったし、僕はもう部屋に戻ろうかな」
リックが告げた。当たり前のようにパーティ離脱を告げる彼に、睦月が眉間に皺を寄せて口を開く。
「は? おいおい、主役が逃げる気か?」
「逃げてない黙れ」
「嘘つけ。お前俺に負けたからって悔しいんだろ」
「は!? 誰が貴様ごときに──というか負けてない!!」
「はいはい。弱い犬ほどよく吠えることで」
「こっの!!!」
怒りにより頭に血がのぼったらしい。睦月に掴みかかろうとするリックを止めながら、リオルはちらりとまだ幼き少女を盗み見る。
何を考えているのか、どこかをぼんやり眺める彼女は、胸元に手を当てたまま、小さな息を吐き出していた。不安に彩られたそれに思わず声をかけようとするも、それより前に彼女が踵を返したことにより、リオルは自然と口を噤むことになる。
「……なにか、思うことがあるのかな」
会場を去っていった小さな背中。
それを視界にポツリと零したリオルに、同じく不安に彩られた表情で眉尻を下げるアジェラが、「さあ……」と小さな言葉を返していた。
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