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第三十二話 私ったらあんな体勢で、あんなはしたなく……(ゆうくんのえっちいいいいっ!)
しおりを挟む未来を映す水晶玉を見たレイラは、
【私ったらあんな体勢になって……】
【あんな体勢ってどんな体勢だっ?】
【私ったらあんなにはしたなく……】
【はしたなく何をしたって言うんだっ?】
【私だけはエッチにならないと思ってたのに……】
【思ってたのになんだ? 答えろっ?】
【ちょうるさい! 全部あなたのせいでしょう!】
レイラは俺の頬をぷにっとつねる。
【いはい! いはいれす!】
レイラは俺の二の腕をむぎゅっとつまみながら、
【私に変な遊び教えた張本人がなんで嬉しそうにしているのよっ!】
【まだ何もしてないだろ! 俺童貞だぞ!】
レイラは俺の腰のあたりの肉をむにっとつねる。
【未来でやるのよっ!】
【未来っていつっ? って言うか俺の体をつねりながらじゃないと喋れないの?】
レイラは下を見て、ボソリと、
【三日後……】
なんと三日後には、この処女が淫乱どすけべ変態痴女になっているそうだ。
もう待ちきれない! 止められない! 楽しみすぎて眠れない!
そして俺は人生で最も長い三日間を過ごした。
まるで処刑を待つ死刑囚の気分だった。
こんなに長い三日間は初めて。それほどまでに彼女との同棲が楽しみなのだ。
学校は長期の夏休みに入り、待ちに待った同棲期間が始まった。やったぜ!
俺はレイラと待ち合わせをした馬車停(バス停みたいな)に着く。
するとそこには、めいいっぱいおしゃれをした彼女がいた。
俺より先に着いたらしい。
ちょっと背伸びをした処女は、俺を見ると、
【む! 遅い!】
【ごめん……! でも今来たばっかりだろ?】
【三〇分前からいます! このシチュだったら普通男女逆じゃない? しかも開き直っているし……!】
【ごめんよ……これ買ってたんだ……】
俺はレイラに、今晩脱がせたい紐が全然ないセクスィ~なパンティー……ではなく小ぶりなネックレスをプレゼントした。
チャームの部分は小さなハート。色は控えめな薄ピンク。セクシーでもエロくもなく可愛らしい普通のやつだ。
童貞的には何をあげていいのかよくわからなくてこれにしてみた。
【わぁ。これ私に?】
【うん! 似合うと思って……】
【ありがとう! 早速つけてくれる?】
レイラは背中をこちらに向けた。銀色の髪をかきあげて、うなじを丸出しにした。
おい! 童貞にとってこんなの全裸を見せているのと同じだぞ!
かきあげた髪の生え際と襟の絶対禁域。太ももとニーソの絶対領域とはまた違う趣がある。
ふわっとするシャンプーの匂いが童貞の鼻腔を舐める。
甘いチェリーの香りが頭の中までかき回す。
細い首筋を月明かりが映してそうだ。
世界中の時を止めて閉じ込めたくなってくる。
【あのゆうくん……? まだ? なんか熱い視線を感じるんデスケド……?】
【ああ、ちょっとネックレスの留め具が外せなくて、】
俺はとっくに外れたネックレスを握りしめたままうなじを見入る。
レイラは俺の方をチラッと振り返ると、
【ああっ! やっぱりエッチな目で見てる! 早くつけてよ! ロッジに着いたら後でいくらでも見せてあげるから!】
【本当だな……じゃあつけるか……】
俺は渋々ネックレスをつけてあげることにした。
留め具をかけてカチッと心地のいい音が響いた。
レイラは一回転し、ふわっと髪の匂いを撒き散らす。
正面を向いて、
【ど、どうでしょう? 変じゃないかな?】
『似合ってなかったら、ちゃんとリアクション取れるかな?
