毒殺された令嬢は侯爵の手を取り婚約者の破滅を願う〜侯爵様の溺愛は聞いてません!〜

桃瀬さら

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4.誕生日プレゼント

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 父の書斎にやって来た私はドアをノックする。

「お父様、セシリアです」

「入りなさい」

 執事にドアを開けてもらい、父の書斎に入ると仕事をしてたらしい父は立ち上がり、私を抱きしめる。

「改めて、18歳の誕生日おめでとう」

「ありがとうございます。お父様」

 感謝の気持ちを口にして、私は父を抱きしめ返した。

「セシリアの為に準備したプレゼントだ」

 ソファーに座ると、小さな箱を渡される。

 この中にあのネックレスが入っているのね……

 そう思って包装された包みを開け、箱を開けると、中に入っていたのはネックレスではなく、ブルーダイヤモンドのピアスだった。

 過去に戻る前では誕生日プレゼントはネックレスだったのに、どうしてピアスに変わったの?

「セシリア?気に入らなかったかい」

 箱を開けたまま固まる私に不思議にそうに聞いてくるお父様にハッと息を呑む。

「いいえ、驚いてしまっただけです。ネックレスだとばかり思っていたので……」

「知っていたのか……ネックレスをプレゼントしようと思ったんだが、今朝見ると石が欠けていたから急遽ピアスに変更したんだ」

「そう、だったのですね」

 石が欠けていた?

 お父様達は以前と変わらないのに、過去に戻ってきて数時間も経たない内に石が欠けるなんて……

 もしかしたら、過去に戻った事にネックレスが関係しているのかもしれない。

「セシリアには特別な物をプレゼントしようと思っていたのに残念だよ」

「特別?ですか?」

「あぁ、何でも、妖精の力が込められていて、持ち主を守ってくれると聞いたから御守りにと思ったんだが、残念だよ」

 妖精ーー
 それは超自然的な存在。気まぐれに人間を祝福し、その者は類稀なる魔法の才能を得ると聞いた事があるけれど、その妖精の力が宿る物はどれ程の価値があるのだろう。

 妖精の力が宿るネックレスなら、私を過去に戻す事も出来るのかもしれない。

 ニコラス様と一緒にいた男が、私を殺してまで必要としていたネックレス。そして、そのネックレスが過去に戻ると欠けていたなんて、過去に戻った手掛かりと疑うには十分だ。

「お父様。そのネックレスはどうされるのですか?」

「欠けた石を指輪に加工しようと思っている」

「よろしければ、そのネックレスいただけますか?」

「セシリアには完璧な物をあげたいんだが……欲しいならあげよう」

 そう言って差し出された箱は見覚えのある物だった。

 箱を開け、中を見ると輝きを失っていない欠けたレッドダイヤモンドのネックレスがあった。

「ありがとうございます、お父様。大切にしますね」

 仮説が正しければ、私の命を救ってくれたかもしれないネックレスだ。たとえそうでなくてとも、過去に戻った手掛かりであるネックレスの箱をぎゅっと胸に抱いた。
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