ホームレスを装備しました(この小説はホームレス専用の小説です! ホームレスではない方は見ないでください!)

大和田大和

文字の大きさ
32 / 38

戦闘イメージ

しおりを挟む
視界から入ってくる情報を遮断して、暗闇の中に身を投じる。頭の中に浮かんだイメージは自分が負ける瞬間だった。全身を鋭利な刃物に切り裂かれて、血と汗が浮き出ている。目は虚ろな空洞のようになり、精気を失う。力なく垂れた四肢は、壊れた人形のようだった。

人間はなぜネガティブなイメージを浮かべずにはいられないのだろうか? 負けるかもしれない。死ぬかもしれない。ダメかもしれない。何かに挑む以上は、そのリスクは常につきまとう。そんな当たり前のことでも考えずにはいられないのだ。ネガティブなイメージは視界を狭め、私の体を敗北に近寄せる。心の中に暗い影がカビのようにはびこる。

私はそんなイメージを勢いよく振り払った。黒い映像の上から無理やりポジティブな映像を上書きする。私の勝利のイメージは心地よかった。リスクと恐怖に打ち勝った。努力は質量を孕んで、成功という果実を生み出す。

まっすぐに光だけを見つめていれば、視界の端に闇なんて微塵も映らない。自分が失敗するイメージなど浮かべなくて良いのだ。

私は、具体的なイメージを頭の中のキャンバスに描いた。まず、薙刀を持ったガードの弱点は、裂傷を孕んだ右腕。彼は今、傷ついた右腕と利き腕でない左手で薙刀を持っている。私は、その薙刀に掴みかかった。ガードの腕力は格段に弱まっていて、女の私でもすぐに優位に立てた。

ガードの力を利用して薙刀を地面に突き立てる。そして、薙刀を軸にして回転しつつ斬撃を放った。青い宝石のガードは私の体を支える支柱のような役目を果たした。斬撃は緑と赤のガードを遠心力を伴った攻撃で切りつけた。その攻撃は、まるで宇宙から見た惑星の自転のようだった。


次に、攻撃の反動を利用して空中に飛び上がる。体を翻して、剣を下に突き刺す形で構える。全身の体重を剣先に乗せて、青い宝石のガードのふくらはぎに全体重をかけて剣を突き刺した。剣は肉の繊維を砕きながら脚の腱を完全に切断した。首か心臓を狙えば殺害できたが、そこまでする必要はないだろう。

そして、赤と緑のガードが挟み撃ちにする形で左右から迫る。右と左から赤と緑の殺意が同時に距離を縮める。ということはつまり、緑のガードの方が早く私に到達するということだ。先ほどの戦いで三人の腕力と瞬発力のおおよその差を覚えておいた。

私は、スピードタイプの緑のガードの攻撃をフェイントを交えたステップで躱し、彼女に脚をかけた。彼女は前のめりにつんのめって、そのまま赤のガードを正面衝突する。正反対の方向から同時に加えられた力は、互いが互いのカウンターとなり、ぶつかり合った。赤と緑のガードはお互いの体を刺しあった。体重差もあって、緑はその場で気絶した。

最後に赤のガードが起き上がり、武器を捨てて逃げたした。私の勝利のイメージは具体性を内包しつつ、脳裏に正確に描かれた。まるで映画のコンセプトアートのようだ。脳内を満たした自分の勝利の映像は、私の中のネガティブな影を消しとばした。もう一辺の影も存在できないほどの激しい光が、自信となって燃え上がる。

私は目を開けた。そして、寸分違わず、脳内の映像を現実のものにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...