女の人に私っていくつに見える?って聞かれる時みたいだ。
相手の機嫌を損ねないように気を配るの苦手なんだよな……』と思っていた。
だが、俺の口から溢れたのは、
【可愛い……】
目の前にいるのは俺の頭の中で描いた理想の女だ。
完璧に整い切った目鼻立ち、薄い唇。
真っ白ですべすべの肌。
小ぶりだがむちっとしている華奢な体。
抱き心地の良さそうな巨乳。
くびれた腰回り。
全部が完璧で一点の曇りもない快晴の空のよう。
【そんなにストレートに言われると……嬉しいな……あ! 馬車きたみたい! 行こ?】
彼女は俺の方に左手を差し出す。
一緒に手を繋ご? と言うことなのだろう。
童貞の俺は、彼女の手をきゅっと握った。すべすべの肌が俺の肌に吸い付いてくる。
すると彼女は、
【こうがいいな……】
指を俺の指に絡ませてきた。
恋人握りだ。
手を繋いだだけで、俺の脳からは大量のエンドルフィンがどくどく溢れる。
幸福感が、背筋で爆散していく。
気持ちいい物質が脳内でこれでもかと生産されているのだろう。
じわあああっと脳内麻薬が、滲み出て、溢れて、脳を濡らす。
【俺……幸せだ……】
彼女は放心状態の俺の手を引くと、
【もう? まだ私たちの生活は始まってもないよ? でも……私も幸せだよ?】
そして俺たちは馬車に乗る。
狭い荷台の中でくっついて座る。
隣同士で肩を寄せ合い、ピッタリひっつく。
彼女は俺の右隣で俺にもたれかかってきた。
俺は驚いて、
【ふぉっ!】
【あ、ごめん。もたれちゃ嫌だった?】
【いやそんなことない! やめるなっ!】
俺は彼女の頭をむんずと掴み、もたれさせる。
彼女は俺の右腕に左腕を絡ませてきた。
俺が驚いて、
【はぅっ!】
【ごめんなさい……これはちょっと迷惑だよね?】
【そんなことあるわけないだろ! やめるなっ!】
俺は彼女の左腕を無理やり俺の腕に組ませた。
彼女はさらに俺に抱きついてきて、胸がぎゅうっと俺の腕に押し当てられた。
【はぁんっ!】
【ねえ! ちょっとさっきから声がだんだん気持ち悪くなってきているんデスケド? くっつくたびに変な声出すの?】
【レイラちゃんが女の武器を使うからだろ! 俺を誰だと思っているんだよ? 童貞だぞ!】
【そっか! そうよね…………ところで……ねぇ、ゆうくん?】
【な、なんでしょう?】
【ネックレスありがとう……大切にするね? それと謝らないといけないことがあるの……ごめんね!】
レイラは手を合わせてぺろっと舌を出しながらそういった。いちいち可愛いなこの女!
【ごめんって何が?】
【私てっきりヒモが全然ないセクスィ~なパンティーとか渡されると思っちゃった……もしパンティーだったらエッチさせてあげないつもりだったからよかった……】
【な! 俺をなんだと思っているんだよ! そんなもん渡すわけないだろ!】
おぉ……パンティーにしなくてよかった。本当によかった。最後まで迷ったがパンティーにしなくてよかった。パンティーでなくてよかった。
(パンティーじゃなくてよかった!)
そして、そのまま馬車は俺たちを乗せて揺れていく。
世間の喧騒を離れて、森と湖に囲まれた愛の巣へ向かう。
そこにはしがらみも仕事も何もない。
苦しいことなんて一つもないんだ。
頑張る必要も、無理する必要も、一切ない。
ただ人生を楽しむためだけの場所。
女子高生の彼女とそこでずっとイチャイチャして過ごす。
付き合いたての熱々カップルのまま、いつまでも気持ちいいことや楽しいことをやりまくる。
笑い合い、冗談を言い合い、時に喧嘩し、仲直りのチューをする。
そんな時間があってもいいのではないだろうか?
この馬車が幸せに向かって一直線に進んでいく。
背後に通り過ぎていく風は、俺たちの体を洗ってくれているみたいだった。
=====
そして、俺たちはロッジに着いた。
【【うわああっ! おっきい!】】
ロッジは二階建て。
全部木造で、強い木の香りがする。
二階にはベランダがあり、開放感のある窓がいくつも付いている。
庭は湖に面して、湖畔が柔らかな日差しを反射している。
【これ全部俺たちのものかっ!】
森全体が敷地内らしく、広すぎて目が眩みそうだ。
この辺りは、都会から離れすぎて土地代が安いかららしい。
【レイラちゃん! 早速中に入ろ!】
【うん! でもその前に……私のことレイラって呼び捨てて? 男の人に呼び捨てで呼ばれるのが……憧れだったの……】
彼女は女の顔を俺に見せる。
【わかった……レイラ? 俺とでよかったら、一緒に暮らしてください! あそこで一緒にご飯を食べて、一緒にその……料理したり……それと一緒に……あの……んっ!】
俺が口をもごつかせていると、不意に彼女に口を塞がれたのだ。
キスする時は、いつもは彼女が待ちで俺からだった。
だけど今日は彼女の方から、俺にキスをしてきた。
ちょこっと背伸びして、俺の首に腕を回し、唇に唇を情熱的に押し付けてきた。
そして、
【うん! 毎日一緒に寝ようね?】
これが俺たちのイチャラブ同棲生活の始まりだった。
童貞喪失まで残り十二時間。
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