この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜

大和田大和

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ワニ

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女性は俺たちのもとに近寄ってきた。
「誰だあんた?」
「あたしはクロコダイル」

クロコダイルと名乗る女性は、ココを真逆にしたような姿だった。
黒髪でドレッドヘアー。

縮れた黒髪が怒りのようなものを周囲に振りまいている。
いかにも凶悪そうな見た目だ。

大きく開いた胸元に、丸出しのへそ。
へそには、銀蛇のピアスが鎮座している。
剥き出しの太腿や背中には、黒くてギザギザのタトゥーがびっしりと彫られている。

メイクは鬼のように濃い。極太のアイシャドウ(黒)のたもとには、真っ赤に光る二対の瞳。

強烈な見た目は、彼女の気の強さを表している。女性らしさなど探しても見当たらない。

だけど、口から覗く八重歯だけがほんの少しだけ可愛い。
(うわっこええーーーー。この人、中身は男だろうな。これだけいかついといじめられたりもしないだろうな)

クロコダイルはココの方を向くと、
「おい! ココ! あんた差別主義者を探すのをやめな!」

「ど、どうして……?」
「なんでもいいだろっ! とにかくあんたは、あたしの言う通りにしてりゃーいいんだよ! 差別主義者を探すのをやめろっ!」
クロコダイルは、ワニのように八重歯をギラつかせる。口から溢れる怒りは得体の知れないものだった。

「でも……」
「やめろって言ってんだろっ! 大体その気色の悪い喋り方も止せっつったろ! あたしのいうことが聞けねーのかよっ!」

「おい! あんたなんなんだよ!」
俺は立ち上がってクロコダイルに向き合った。
竜王と比べればこんなやつ大したことない。全然怖くない。

クロコダイルは俺の目を見る。彼女の深紅の瞳に俺の顔が反射している。
俺は彼女の瞳をどこかで見たことがあるような気がした。

「ココがあんたに何をしたんだよ? ココが俺に依頼を出すのは、ココの勝手だろっ!」
俺は威圧する怒号を飛ばす。冷たい言葉はワニの耳をさした。

「あんたパワーワード使いのケンだね」
「なんで俺を知っている?」
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