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42 語られる気持ち
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馬車に乗った手には、王室通信が握りしめられている。
王室通信にはラミア国王の写真が載っている。こう見ると、どことなく副所長と王様の顔が似ている気がする。
はやる気持ちを抑えるために、外の風景を見る。
副所長に会ったらなんて言おう。
私は副所長に惹かれている。人としてはもちろん、異性としても……。
副所長に会ったら、私の気持ちを伝えよう。そして、副所長が私のことをどう思っていても、私はそれを受け入れるつもりだ。
ゲートがある施設に到着した私は、中に入ろうとすると中から誰かが出てくる。
見覚えのある人に、足を止める。中から出てきた人も驚いた顔をして足を止めた。
「副所長……」
「シャーロット」
中から出てきた人は、数日ぶりに会う副所長だった。副所長は髪を整え、豪華な礼服を着ている。
前までなら、王子様みたいだと思うところだけれど、貴族が着る服を着た副所長は、本当に王子様みたいではなくて、本当の王子様だ。
副所長の姿を見て、どうしてか涙が溢れそうになる。
副所長に駆け寄ろうとすると、つまづいてしまう。
「大丈夫か?」
副所長に受け止められ、私は副所長の胸に抱かれていた。
優しい声で聞いてくる副所長に、顔を上げられないでいると、「シャーロット?」と心配そうな声で聞いてくる。
副所長はいつも、私の心配をしてくれていた。それなのに、私は副所長が抱えているものを何も知らない。
副所長の胸に抱かれ、副所長の服をギュッと握る。副所長はビクッと身体を震わせた。
「王室通信を見ました……」
「王室通信?」
私の言葉に副所長は白々しく、何でもないように聞いてくる。
「副所長が王弟……だと、書かれていました」
「あぁ、そんなことか」
そんなこと……。副所長はいつも通り、何でもないように言う。
副所長にとってはどうでもいいことらしい。
マーティン様が教えくれなかったら、私はいつ知る事になったのか。
副所長の苦労を知る事がなかったかと思うと、怖くなった。
「どうして……」
「シャーロット?」
私が震えた声で言うと、王室通信のことを聞いても感情をあらわにしなかったのに、副所長は慌て、驚いた声で聞いてくる。
「どうして、何も教えてくれなかったんですか」
「籠の中の自由なんて……」パッと顔を上げ副所長を見ると、副所長は驚いた顔をしていた。
副所長の顔を見ると、また涙が浮かんでくる。
「……」
私の涙を見た副所長は、無言で私を見ている。
副所長を見ると、泣きそうになるから目を閉じてうつむく。
沈黙がしばらく続いたあと、副所長は話し出す。
「……僕にとっては生まれた時からのことだったから。人が呼吸をするように、籠の中の自由は普通のことなんだ」
「それに、慣れれば籠の中も悪くない」と副所長は諦めたような、悲しい声色で言った。
王室通信にはラミア国王の写真が載っている。こう見ると、どことなく副所長と王様の顔が似ている気がする。
はやる気持ちを抑えるために、外の風景を見る。
副所長に会ったらなんて言おう。
私は副所長に惹かれている。人としてはもちろん、異性としても……。
副所長に会ったら、私の気持ちを伝えよう。そして、副所長が私のことをどう思っていても、私はそれを受け入れるつもりだ。
ゲートがある施設に到着した私は、中に入ろうとすると中から誰かが出てくる。
見覚えのある人に、足を止める。中から出てきた人も驚いた顔をして足を止めた。
「副所長……」
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前までなら、王子様みたいだと思うところだけれど、貴族が着る服を着た副所長は、本当に王子様みたいではなくて、本当の王子様だ。
副所長の姿を見て、どうしてか涙が溢れそうになる。
副所長に駆け寄ろうとすると、つまづいてしまう。
「大丈夫か?」
副所長に受け止められ、私は副所長の胸に抱かれていた。
優しい声で聞いてくる副所長に、顔を上げられないでいると、「シャーロット?」と心配そうな声で聞いてくる。
副所長はいつも、私の心配をしてくれていた。それなのに、私は副所長が抱えているものを何も知らない。
副所長の胸に抱かれ、副所長の服をギュッと握る。副所長はビクッと身体を震わせた。
「王室通信を見ました……」
「王室通信?」
私の言葉に副所長は白々しく、何でもないように聞いてくる。
「副所長が王弟……だと、書かれていました」
「あぁ、そんなことか」
そんなこと……。副所長はいつも通り、何でもないように言う。
副所長にとってはどうでもいいことらしい。
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「どうして……」
「シャーロット?」
私が震えた声で言うと、王室通信のことを聞いても感情をあらわにしなかったのに、副所長は慌て、驚いた声で聞いてくる。
「どうして、何も教えてくれなかったんですか」
「籠の中の自由なんて……」パッと顔を上げ副所長を見ると、副所長は驚いた顔をしていた。
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「……」
私の涙を見た副所長は、無言で私を見ている。
副所長を見ると、泣きそうになるから目を閉じてうつむく。
沈黙がしばらく続いたあと、副所長は話し出す。
「……僕にとっては生まれた時からのことだったから。人が呼吸をするように、籠の中の自由は普通のことなんだ」
「それに、慣れれば籠の中も悪くない」と副所長は諦めたような、悲しい声色で言った。
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